シンプルなデザインと弾きやすさ、そしてアルミ削り出しボディの堅牢性でモバイルMIDIキーボードとして絶大な人気を誇るCME Xkey。その人気と生まれ変わったCMEの秘密を探るべくCEOのZhao Yitian氏にインタビューを決行。その未来を見据えた先進的な考え方に感銘を受けました!
生まれ変わったCME
-CMEというメーカーを設立したいきさつを教えてください-
Zhao氏(以下Z): CMEは元々中国においてMIDI製品のディストリビューターであるCentral Musicを母体として2005年に生まれ、その後オリジナルのMIDIキーボードを次々と発売し、その多機能性とリーズナブルな価格で高い人気を博しました。
しかしながらそれだけに満足せず、よりスタイリッシュでクオリティの高い製品を作りたい、という思いからCMEをCentral Musicからスピンオフし、シンガポールに移り新たなメーカーとして生まれ変わったのが現在のCMEです。
オフィスのメインはシンガポールでありながらデザイナーはフランスに、セールス/マーケティングはカナダ、日本、イタリア、中国など世界中に散らばりグローバルな展開を行っています」
-ご自身のバックグラウンドについて教えてください-
Z : 中国で有名な音大でクラシックを専攻しました。在学中にコンピュータミュージックにのめり込み、卒業後は同大学で教師としてコンピュータミュージックを教えていました。次第に自分の求める機材を追求していく過程でCentral MusicでYAMAHA製品等のディストリビューションを始め、オリジナル製品を作ることでCMEのCEOという地位に行き着きました。
コンシューマーからハイエンドまで幅広く受け入れられている奇跡の一台
-CMEのヒット商品である、Xkeyについて教えて下さい-
Z : 現在のCMEから出ている製品はこのXkeyのみです。アメリカの大手音響機器ディーラー Sweetwater.comのiOS Keyboardカテゴリーにおいてトップセールスを記録し、同じくアメリカのAMAZONではベストカスタマーレビューで1位に。
その人気の高さはハイエンドなプロフェッショナルから趣味で初めてキーボードを購入するコンシューマーまで非常に幅広い層に受けている点である意味特別な存在と言えます。
このXkey一台に私のコンセプト、信念が凝縮されていると言っても過言ではありません。世の中には多くのコンパクトなMIDIキーボードがありますが、単に小さくして持ち運びやすいだけでユーザーの視点から作られていない、という不満がありました。真のモバイルデバイスとはどうあるべきかを追求した結果、シンプルでスタイリッシュ、誰にでも分かりやすく初心者もプレッシャーを感じない外観でありながら、高性能でプロにとっても満足のいくクオリティを両立させた製品が出来上がりました。
Xkeyは外からみればただのMIDIキーボードですが、実は中には多数の新しい機能が詰め込まれているのです。小さくスリムでありながらきちんと鍵盤としてのアクションを維持しており、鍵盤の上部でも下部でも同じ圧力で反応します。ベロシティカーブはただ選択するのではなくドローイングができます。そしてファームウェアのアップデートがボタンひとつできてしまいます。修理は全て新品交換対応なのでユーザーを待たせてやきもきさせることもありません。そもそも作りが非常にしっかりしているので滅多なことでは壊れません。
こういった高機能とサポート面が分かりやすいインターフェイスに搭載されていることはビギナーユーザーにも安心です。さらにジョーダン・ルーデスがそのクオリティに惚れ込みオフィシャル・エンドーサーになってくれるほどに、プロフェッショナルなユーザーにも高い評価を得るという幅広い層からの支持を得る結果となったのです。
気になる次の新製品
製品ラインナップとしてはやはりXkeyのみではちょっと寂しいのも事実。CMEでは自分たちの開発だけでなく、他社のデベロッパーと協力して新しいインストゥルメントなどの開発も考えているようです。
今年のMuskimesseで公開されたXkey37が今年の夏にはリリース予定であり、その前にはiPad用アプリとしてシンセサイザーが発売されるとのこと。こちらはソフトだけを購入して全てのライブラリを使用するには有料ですが、XkeyがドングルのようになっているのでiPadにXkeyを接続すればアンロックされるのでXkeyユーザーは無料で使用できるということです。
実際にデモを見せて頂きましたがマルチタッチでパッドコントロールができ、iPadのスピーカーで聴いただけにも関わらず、抜けのよい音質のバーチャルアナログシンセでした。
Zhao氏は古い考えやスタイルに捕われず、新しいものを提案していくことを常に模索しており、今後10年はモバイルミュージックが主体になっていくと見ているそうです。
ユーザーが欲しかった製品、サービスを統合し今までになかった形でのソリューションを展開して行くことを目指しています。「ただ製品を売っているのではなく、新しいコンセプトを売っている」というZhao氏の言葉が非常に印象的でした。この一言にCMEの今後が期待できますね!
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