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シンセサイザーやDAW、プラグインなど、音楽/音響制作ツールのニュースや話題を取り上げるブログメディア
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音楽制作にあたって、今年一番感動したプロダクトは何ですか? その選定理由やご自身ならではの活用ノウハウを教えてください。
今年登場した新製品の中から印象に残ったものを、メディア視点で3つ選んでみました。
KORG SDD-3000 PEDAL
ラック筐体ではなくストンプ筐体でリイシューするという発想がすばらしい
個人的には往年の名機のリイシューとか、後ろ向きの製品にはあまり興味はないんですが、これはグッときました。SDD-3000って、元々はスタジオ向けの製品だったわけですが、結果的にそっち方面にはあまり導入されず、メーカーが当初狙っていなかったギタリストやプロデューサーたちに評価されたわけです。そのことを踏まえ、ラック筐体ではなくストンプ筐体でリイシューするという発想がすばらしいですし、筐体の形状は変わってもオリジナル機のデザイン/カラーリングはそのまま踏襲されているのもいい。最近、デジタル一眼のメーカーがよく購入者にミニチュアをプレゼントしていますが、それと似た“ミニチュア感”というか“ノベルティ感”があるんです。なんかこう物欲をそそるデザインになっているというか。使わないときに飾っておきたくなる製品ですよね。
ローランド SBX-1
機能的によく練られた製品だと思います。
ガレージ・メーカーではなく、ローランドがこういう製品を出したことに驚きました。単純なCV/Gateコンバーター/シンクロナイザーだったらローランドが出す意味は無いと思うのですが、設定次第でいろいろな信号が生成できたり、TR-8との連携がしっかり考えられていたり、機能的によく練られた製品だと思います。Future Retroのシンクロナイザーなどで既に実現できていた機能のようですが、TR-808やTB-303をシャッフルできるというのもいいですね。
Output REV
エレクトロニック・ミュージックやEDMなどにも最高の音源なのではないでしょうか。
正確には昨年11月発売の製品で、Native Instruments Kontaktベースのソフト音源です。逆再生音(リバース音)に特化したユニークな音源で、リリース直後から世界的にバカ売れらしく、Kontaktベースのソフト音源としては記録的なヒットとなっているそうです。開発者がハンス・ジマーのところにいた劇伴作曲家ということで、それ系の音源と思っている人も多いようなんですが、実際にはエレクトロニック・ミュージックやEDMなどにも最高の音源なのではないでしょうか。今年のベスト・ソフト音源だと思います。
「こんなのあったらいいな。」と思う製品があればご提案ください。
大好きな日本のシンセ・メーカーにもっとがんばってほしいです。FacebookやTwitterを見ていても、みんなが欲しがっているのはDave Smith Instruments Prophet 12だったりElektron Analog Rytmだったり、海外のものばかり。実際、それらの製品はひじょうに魅力的です。数千円〜数万円のガジェット的な製品も楽しくていいですが、日本のシンセ・メーカーにも重厚で手抜きのない、物欲をそそる電子楽器をつくってもらいたい。30万円くらいで、アダプターではなくユニバーサル電源をしっかり内蔵したもの。みんな目が肥えているので、もう安ければ売れるという時代ではないと思うんです。値段が高くても、本当に良くて末永く使えるものであれば、みんなお金を貯めて買うと思う。みんな日本のシンセ・メーカーに期待していると思うので、ぜひがんばってもらいたいですね。