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北欧はフィンランドの高品質パワードモニタースピーカーメーカー「GENELEC」。その名声と実力は、もはや「世界のリファレンススピーカー」と言っても過言ではないくらいですが、そのGENELEC社のCEO(取締役会長)であるIlpo Martikainen(イルポ・マルティカイネン)氏がRock on渋谷店にご来店。AES2009でも話題となった、新開発同軸ユニットを採用の3WayDSPスピーカー「8260A」のお話をしてくださいました。
「8260Aは、見た目は2Wayのようですが、上部のスピーカーユニットに新開発の同軸スピーカーを採用しています。それ一つでHi、Midフリーケンシーを独立して再生することで、実質3Wayを実現しています。GENELECにはコアキシャル型スピーカーのプロトタイプが1997年から存在していましたが、インナーディフレクション(この場合、Hi、Midフリーケンシー用スピーカー同士が干渉することで起こる周波数帯域の歪み)の制御が難しく、周波数特性をフラットにすることが困難でした。ですがGENELECは10年以上の歳月を経て、この問題を解決しました。その結果、8260Aが生まれたのです。」
「同軸スピーカーを使うことで、指向性が高まり、自然なリスニングポイントを可能にします。これはモニタースピーカーに求められる正確なモニタリングに必要な要素です。またこれにより、エンクロージャーのサイズダウンを図ることができます。」
Martikainen氏ご本人による説明により、ますます「8260A」への期待が高まったRock oNスタッフでしたが、続いては従来の製品のことも含めて、GENELEC社や製品について伺ってみました。
Q.GENELECは1978年から革新的でハイクオリティな製品を続々リリースしてきました。初期のモデルは木製のエンクロージャーでしたが、なぜ今はアルミを使った製品をリリースされているのでしょうか?
A.その理由は多くありますが、一番はエンクロージャーの設計との兼ね合いです。GENELECスピーカーの特徴の一つである「DCWテクノロジー(スピーカーユニット周辺に流線的なカーブを作り、優れた周波数レスポンスを実現する技術)」を再現するために、自由に形を加工できるアルミの方が都合が良いのです。それに、アルミは木よりも剛性が高いので、耐久性を持たせたままサイズダウンができます。そのために高いコストがかかっていても、我々はアルミのキャビネットを作ります。
Q.GENELEC 8000番台と6000番台のスピーカーは、まるで制作者のインスピレーションまで刺激するかのような美しさを持っていますが、GENELEC製品の優れた性能とその美しさとの間に、関係性のようなものはあるのでしょうか?
A.まず最初に私たちが音響性能のために最適な設計をし、そこにデザイナーのHarri Koskinen(ハッリ・コスキネン)氏が美しいデザインを融合させます。結果的に美しいスピーカーが生まれるわけですが、私たちは「優れた音響特性」を再優先に考えていますよ。全ては高い性能のためのデザインであり、設計なのです。
Q.最後に、GENELECのこれからの夢や展望などを教えていただけますか?
A.最高の人材、材質、設計を最新のテクノロジーで融合し、様々なカテゴリーのユーザーに優れたGENELEC製品を使っていただきたいと思っています。
理知的でクールな眼力を持ちながらも、GENELECに対する情熱と、気さくな人懐っこさを持った、Martikainenさんの貴重なお話を聞いているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。GENELECからは今後も高品質な製品が続々とリリースされますが、なんと生産工場では今年6月から工場の稼働を、従来の石油燃料からバイオ燃料に切り替えたそうです。常に最前線を行く技術と精神性こそが「世界のリファレンススピーカー」と呼ばれるGENELECの本質なのだと感じました。
そして最後にはRock oNスタッフと記念写真をパシャリ。Martikainenさん、本日はご来店、本当にありがとうございました!
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記事内に掲載されている価格は 2009年11月17日 時点での価格となります。
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