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鍵盤タッチの良さや質感、多彩な操作を可能にするReMOTE SLシリーズやAbleton Live専用のコントローラーLaunchpadをはじめ、最近では輸入シンセサイザーの敷居を大きく下げた本格派シンセサイザーUltraNovaの発売、リリースが待ち望まれているTwitchなど勢いの止まらないNovation。その躍進の始まりでもあるMIDIコントローラーに付属するAutomapソフトウェアについて、改めて見てみることにしました。衝撃の登場からはや数年、今もなお色あせること無く、フォロワーを寄せ付けないその魅力に迫ってみました。また、これまでに寄せられたAutomapに関するご質問もここでお答えします。
●Automapとは何なの?
Automap(オートマップ)は、主要DAWソフトウェアと標準およびサードパーティプラグインの操作を特別な設定なく、即座に実行するためにNovationが開発した画期的なソリューションです。その構成は、AutomapソフトウェアとAutomapに対応したNovationのMIDコントローラーで成り立っています。
Automapによって、各社異なる規格のプラグイン(VST、AU、RTAS)やDAW(ProTools、Logic、Cubase、DigitalPerformer、Sonarなど)の垣根を越えて、面倒な設定をすることなく、操作することができます。
なおかつ、Automapが標準装備されているMIDIコントローラーは、どれも非常に高いコストパフォーマンスで、これまでの専用コントローラーにと比較しても価格面でも機能面でも優れているのが魅力です。
●Automapで何ができるの?
Automapは、DAW本体及びその中で動作するプラグイン(音源やエフェクト)、さらにはそれらと連動する外部音源や機器を一括して操作することができます。それらの操作をおこなう際、これまで非常に面倒であった割当(アサイン)設定をすることなく、お求めになったその日から即座にその恩恵を受けることができます。また、操作をするエフェクトや音源及びDAWミキサーなどの切替えを含めて、ほとんどの操作はマウスに触れること無く、おこなうことができます。
割当設定はこれまでも(現在でも)ソフトウェアおよびコントローラーメーカー各社が開発に頭を悩ますもので、最も一般的な手法は、1つのDAWに特化したコントローラーを作ってしまうことと、MIDIラーン(Learn)というその場あるいは事前に使用するパラメーターを割当てる、この2つの方法に集約されています。
しかしながら前者は専用コントローラーにしてしまうことで、コスト面と柔軟さに欠ける弱点を持っています。つまり専用ですので、他のDAWで使用できなかったり、使用できたとしても使い勝手が悪い上に正式サポートが無い可能性もあります。また、DAWメーカーがリリースする製品ならまだしも、他社メーカー製の場合、DAWのメジャーアップデートですぐに対応できない可能性もあります。
後者の場合は、汎用性の富んでいる反面、操作をおこなうための下準備=割当設定をする回数と時間が取られることにあります。また、操作をする際、コントローラー側で予め特定のプラグインのための設定に切換える必要がある場合もあります。この場合コントローラーによって、記憶できる設定数が限られている場合があり、さらに操作パラメーター数が多い場合は、複数の設定をコントローラ側で用意しなければならない場合もあります。割当設定や仕様はソフトウェアメーカーごとに異なりますので、ご使用環境が大規模であればあるほどこのデメリットがあります。(それでも過去に比べたら圧倒的に便利ですが…)
Automapは、汎用性と専用性を両立し、それぞれの問題をある程度解消した、ソフトウェアとハードウェアが一体となった最も包括的なソフトウェアコントロールの手法と言えます。
(図)ソフトウェアとハードウェアが一体となったNovation Automap、Automapソフトウェアの画面は常に使用するAutomapハードウェアと連動
(図)ReMOTE SL mkIIシリーズでは、パラメーター名や値がハードウェア側のLCD画面でも表示
●Automapの仕組み
Automapは、大きく分けて4つのコントロール系統に分割されます。
Mixer(ミキサー)モード:DAWのミキサー(ボリュームフェーダー、パン、ミュートなど)を操作します。
FX(エフェクト)モード:DAWのトラックに挿入されている(VST、AU、RTAS規格の)エフェクトを操作します。
Inst(インストゥルメント)モード:DAWのトラックに挿入されている(VST、AU、RTAS規格の)ソフトウェア音源の操作をします。
User(ユーザー)モード:通常のAutomapではまかないきれない、MIDI対応のソフトウェアやコンピューター外部のMIDI機器のコントロールなどのMIDIリモートコントロール、さらにはキーボードショートカットなど様々な操作をします。
Automapハードウェアからの操作で、これらのモード切替を必要に応じておこないながら、操作をおこないます。
●Automapの信号の流れ
AutomapはMIDIを使用して、様々なコントロールをします。これはMIDIのコントロール信号が唯一各社のDAWに共通して採用されている操作に関する規格、実際の多くの独自の規格もMIDIを流用しているといっても過言ではありません。
(図)最も多彩かつ簡単操作を実現するNovation Automap
Automapソフトウェアは、AutomapハードウェアとDAWソフトウェアの間に入り、(一部の例外を除き)プラグインはDAWを介してコントロールされます。
●DAWコントロール
Automapは、主要DAWのトランスポート(再生/停止/録音/巻戻し/早送りなど)とミキサーコントロールのために専用および汎用のコントロールプロトコルをいくつか装備します。Logic、ProTools、Cubase/Nuendo、Digital Performer、Sonarなどはこれらの設定で対応します。
●プラグインをコントロールするためのAutomapの仕組み
それではプラグインはどうやってコントロールするのか? Automapは、VST、AU、RTAS規格のプラグインのパラメーターを読み取り、接続されているAutomapハードウェアに合わせて自動でパラメーターを割当てていきます。割当てられたプラグインは、“ラップ(wrap)”されたプラグインとして管理され、DAWのプラグインメニューに表示されます。Automapの一番の謎は、どうやって各社のプラグインのパラメーターが自動で割当てられているのかにあります。一言で言ってしまえば、割当の自動化はそのプラグインの“DAWに対してオートメーションが可能な”パラメーター情報を使用しています。つまり、DAW上でオートメーション可能なプラグインは、Automapで自動割り当てできます。
※一部のプラグインはその仕様によって、自動割り当てできない場合があります。(後述)
●Automapできないプラグインは?
パラメーターがDAWのオートメーションに対応していないプラグインの多くはMIDIラーン(学習)機能を装備していますので、Automapでは、Userモードを使用してこれらのプラグインに対応します。また、AutomapハードウェアにSpeed Dialが装備している場合は、プラグイン側でMIDIラーン機能に対応していなくても、Speed Dialで対応することができます。
●Automapの更なる魅力と先進性(Speed Dialやタッチセンスなど)
Automapの魅力はとにかく面倒な設定に時間を割かれることが無いところです。その最たる機能が“Speed Dial(スピードダイアル)”です。Nocturnシリーズ、mk2以降のNovationコントローラーに装備されたこの機能は、割当をおこなうことが一切無く目的のパラメーターを“その場”で操作できる究極のコントローラーです。使用方法はいたって簡単で、操作をおこないたい目的のパラメーターの上にマウスカーソルを置くだけです。これによって、Automap非対応のVST/AU/RTASプラグインはもちろんのこと、DAW専用形式のプラグイン、DigitalPerformer用のMASプラグインもSpeed Dialで操作できます。
(図)マウスカーソルのポイントで割当無しで簡単操作できる画期的なSpeed Dial
また、Automapハードウェアは他のコントローラーと一線を画している点で、“タッチ”センスに対応していることが挙げられます。タッチセンスは、多くのDAWで採用されている機能で、フェーダーやノブに触れている間だけ、そのパラメーターの動きが書き込み可能になります。タッチセンスはほとんどハイエンドコントロールサーフェスで標準の機能で、Novationハードウェアと同価格帯のコントローラーではほとんど対応していません。
Automap Pro(SL mk2シリーズに標準装備)バージョンでは、保存ややり直しなどのキーボードショートカット使用したり、複数のAutomapハードウェアの併用など、Automapの手軽さをそのままに、より高度な設定を実現します。
Automapの神髄はカスタマイズが柔軟であることです。これまで、設定が不要、とにかく簡単とご説明してきましたが、人間の趣味嗜好は千差万別十人十色です。やはり自分の勝手に合わせたいものです。Automapの場合、ある程度Automap側で下準備をしていますので、必要な部分だけカスタマイズしていけば良いので、一から設定していくのとではかかる時間も手間も全く違います。
(図)Automap側でも自由かつ簡単な割当が可能なMIDIラーン機能を装備
さらに、Automapの大きな魅力として、複数のAutomapハードウェアの同時使用があります。Novationから様々な種類のAutomapハードウェア(=MIDIコントローラー)がリリースされています。異なる種類のコントローラーを併用しても設定はAutomapソフトウェア1つで済みます。つまり、すでに手元にあるAutomapハードウェアを無駄にせずに、システム拡張できることを意味します。
Automapの概念と魅力をご理解頂けましたでしょうか?すべては、面倒な設定作業を必要最低限にし、音楽を操作する方に集中できるようになっています。Automapの仕組みをご理解頂くことで、新規のプラグインを導入した際や様々な作業を効率良くおこなうことができます。次の良くあるご質問とその回答は、Automapに関する疑問を解明します。
●良くあるご質問とその回答
Q:AutomapとAutomap Proは何が違うの?
A:Automap ProはAutomapの上位バージョンで、主にキーボードショートカット、SL mk2とLaunchpadなど、複数のNovationハードウェアを同時に使用できます。
(図)キーボードショートカットを設定できるAutomap Pro
Q:Automapは不安定と良く聞くのですが…
A:Automapはメーカーの垣根を越えた機能ですので、登場して間もない過去のバージョンのAutomapでは実際、そういった問題は確認されています。その時点では前例のない機能でしたので、問題の解決にも時間を要しました。しかしながら、その時点から現在まで数年の月日が流れ、最新のAutomap 3 / Automap Proではこういった問題はございません。最新のMac OS X 10.7(Lion)にも間もなく正式対応いたします。
*Novationハードウェアは、MIDIコントローラーとしては、OS X 10.7に対応しています。
Q:Automapは、Native Instrumentsのプラグインに対応しないと聞きましたが…
A:いいえ、対応しています。ただし、NI製品の多くは、標準の状態でオートメーション可能なパラメーターが設定されていなかったり、音色パッチによってその設定が大きく異なったりするため、NI製品側である程度準備が必要となります。これらの設定をおこなえば、Automapで操作することができます。Automapの基本はオートメーション可能なパラメーターを検出することです。つまり、DAW側でオートメーション可能なプラグインは、Automapで操作することができるといえます。逆にDAWにオートメーションパラメーターが表示されないプラグインは、Automapでは自動で割当てられないということを意味します。その場合でも、Speed DialやUserモードで操作することができます。
Q:Ableton LiveはAutomapに対応していないのは本当ですか?
A:この回答はハイであり、いいえでもあります。Ableton Live自体は、専用のコントロール情報を使用しますので、Automapは使用しません。この情報は、SL mk2シリーズやLaunchpadではAbleton専用のモードが用意されていますので、Automapは完全に不要でも構いません。NocturnシリーズやUltraNovaでは、コントローラー本体にコントロール情報を記憶する領域がありませんので、AutomapのUserモードを使用して、Ableton Liveを操作できます。また、Live本体が対応していなくても、VSTやAUなどのサードパーティープラグインはAutomapを使用しますので、このような環境では、Automapをモード切替と同じように操作して対応することができます。
(図)Ableton Live使用時の信号の流れ
また、Automapは、他のコントロールサーフェスと異なり、コントロールサーフェスとして使用しながら、任意の箇所でMIDIラーン(LiveではMIDIマッピング)を使用することができます。これは他のコントロールサーフェスではできない魅力的な機能の1つです。
Q:Automapの割当の順番が気に入らないのですが… ツマミであるところが、ボタンであったりとかバグですか?
A:いいえ、バグではありません。Automapはプラグインから、DAWに提出するオートメーションパラメーターの順番に従って、自動で割り振るだけです。この方法によって、これから発売する未来のプラグインにも柔軟に対応できます。このため標準ではその設定が気に入らない場合、画面上で該当のパラメーターをドラッグ&ドロップするだけで、自由な場所に設定し直せます。設定したファイルは、そのプラグインのテンプレートとして保存できます。
(図)マウス操作で簡単にパラメーターの場所を変更
Q:操作したいパラメーターが、コントローラーに装備している数よりも多いのですが…
A:Automapハードウェアは、モデル(シリーズ)ごとに装備しているコントローラーの数も種類も異なります。しかしながらどのモデルでもAutomapソフトウェアを介して、最適化された操作がおこなえます。また、バンク切替えによって、1プラグインにつき、最大で250以上のパラメーターにアクセスできます。
(図)Automapハードウェアのpage(ページ)ボタンで、プラグインのパラメーターにアクセス
●ちょっとした知恵袋、その1
Automapソフトウェアの画面はリサイズできます。
(図)画面右下をマウスドラッグ操作で表示サイズ変更
●ちょっとした知恵袋、その2
現行のNovationハードウェアのツマミのほとんどは“タッチ”対応ですので、ツマミを割当てる際、動かさずに触れるだけで設定できます。
●ちょっとした知恵袋、その3
Ableton Liveのコントロールサーフェスとして使用できるNovationハードウェアは、コントロールサーフェスに設定したまま、自由なMIDIコントロールマッピング(割当)もおこなえます。(現在のところ、これができるのはNovation製品だけ!)
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