制作機材の最新動向がここに。現地アナハイムからの熱狂レポート、会場の空気を切り取る動画レポートも多数!
昨年のProphet-6の衝撃デビューの熱が冷めらやらない内に、またもや完全に予想外のNewプロダクトが登場!シンセサイザー界の巨匠Tom Oberheimとタッグを組み、OB-6が生み出されたのです!
OberheimのOBシリーズはOB-1、OB-Xa、OB-MX、OB-8、OB-12がありますが、コンパクトなOB-6がそのファミリーに加わりました!最も有名なのはやっぱりOB-Xaが大々的にフィーチャーされたVan Halenの大ヒット曲「JUMP」の分厚いシンセブラスですよね。大盛況のブースでもやはりあのフレーズがチラホラ聞こえていました!
早速見ていきましょう!
まず、筐体がコンパクトで良いですね。Oberheimシンセはかなり大型なモデルが多くOBシリーズはどれも巨大でしたが、今回はSEQUENCIAL Prophet-6と同サイズになっています。Dave Smith氏曰く、Prophet-6のサイズはポータブル且つパワフルで、ライブでもスタジオでフィットするとのことです。そして色合いは、ザ・オーバーハイムという青・黒・木で最高に渋いです!
メインの回路構成はこんな感じです!
・ディスクリートVCO×2基(どちらもPWM付き)
・SEMインスパイアのステイト・バリアブル・フィルター(LP/HP/BP/Notch)
・完全アナログのVCA
・フィルターENG
・AMP ENG
・LFO(三角波, ノコギリ波, 逆ノコギリ派, 矩形波, S&H)
・ミキサー(VCO1、Sub、VCO2、ホワイトノイズ量をコントロール)
・デジタルエフェクト(リバーブ、ディレイ、コーラス、フェイスシフター/リングモジュレーター)
サウンドの傾向はoberheimの伝説の名機、SEMを再現しているとのこと!やはりTom氏監修のフィルターがキモでしょう。簡単に紹介すると、SEMというのは「Synthsizer Expander Module」の略です。つまり拡張音源という事ですね。では何の拡張音源かというとMoog minimoogやARPのシンセサイザーの拡張音源です。もともとMoogやARPのシンセと併用で使う事が想定されていたため、それらのシンセとは違う個性を持たせる必要がありました。そこで採用されたのが、-12dB/Octのマルチモードフィルターだったのです。
当時MOOGやARPなど有名アナログシンセのフィルターは-24dB/Octが主流だったため、SEMの-12dB/Octのフィルターが生み出すサウンドは重宝されました。加えてマルチモード(LP/HP/BP/Notch)だった為、LPF一本のminimoogよりも幅の広いサウンドが創り出せたとも言えます。
そのフィルーターが現代に生まれ変わりました!Notchフィルターでスウィープした時のゴリゴリとしたサウンドは他でなかなか再現できない、オーガニック且つテクノ的なサウンドです。ファンは非常に多くSEMを元にしたシンセやモジュールは非常に多く、Analogue SolutionsのTelemarkなど人気の製品がたくさんあります。
そんなSEMサウンドをOBシリーズ流に響かせるのがモジュレーションです。OBはMODULATIONというカテゴリーに多彩な波形を持ったLFOとマトリックス構造のモジュレーターを搭載しており、動きのある独創的なサウンドを生み出すことが出来ます。OB-6のモジュレーションはソースに:フィルターENGとVCO2を、そしてディステネーションにVCO1, VCO1のシェイプ, VCO1のPWM, フィルターカットオフ、そしてフィルターモードがあります。フィルターモードをモジュレーションできるのはなかなか強力で純アナログ器でこれができるのは大きなアドバンテージになります。サウンドの変化量が面白いので、インスピレーションが得られます!
また今回の大きな進化点として、マルチモードのアルペジエイターとProphet-6でお馴染み、ポリフォニックシーケンサーがあります。アナログシンセ単体だけでコードのフレージングを打ち込めるのはトラックメイクにおいて非常に有効です。特にシーケンサーは1ステップあたり最大6音、最大64ステップという、「付属」というには語弊があるほどの実力。フレーズをループさせながら音の表情を作る方が、弾きながらやるよりも両手が使えて直感的に気持ち良く出来そうですね。もちろん外部MIDIクロックを受けることができるので、リズムマシンと同期も出来ます。それこそDave Smith Instruments TEMPESTと同期すれば、Dave Smith、Roger Linn,そしてTom Oberheimというレジェンド3人のサウンドが体感できる事になりますね!
それにしてもDave Smith Instrumentsは昨年はSEQENCIALの名前を復活させたかと思えば、今回はまさかのOB。Dave氏曰く、二人は70年代から良好な関係を気づいており、Dave氏自身がSEMサウンドの大ファンとの事。Prophet-6での成功を受け、アメリカン・ポリフォニックサウンドの代名詞とも言えるoberheimの共作に至ったようです。今後も本当にこのレジェンド達から目が離せません!
気になる価格は2,999ドルで、2016年3月初旬発売予定です!
Writer . Shibuya
記事内に掲載されている価格は 2016年1月22日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ