• 2013.06.21

『夢と現実の境界線はもろくも崩れた』 VOCALOID最新作『ZOLA PROJECT』公式デモソング作曲 浅倉大介氏と作詞 森雪之丞氏の強力タッグにRock oNが直撃インタビュー!


今年で10周年を迎えるVOCALOID。2003年の発表以降、初音ミクのヒットを皮切りに様々なコンテンツと連動しながら今や日本の新たな音楽文化としてムーブメントを起こし続けているVOCALOID。その最新作「ZOLA PROJECT」発売記念イベントがYAMAHA銀座にて行われました。yamaha+推進室VOCALOIDプロジェクトリーダーの剣持秀紀氏から語られた10周年を記念してVocaloid文化へのメッセージをはじめ、イベントの模様は全て当日生放送で配信。

そして今回ZOLA PROJECT始動にあたり、プロダクトに携わったクリエーター陣がすごい!まず、キャラクターのイメージイラストは「ファイナルファンタジー」で世界的に知られる天野喜孝氏。ロゴデザインはNHK 大河ドラマ題字等も手がけられ、今、最も注目を集める書道家といっていい竹田双雲氏。そして、公式デモ曲は、作曲 浅倉大介氏と作詞 森雪之丞氏の強力タッグ!

今回、YAMAHAさんのご厚意で、Rock oNスタッフは浅倉、森両氏にインタビューさせて頂くお時間を頂きました。早速ご覧下さい!!


Rock oN : まず浅倉さんにお伺いします。ZOLA PROJECTの3キャラクターの声の印象はいかがでしたか?
浅倉大介 氏 : 今までボーカロイドはいくつかのキャラクターが発売されていますが、今回のZOLA PROJECTは3人組ということで、1つのグループとして捉え作曲しました。そこが新しいですね。デモを作るにあたって、それぞれ3人の個性的な声を活かせるよう、「ZOLAというグループのデビュー曲をプロデュースする」という姿勢で作りました。
Rock oN : なるほど! 森さんは歌詞について、3人組ということを意識されましたか?
森雪之丞 氏 : 3人組ということを特別に意識したという訳ではないですね。ただ、浅倉さんが作ったデモ曲に、ボーカルの掛け合いや追っかけのパートがあるので、そこを上手く遊べる作りを盛り込んでみました。今回、僕が大切にしたのは「架空のものだけど、それが現実の世界に投射される」といった、夢とリアルが交差する世界観を大きなテーマにして歌詞を書きました。夢と現実を行き来できるのは、僕ら音楽家や作詞家のような、物を作る人間の特権だと思いますが、ボーカロイドを「夢と現実の境界を行き来する道先案内人」と捉え、楽しみながら作詞しました。
Rock oN : 浅倉さんは、ボーカロイドが歌うことを前提で曲を作るにあたり、通常の人間が歌う曲作りと違うことはありましたか?
浅倉大介 氏 : メロディーを作る部分では違いはなかったです。ただ、ミックスをする際に、人間の声を扱うにあたってのノウハウが当てはまらなかったので工夫しました。いかにボーカロイドの機械的な声に命を吹き込むか、というところです。それは、ちょっとしたフェーダー操作だったり、楽曲の各シーンの長さを調節したり、といった作業なんですがとても面白い体験でした。
森雪之丞 氏 : ミックスにおいて、人間の声ならここはエッジが立って目立つ部分だけど、ボーカロイドだとそうならずオケに埋もれてしまう、ということはあるでしょうね。
浅倉大介 氏 : そうなんですよ。ボーカロイドならではの独特なニュアンスを活かした絶妙なバランスを作りこむ作業に一番時間をかけました。
Rock oN : これからZOLAを手にするユーザーに、曲を作るにあたってアドバイスはありますか?
浅倉大介 氏 : ボーカロイドの世界では、既に、ボカロPのような確立された作り手さんがたくさんいらっしゃるので、僕の固定概念を押し付ける気持ちはありませんが、今回、3人のプロデビューをプロデュースするという観点から思ったことなんですが、ボーカロイドの声はデジタル楽器の延長線上の存在なので、ピッチに関しては、声というより楽器のピッチなんですね。実際に人間が歌うと、明るく歌う箇所は自然とピッチが上がったりして揺れがあります。そういうニュアンスを、かなり細かくコントロールしました。
人にとって気持ちよく聞こえる曲というのは、自分が歌えていないとなかなか再現できないんですよね。これからボーカロドを使う人たちも、実際に歌ってみてそれを機械に置き換え、人間の声の気持ちいいポイントを入れつつも、そこからあえてボーカロイドならではの、人間では歌えないような超早口のような新しいアプローチを組み込む、そんな面白いトライを沢山してみて欲しいです。
Rock oN : ボーカロイドは現在大きく注目を浴びていますが、森さんは作詞家としてこの状況をどう捉えられていますか?
森雪之丞 氏 : ギターのエレキ化、大音量化でロックが成長し、コンピューターが音楽に入り込んだことで、演奏家と作曲家の差異が無くなった。かつては鍵盤を演奏するにはテクニックが大事な要素だったんだけど、今は鍵盤がコンピューターのスイッチに置き換わった。同じようにボーカルについても、今までだったら歌える人はよかったんだけど、残念ながら僕のように歌えない人間(笑)にとって、ボーカロイドは、表現する領域を広くしてくれた存在だと思います。
Rock oN : これから作詞家や言葉を生み出す人にとって、可能性が1つ増えたと捉えていいんでしょうか?
森雪之丞 氏 : いや、1つどころじゃなくて、もっと大きな可能性を秘めてると思いますよ。今回のZOLAの歌声を聞いた時、本当にびっくりしましたよ。「さあ、ZOLAの皆さんです!」と呼び込みたくなるような完成度でした。YAMAHAのスタッフが命がけで開発されたと思いますが、「夢と現実の境界線はもろくも崩れた」、そんな印象を持ちました。僕のように、音楽の中で言葉を表現する人間にとって、こんな大きな存在はないです。
浅倉大介 氏 : 濁音や「っ」、「ん」といった言葉の扱いなど、森さんは「ZOLAを結構試してるなっ!」と思いましたよ(笑)。
森雪之丞 氏 : シンコペーションなど、メロディーに気持ちがいい仕掛けがあったので、それに対して「ZOLAはどこまで行けるかな?」という思いがありました(笑)。彼らは見事にこなして、本当に気持ちいい歌声になっていると思います。
浅倉大介 氏 : そうですね、ZOLAの3人は見事に歌い上げてますよ(笑)。これからZOLAを使う人達は、もっと面白いアイデアを持ってると思うので、僕たちはZOLAのデビュー曲を手がけましたが、これからどんなZOLAプロデュースが出てくるか楽しみですね。ZOLAは男性グループなので、それぞれキャラクターの人間性といった面が出てくれば面白いかもしれませんね。
森雪之丞 氏 : ZOLAは本当に優秀なグループですが、それをプロデュースするのはやっぱり人間なんです。その楽しさやアイデアを持ち続けていれば、曲作りにおいて最高の相棒になるはずですよ!
最後はお二方とRock oNチームで記念撮影。その後イベントで初お披露目されたデモソング『BORDERLESS』をはじめ、開発陣そしてボカロPらによるリアリティは「夢と現実の境界線はもろくも崩れた」という森雪之丞氏の言葉を強く裏付けるものでした。
剣持氏が語った『VOCALOIDは新しい楽器である』という感覚。それは今以上に力強いムーブメントとして、新たなプロデューサーとサウンドを世に輩出していくことでしょう。VOCALOID発表から10周年、様々なコンテンツとともに成長を遂げる姿から目が離せません!
VOCALOID最新作ZOLA PROJECTはRock oN Companyにて本日より店頭デモ開始! 最新Vocaloidのリアリティを是非店頭で体感下さい!!

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