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コラム「モーリー・ロバートソンの不思議BOX」

【17】ソ連時代のVCF

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【17】ソ連時代のVCF

ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)をまったく覚えていない若者も年々増えている。一言で言うなら、ソ連はかつて欧米と対立する社会主義の超大国だった。欧米の資本主義を「帝国主義」として非難するも、ソ連自体も併合した領土や周辺の衛星国を強圧的に統治する「帝国」だった。強大な中央集権の下、いつでも戦争ができるように軍備を増強し続け、核ミサイルを含む重装備でアメリカと半世紀以上もの間、睨み合った。

1970年代まで内向きだったソ連は1980年代アフガニスタンに軍事侵攻を行い、拡大路線を取るかのように見えた。ところがアメリカがCIA主導の秘密戦争を展開し、莫大な戦費と武器を調達、パキスタン経由でアフガニスタンのムジャヒディーン(聖戦士)たちに提供。10年に及ぶ戦闘の末、ソ連軍は敗退する。だが、これはアメリカの勝利でもなかった。ソ連と戦わせるためにアメリカが渡した資金と武器を元に原理主義勢力「タリバン」と後のテロ組織である「アルカイダ」が育成されてしまう。

一方、アフガニスタンから撤退したソ連では社会と経済のシステムを維持するのが次第に不可能になっていった。ゴルバチョフ書記長が「ペレストロイカ」という大改革を試みるも混乱に陥り、1991年末に解体。

そのソ連解体の後になって、やっと欧米諸国に存在を知られることになったのがソ連製のシンセサイザー「Polivoks」だった。スペックはこちらのサイトにある。

ソ連製のシンセサイザー「Polivoks」
(画像クリックで拡大)

「ポリヴォックス」とカタカナ表記をすると、ソ連時代にポリフォニックのシンセが存在していたような錯覚に陥る。だが「Polivoks」とは「いろいろな音が出る」というぐらいのニュアンスであり、シンセは2VCOのモノフォニックだった。設計者は Vladmir Kuzmin という人物で、欧米の製品を真似る形で開発された。

1980年代のソ連は「 鉄のカーテン」 と呼ばれるほど、外部からの情報も物流も遮断されていた。したがって米国製や日本製のシンセは入手できず、ソ連の外でどのような文化や音楽が発展しているのかも中からはわからなかった。独立した音楽産業は存在せず、国が指導・統制する国営文化だけが許されていた。この密閉された環境の中で国民は欧米式のエンターテインメントに飢えていた。外国からツアーで訪問公演をするグループがいると、楽器のデザイナーたちは一晩だけシンセサイザーを借りてはメモを取り、模倣を試みるのだった。

今から振り返ると、ソ連の貧困は滑稽に聞こえるかもしれない。しかし実は日本でも終戦直後に同様の光景があった。戦勝国アメリカは、日本を占領していた時代から資本主義陣営への加入を促進すべく、産業発展を後押しした。1952年にトランジスタの技術がアメリカで公開されるや、日本の技術者たちは官民一体で訪米し、各地の半導体工場を視察。アメリカの工場を見学している最中は写真撮影が禁じられたため紙片にスケッチを描き、夜ホテルの部屋で製造工程や製品を復元し、日本の本社に送っていたという。その後トランジスタ・ラジオなどの半導体製品をコストダウンさせることに成功し、1960年代以降の日本製エレクトロニクスはアメリカの市場にどんどんと食い込む「追いつけ、追い越せ」路線で力をつけていった。

同じ時期、日本の経済復興と反比例するようにソ連では計画経済が停滞していった。 中央のソビエト政府が国民の統計をもとに5カ年計画であらかじめ生産目標を決め、その計画に応じて製品が作られた。この計画経済の足取りは重々しく、ソ連国民は恒常的な物資不足や生活水準の低さに見舞われた。だが情報統制が敷かれていたため、競合するアメリカ陣営の暮らしがいかに豊かになったかを知るよしもなく、ソ連を訪問した外国人にこっそり話を聞いた者たちが口コミで噂を広めるにとどまった。

それではなぜソ連製のシンセサイザーが製造されることになったのか?一つには計画経済の副作用があったらしい。ソ連のいたるところに軍需工場が建てられたが、工場の数が多すぎたため、フル操業をしないこともしばしばだった。そこで各地の工場は余った容量を民間向けのテレビやカセットテープ・レコーダー、電子楽器に振り分けて製造していた。

もう一つの要因は、外国から訪問するミュージシャンたちの楽器の水準が高かったこと。ソ連の電子楽器があまりに劣っていると、それは計画経済が失敗していることを象徴するようなものなので、政府はコピーやクローンを作らせる政策をとったと思われる。こうして閉ざされた社会の中で、技術者たちは自国でも量産できる電子楽器の開発に力を注いだ。

ソ連領内の奥地にカチカナルという都市がある。ものすごい僻地であることはこちらの地図でも確認できる。

現在のカチカナルの風景
(画像クリックで拡大)

このカチカナルには1970年代初頭に建てられた「Formanta」という名の軍需工場があった。ここが「Polivoks」の生産拠点となった。

他の製品にも転用可能なパーツを使えるように、回路基板を別々にしてモジュール同士の距離を開ける設計になった。回路がアップグレードされた場合、パーツを入れ替えてアップグレードすることもできるというコンセプト。その結果、大柄なシンセになった。外観のデザインは設計者の妻が受け持った。

当時にはめずらしく音声の入力も出力もあったが、音声端子はモジュラージャックではなくDIN式のソケットであり、モジュレーション・ホイルもジョイ・スティックも無い。気温などによってオシレーターのチューニングが狂った場合はネームプレートを開けてトリマーで調律することができた。

Moogに匹敵するシンセを作るのが当初の目標だったが、VCFの設計では次第にMoogを離れ、コンデンサーを含まないフィルターを開発した。結果、24db/Octのなめらかなカットオフではなく、荒っぽい歪みをもたらすローパス、バンドパスのVCFが生まれる。オーバーロードしやすく、レゾナンス(Q)を上げると不安定になり、パルス波を送ると自己発振が起きる、暴れ馬のようなフィルターだ。その音はこちらのデモ動画で確認できる:

Formanta Polivoks.mov
(画像クリックで再生)

実際の生産現場では軍の製品が優先されたため、シンセなどの電子楽器に回ってくるパーツには不良品が多かった。プラスチックの部品が壊れると筐体の底が抜けて、中身が飛び出してしまうほど脆弱なボディーでもあった。

「Polivoks」は1980年代を通して生産され、ソ連国内にのみ流通。価格は920ルーブルで一般人が手を出せない高価なものだった。政府の文化機関など特別な人脈があった音楽家たちが優先的に使用していたと思われる。ソ連製品を外国に持ち出すことも禁じられていたため、欧米のミュージシャンは「Polivoks」の存在にすら気づかなかったのだ。

1991年末、ソ連が崩壊する。その後、先進国でインターネットが普及。この時期にテクノやインダストリアル、アシッド・ハウスなどでローランドの「303」がリバイバルを遂げたのは周知のとおりだ。「303」のフィルターが持つ歪んだエッジは、音楽のジャンルを丸ごと一個生み出すほどもてはやされた。その裏でネット上には、「303」よりももっと荒々しく歪むVCFを持ったシンセサイザーがソ連の時代に作られていたらしい、という伝聞も広まっていた。結果、幻のシンセとして「Polivoks」が初めて欧米のミュージシャンたちに広く認識されるところとなる。

「Polivoks」のクローンを作る試みも何回かあった。元の設計者と共同開発したクローンを、Harvest Man社がモジュラー版としてリリースしている。こちらは200ドルだ。

2014年に入ってラトビアのErica Synthという会社が本格的にソ連時代と同じICを組み込んだVCFクローンをユーロラックのキットとして発売している。日本から発注すると送料込みで49ユーロという激安価格だ。

そもそもラトビア・リトアニア・エストニアのバルト三国は第二次大戦中にソ連に併合され、社会主義体制の下で抑圧され続けた国々だった。ソ連の末期、混乱に便乗して独立を宣言。モスクワのソ連政府が武力鎮圧をはかるも市民が独立を押し通し、ソ連崩壊のトリガーにもなった。そのラトビアにある工房が旧ソ連のパーツをもとに「Polivoks」をリバイバルし、欧米に向けてネットでマーケティングしている。これは歴史の皮肉というほかはない。この荒々しく、制御不能なVCFが欧米の音楽に浸透することを筆者は楽しみにしている。

【参考資料】


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モーリー・ロバートソン プロフィール

日米双方の教育を受けた後、1981年に東京大学に現役合格。日本語で受験したアメリカ人としてはおそらく初めての合格者。東大に加えてハーバード大学、MIT、スタンフォード大学、UCバークレー、プリンストン大学、エール大学にも同時合格。1988年ハーバード大学を卒業。在学中に作曲家イワン・チェレプニンに師事、モジュラー・シンセを専門的に学んだ。現在はテレビ、ラジオ、講演会などで活躍中。

2014年4月に独自の英語塾「リアル・イングリッシュ」を開催。


電子書籍:
自分を信じていい時代(角川ミニッツブック)
「知的サバイバル」セミナー(角川ミニッツブック)

公式サイト:Office Morley
Twitter:@gjmorley



   

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