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26
Jul.2017
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2大ブランド・コラボレーションが生み出したRoland SE-02の「価値」と「実力」を読み解く ~ SE-02のファースト・インプレッションは? 高山博氏 インタビュー ~

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アーティストとアーティスト、洋服ブランドと洋服ブランドなど、今では当たり前になった「コラボレーション」という手法。2つの個性が出会い、お互いの長所を活かしながら生み出される新たな個性。お互いの存在が大きければ大きいほど、ユーザーの期待は高まり、その一方、生み出したメーカーは自分たちの存在を再び見つめ直し、ブランド価値といったものをさらに高める機会になるのではないでしょうか?

今回、シンセサイザーにおいても注目すべきコラボレーションが行われます。ドメスティック・シンセブランドとして大きな存在であるRolandと、90年代のテクノブームを背景に巻き起こったアナログシンセ再発見を先導したブランドの1つとして登場以降、現在もクリエーターに信頼されたシンセを作り続けているカリフォルニアのStudio Electronics。この両者のコラボで生み出された「SE-02」はいったいどんな製品になったのか? 弊社セミナーや数多くの著作でも知られ、シンセサイザーに造詣の深い高山博氏に、SE-02を触ってもらいインタビュー実施。SE-02のシンセとしてのポテンシャルはもちろんのこと、コラボレーションが生み出した製品の「価値」について深い洞察をしていただきました!

高山博氏 プロフィール

作編曲家 高校時代よりバンド活動を開始、キーボーディストとして関西ライブシーンで活躍。その後、大阪芸術大学に進学、クラシックの作曲や民族音楽学を学びつつ、パッチ式シンセサイザーの音作りに夢中になる。卒業後すぐに作編曲家として仕事を始め、CM、コンサートイヴェント、CD作品への楽曲提供。執筆活動も盛んで著書多数。東京藝術大学映像研究科、美学校などで教鞭をとる。 またメンバーであるバンドCharismaでは、キーボードほか作曲も担当している。

facebook : https://www.facebook.com/takayama.hiroshi.1

今回のコラボが持つ意味は? Studio Electronicsはどんなブランドなのか?

Rock oN : 今回発売されるRoland SE-02は、Studio Electronicsとのコラボ製品ですが、Studio Electronicsというシンセブランドに対して高山さんはどんな印象をお持ちですか?

se02-01高山博 氏 : Studio Electronicsを最初に知ったのはMinimoogのラック改造ですね。デジタル・シンセブームが一段落してアナログ・シンセへの回帰的な動きの中でMoogのベースサウンドが再注目されたんですが、そこで脚光を浴びたのがStudio Electronicsでした。MIDIも付いてるし、オシレーター・シンクの改造を施してあったりして一気にスタジオで見かけるようになったのを覚えています。当時、レコーディングの仕事でロサンゼルスに行った時、Studio ElectronicsがMinimoogを買い集めてるらしいという噂を聞いたりして。作りはしっかりしているし、プロの間でも高い評価を得ていたので、ブランド登場時から既にメジャー感を漂わせていましたね。そうこうしているうちにStudio ElectronicsからSE-1が発売されるんですね。もちろん、Minimoogとは違うけど、リードやベースに適したモノフォニック・シンセとして良くできていて、いい製品だったという記憶があります。サウンドはMinimoogよりもう少し明るく、抜けがいい感じで、ウエストコースト・サウンドだなあ、という印象をもちました。機能も、時代の方向に合わせてリファインされていましたね。全体にMinimoogとOberheimのいいとこどりという感じでしょうか。OMEGA8など、その後出た製品もずっとチェックしていて、最近だと、BOOMSTARシリーズなんですが、明るい方向に抜けるサウンドというより、ダークな方向に向かう感じで、最近のヒップホップやEDMのトラックでよく耳にするウォブルなサウンドなど、時代のニーズを捉えてますよね。改造からスタートしたブランドらしくビンテージの良さを熟知しつつ、その時々のミュージシャンの要望に応えて、長くブランド価値を維持してきたメーカーというイメージを持っています。

Rock oN : 今回、RolandとStudio Electronicsがコラボという形で一緒にやるとことに対し、どういった印象を受けましたか?

se02-02高山博 氏 : Rolandが他のメーカーと組むというのがまずビックリでしたよね。Rolandはトップメーカーですし、長い歴史の中で独自のトーンカラーを受け継ぎながら、ユーザーの支持を集めている。しかも、新しいことに積極的で、自社のヴィンテージ製品の復刻ですら慎重だった印象もありました。ただ、Rolandの明るくて抜けのいい音は、Studio Electronicsのウエストコーストな感じとカラーが合っている気がして、パートナーとして違和感は感じませんでしたよ。

Rock oN : Boutiqueシリーズというコンパクトな形態で製品になりましたが、その点の評価はどうですか?

高山博 氏 : Boutiqueって名前のとおり、小回りが利いて、気も利いてる。そんなシリーズのイメージどおりですね。こういう他社とのコラボもやっちゃう、そんなことのためにBoutiqueシリーズを作ったのかな、とも思いました。重量級の製品でなくBoutiqueシリーズという形で出てくるのは、今のシンセサイザーシーンにも合ってるように思いますよ。

Rock oN : SE-02を使ってみた音の印象はどうでしょうか?

高山博 氏 : 個性が全く違うという意味で敢えて言いますけど、Rolandのシンセの音ではないですね。かといってBOOMSTARの音とも違います。完全にMinimoogを再現したという訳でもなく、シンプルに言うとアメリカのシンセサイザーの音だなという印象です。音の通り道の部分はRolandとは全く違う個性があり、他のBoutiqueシリーズのシンセとはキャラクターがかぶってない。単純に「音が太い/細い」といった違いじゃないんですね。それでいえばRoland JD-XAも太いんですけど、それとはまた違う太さや重心の置き方があります。

シンセの要、オシレーター&フィルター。Moogとの相関で読み解くと、、、

Rock oN : では、個別部分ごとに伺っていきますね。まずオシレーターについてはどうですか?

高山博 氏 : ランプ波があることを含め、やはりMiniMoogを連想させますよね。ランプ波はMinimoog特有といってもいい波形ですよね。用途としてはシンセベースに最適で、基音が強調され高次倍音が少ない波形なので重心が下がり、量感のあるシンセベースを作るのに効果的です。ランプ波はその後のアナログシンセにあまり踏襲されなくて、装備している機種は少ないので、これは大きな特徴の一つと言えます。それと、この価格で3オシレーターを搭載しているのは大きいですよね。3オシレーターあると、テクノでよくあるような、鍵盤1つを押さえただけで和音を出すようにセッティングして、コードを平行移動させるようなことが簡単に出来るんです。Minimoogは3rdオシレーターがLFO兼用になっていますが、SE-02はLFOを別に持っているので、3つのオシレーターを全部使い切ることが出来ます。たしかStudio ElectronicsによるMoogのラック改造でも、LFOを別に付けていたので、その経験もSE-02に活かされているんでしょう。Minimoogに似ていると言うと、オールドユーザーはピッチの不安定さを懸念するかもしれませんが、SE-02には現代的に温度補償機能が装備されているからでしょうか、ピッチの問題は感じなかったですね。

se02-03

Rock oN : 続いてフィルターについてですがいかがでしょう?

高山博 氏 : ここは大好きな部分なんですが、フィルターを開いて行く時のねちっこさや、レゾナンスをほんの少し上げた時のまとわりつくような密度の濃さ、粘る感じがMoogの美味しいとこを再現していると思います。レゾナンスは目盛りで言うと2時くらいから独立した音が聞けるんですけど、3時前の位置からレゾナンスの音がさらに上がって少し歪んだ感じになっていくのもいい感じです。このフィルターは、まさに「ザ・シンセサイザー」というか、「そうそう、あの音ね!」といった感じのサウンドです。Boutiqueシリーズですから、製品のサイズはコンパクトなのですが、音だけ聞くと、大きいサイズのシンセかと思っちゃいますね。あと、フィルターのキースケーリング1/3、2/3がスイッチ切り替えになっているのもMoogを踏襲している点ですね。そういう意味で面白いのは、パネルの表記が、「RESONANCE」ではなく「EMPHASIS」に、「MODULATION AMOUNT」じゃなくて「CONTOUR」になっているのもMinimoogを踏襲しています。お店で試奏するときは気を付けてくださいね(笑)。でも、こういう細かい部分がマニア心をくすぐるんですけど。

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音作りの幅を広げるオシレーターシンク&フィードバックは強力!

Rock oN : オシレーターシンクを搭載してますね! ここは大きな売りじゃないですか?

se02-05高山博 氏 : そうですね。Studio ElectronicsのMinimoog改造版では、オシレーターシンクが追加されるのも売りの1つでした。Minimoogのシンク改造は、強力なリード・サウンドが出ることで有名ですから、これは大きなポイントです。あと、もう1つ。おおっと思ったのがクロスモジュレーションですね。オシレーター間はもちろん、フィルターにもパルス・ワイズにもかかるようになっていて、この部分はMinimoogというよりProphet-5のポリ・モジュレーションに近い。実際の効き味も、微妙で退廃的な音も作れるし、極端に破壊的な音も作れる。今のモジュラーシンセのシーンなんかで使われるノイズ系の音を作るのにも有効ですね。このクロス・モジュレーション・セクションの充実、高機能も、大きな特徴でしょう。この辺の充実度は数々のヴィンテージ機の改造から得たノウハウやユーザーの要望がフィードバックされた結果と言えるんじゃないでしょうか。こうやって言葉で話すと想像しづらいかもしれませんが、実際につまみを触って音を出しててみると「ああこの音か! 」という風にきっと分かると思いますよ。


Rock oN : フィードバックというつまみがありますが何でしょうか?

se02-06高山博 氏 : これは強力ですよ! 出力をもう一度、フィルター前のミキサー部分に戻す機能なんですが、最近のシンセサイザーにはなくてはならない機能ですね。昔の機種は特にこういったつまみがついていたわけではないのですが、Minimoogでしたら、ヘッドホンアウトを外部インプットに戻してフィードバックを作っていました。KORG MS-20で出力を外部入力へ戻すのも有名なパッチングですね。強くフィードバックをかけると、暴れたサウンドを作れるのが魅力です。特に、動きのある音でフィードバックをかけていくと効果的なんですよ。デチューンと組み合わせると波形の山と山が重なるところで極端に歪んだり、レゾナンスやクロスモジュレーションと組み合わせるとドリフトするような効果になったりと、とにかく通常のつまみや鍵盤では制御しにくい状態になり、複雑な音の変化が生まれます。二度と同じ状態にならないような、偶然に左右される音の揺らぎが、とても楽しいですよ。


サウンドをさらに活かすディレイ&シーケンサー、Rolandさすがの実力!

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Rock oN : エフェクトについてはいかがですか? デジタルディレイですが、ここはRolandらしさが出てると思いますが。

se02-07高山博 氏 : ディレイは、この手の単音シンセだと音作りに必須なので、この値段の製品にディレイが搭載されているのはコストパフォーマンスが高いですね。あと、Rolandらしさが出てるといえばシーケンサーでしょう! パターンモードで、どんどんサウンドを変えていくというのが主な使い方になると思いますが、シーケンスを走らせながらノートを変えていくのが簡単なので、ライブでも使いやすそうですね。モジュラーシンセと併用して、エレクトロ系のライブなんかをするのにも重宝するんじゃないでしょうか。シーケンサー部分だけ単体にしてステップ数を増やした製品があってもいいくらいです。


se02-09Rock oN : RolandのSYSTEM-8に搭載しているシーケンサーに近いんでしょうか?

高山博 氏 : 16個のステップボタンが並んでいるルックスとか、オン/オフでシーケンスを作っていく操作性なんかを見ると、そんな感じがしますよね。SYSTEM-8同様に、シーケンスを順方向にプレイバックする、逆方向にする、往復にする、ランダムでプレイバックするなんてバリエーション機能も付いていますね。Rolandのシーケンサーに慣れている人なら、もうそのまま使っちゃえるんじゃないでしょうか。

Rock oN : 本機の拡張性はについてはどうでしょう?

高山博 氏 : CV-Gateのインプットが付いてるので、Eurorackのアナログシーケンサーと組み合わせてシーケンスを組んで、SE-02をドライブすることもできますね。あと、先ほども触れましたがフィルターのサウンドがとてもいいので、このフィルターを外部入力のサウンドにかけられるのがとても魅力ですね。

Rock oN : 部分ごとに細かく見ていただきましたが、シンセとして高いポテンシャルをもった製品ですね。この価格で、すごい充実度だと思います。最後に何か希望とかありますか?

高山博 氏 : そうですね! コラボレーションとして最良の結果を出していると思いますよ。今後の希望ですが、音色のライブラリアン・ソフトが出るといいですね。ユーザー同士の音色交換がネットを通じて出来ると楽しいだろうし。Boutiqueシリーズは次々に面白い製品をリリースしているので、これからも様々ななコラボに期待したいですね!

Rock oN : 本日はありがとうございました!


製品紹介/こちらもご覧ください

Roland SE-02 登新発売!Studio Electronicsとのコラボが生んだ、ディスクリートアナログシンセ!

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  • ¥ 0 (本体価格:¥ 0)

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    メーカー製品ページ

    Roland
    www.roland.com/jp/products/se-02/

    se02-10

    se02-11

      記事内に掲載されている価格は 2017年7月26日 時点での価格となります。

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