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第一線で活躍するクリエーターのインタビューやコラムなど、音楽と真摯に向き合う作り手の姿があなたの創作意欲を刺激します!

09
Nov.2017
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Rock oN CREATOR’S CHOICE ~夢の最適最強プラン~

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もし自由に使えるバジェットがあったら、あのクリエイターなら何を手に入れるのか?

普段なかなか知ることができない、一線で活躍するクリエイターが本気で考えたベストプランを大公開!どんなプロダクトであのサウンドを生み出すのか、なぜそのプロダクトでないとダメなのか。プランから見えてくる、クリエイターが目指す未来のサウンドを感じ取ろう!

Profile


瀬川 英史
岩手県盛岡市生まれ。 1986年CM音楽の作曲家として活動開始、現在までに2500本以上のCM音楽を手掛ける。アメリカ、フランス、イギリス、インド、ブルガリア等海外録音の経験も多数。2012年、サウンドトラックを担当したフランス短編映画「Le Dernier Jour de l’Hiver」がフランス国立映画祭イエール·レ·パルミエで最高音楽賞受賞。2017年は映画「銀魂」「斉木楠雄のΨ難」ドラマ「オトナ高校」等

Infomation


2018年も引き続きマイペースで行きます。

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金額の上限なしと言われたら迷わずMoog社のEmerson Moog Modular Systemですね。

今の為替相場で1700万円くらいでしょうか。今年映画「斉木楠雄のΨ難」のレコーディングでシンセサイザーのマニュピレーターの松武秀樹さんとスタジオでご一緒した時に松武さんのMoog”タンス”を間近で見て聴いて、改めてMoogの楽器としての素晴らしさを体感しました。松武さんは「少しコンデンサーの経年変化でヘタっているパーツももしかしたらあるかもね〜」なんて仰っていました。

確かに現在手に入るアナログシンセの方が精確に動作はしますが、Boomと鳴らした瞬間に「あ、だめだこりゃ、僕のMoog Voygerでは勝負にならん…」という感じがしました。楽器音としての説得力があるんですよね。同じMoog社のSystem55でも勿論素晴らしいのですが、現実的にはモジュラーシンセは横に広くセッティングするよりも縦に高くセッティングした方がパッチはしやすいんですよね。ですから、搭載しているモジュールに違いはあれど、天井に聳えるEmerson Moog Modular Systemを選びたいです。

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勿論このモジュールだけで音楽を制作できるわけではないので、DAWといかに組み合わせるかが難しいところですが現在所有しているProphet5を始めとする鍵盤付きシンセや、モジュラーシンセとの連携も必要です。現在僕のメインのDAWはAvid社のProToolsですが全部で6台のMacが稼働するシステムなんです。そのシステムにさらに自由にパッチしていくシステムを組むのはかなり面倒ではあるのですが、今既に所有しているAvid社のHD MADIを追加する事で楽器のI/Oセットアップの効率を上げるしかないでしょうね。

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自分のセットアップはこの3年基本的にはほとんど変化がないので最新のMADI機器を特にチェックはしていませんが、現状僕のシステムでAvid社のHD MADIと相性抜群でトラブルが一切出ていないのはRME社のMADI製品です。

MADIを使い始めたのはHDSPe MADI FXが最初の購入が2012年からですからかれこれ5年使い続けてるんですね。当時他にもMADI I/Oの選択肢はあったのですが、当時は同じ企画のMADIでも機材同士の「相性」が存在していて少々やっかいでした。DAWのためのメインのI/OをAvid社以外のものを選ぶという選択肢はありませんでしたから、当然HD MADIと問題なく動作するというポイントで選んだのがHDSPe MADI FXでした。現在はMADIface ProやMADI Router等後発のMADI機種がRME社からリリースされていますが、それらを組み合わせてEmerson Moog Modular Systemと現在の機材を組み合わせてシステムを構築すると思います。

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Rock oNのメールマガジンにモジュラーシンセの連載を書いている僕ですから、もちろんシンセはどんなジャンルでも大好物なのです。モジュールシンセは勿論ですがアナログ/デジタル問わず新製品はだいたいチェックしています。

Prophet-5やRoland社のJP-8000等のアナログシンセ/アナログモデリングもスタメンなのですが、日々の制作に於いてはもう少し現代的なシンセも必要となります。デスクトップサイズでそのニーズに応え、僕のワークフローを支えてくれているのがWaldorf社のBlofeld-Desktopです。シンプルなデザインでありながら必要なパラメーター群にさっさとアクセス可能、なおかつフィルターの設計がソフトシンセに負けず劣らず非常に良くできています。見た目は全てのパッチを呼び出してエディットする系のシンセに見えますが、このパネルレイアウトがすごく合理的にできているので、実はものすごく早く編集できるんです。慣れてくるとイニシャライズした状態から音を作るのも全然大変じゃありません。

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ただ欲を言えば更に多くのパラメーターに同時にアクセスできたらもっと便利だし、それでいてモジュレーションのパッチが自由でさらに把握しやすいシンセがあったらいいなと常々思っていたんです。むか〜し所有していたOberheimのMatrixがまさにそういうタイプだったんですけどね。そして今年NovationからPeakがリリースされました。現在購入を考えているシンセはPeakなんです。一般的なシンセの場合エンベロープをオシレーターにアサイン可能な機種はかなり限られます。レイヤーしているオシレーターのアタックデュレーション部分をエンベロープでディチューンする…なんていうプログラミングがモジュラーシンセでは簡単なのですが、一般的なシンセだと途端に難しくなるんですね。仮にできたとしてもLFOのトリガー機能で代用するとか、仮にエンベロープをアサインできても今度はアンプセクションかフィルターセクションのエンベロープを諦めないといけないとか、何かと制約がありました。勿論どんな楽器でも制約がある事は必ずしもネガティブな事ではないのですが、やはり思いついた通りにモジュレーションを各ディスティネーションにパッチできた方が、制作の妨げになりませんから。

Peakのオシレーターはアナログですが、ウエーブテーブルも内蔵しているので、まさにBlofeld的なアドバンストなアナログシンセなんですね。かなり人気があるようでLAでもなかなか在庫しているお店がありませんでしたが、ここにきて在庫も少し落ち着いてきたようです。Peakが現実的な選択、なおかつ最有力候補のギアです。

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ちゃんとシステムを組みたいのはサラウンド環境です。映画やゲームの音楽の仕事の場合は作曲の時から4.1chのサラウンド環境で仕事をしています(プロジェクトによりますが)。5.1chではない理由はセンタースピーカーは音楽のためではなくセリフのために使うので特に必要を感じていないからです。作曲時のサラウンド環境と言ってもそれほど四六時中音が後ろから前へパンしたりするわけではなく飛び道具として必要なわけでは当然ありません。

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最近のサンプリングライブラリーはクローズドのマイクの他にデッカマイクやアウトリガー(デッカよりも更にワイドに広がったマイクセッティング)で収録されたチャンネルを含むものが多くなってきましたよね?それらをリアのスピーカーに配置するセッティングを施すと独特の音場が得られます。勿論全ての仕事でそれが必要なわけではないのですが、NI社のKontaktをマルチアウトのセットアップで使い、リアのスピーカーにルーティグするわけです。ですが、このセットアップをするとあっという間にチャンネルが足りなくなります(笑)。ですからプランAでもリストアップしましたが現在のシステムを更に拡張するにはAvid社のHD MADIとRME社のMADI製品が必要になるでしょうね。それからLAやヨーロッパでは以前のモデルから人気のあるDYNAUDIO社のLYD7(またはLYD5)とサブウファーの9Sの組み合わせでサラウンドを組みたいですね。


上記で紹介されたRME MADI製品一覧

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MADI Router

MADI Routerは、1Uという非常にコンパクトな筐体ながら、RMEを含む様々なメーカーのMADI機器同士を接続し、かつてない程の柔軟なシグナル・ルーティングを提供します。光信号(オプティカル)と電気信号とのフォーマット変換や、シグナルのリピーター、複数のMADIシグナルのディストリビューターやマージャーなど、すべてを同時にこなします。

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MADIface Pro

オプティカルのMADI I/Oからは、64chずつの入出力(44.1/48kHz時)が可能で、サンプルレート192kHzまで対応します。アナログ入出力と合わせて、68chの入出力が可能で、すべてのチャンネルはUSB2によりPCへ伝送されます。ヘッドフォンやライン出力が可能なMADIface Proは、ライブ・レコーディング時のモニタリングやトークバックにも対応できる、最も手軽で多機能、かつ可搬性に優れたインターフェイスです

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ADI-6432R BNC

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ADI-6432R

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DMC842M

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MICSTASY M

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MADIface USB

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OPTO-X

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    記事内に掲載されている価格は 2017年11月9日 時点での価格となります。

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