奥平 賢浩 氏(ゴング・インターナショナル)によるProLight & Soundレポート!
毎年この季節に行われるフランクフルトメッセでは、楽器関係の見本市 ミュージックメッセ と照明・PA関係の見本市 ProLight&Sound の2つのゾーンにわかれます。丁度会場の東西で分かれていますが、両方の会場を見学することができます。
毎年も私 奥平がProlight&Soundの照明ゾーンを皆さんにレポートします。
フランクフルトの会場は全部で11のホールがあります。そのうちホール2とホール8,9,11、あと野外スペースがProLight&Soundのエリアになります。
とくにホール2は世界的に有名な音響照明会社”PRG”が一社で貸し切り、武道館以上に広さで実際にステージが組み立てられ、照明によるデモンストレーションが行われています。
このスケール感はとても圧巻で、しかもステージ裏やPA卓 照明卓も自由に出入りができ、エンジニアやオペレータとも自由に会話ができます。
日本では考えられない感覚ですが、一度は皆さんもご覧頂きたいエリアです。
今年のProLight&Soundのキーワードは3つ 「LED」と「次世代のプロジェクションマッピング」「映像・ネットワーク」です。
音楽産業で一番勢いのあるライブサンドですが、今年は昨年以上にライティングゾーンは盛り上がっています。
とくに、LED関連の照明灯体が多く出品され、スポットライトのような照明からムービングヘッドといわれる、360°回転するものや、LEDパネルやLEDメッシュといったコンサートで見かける映像スクリーンなど、さらに、映像機器と照明機器を融合した機材が沢山でてきました。
照明機材で有名なETC社ブース ソースフォーLEDというスポットタイプの照明がさらに進化してより明るく、色のバランスが紹介している様子。
従来の白熱電球とLEDは、光の特性が違うため同じ色の再現は難しく、またLEDでも3色(RGB) 4色(RGBWやWGBA)ほかにも5色のカラーLEDを使って正確な色表現をしています、このソースフォーには7色のLEDが使われていて、正確な色表現が可能となっています。
日本のコンサートでも最近多く使われている、アイルトン社の「マジックパネル」。
一見 ムービングライトの様に見えるが、なんと台数を並べることで、映像を投射することができます。ArKaos社の映像出力ソフトMediaMasterを使うことで、なんとケーブル1本で数十台のマジックパネルに分割した映像を送ることが可能となります。
5×5の液晶パネルが自在に動くといういま最もアツい照明機材のひとつ。
LEDパネルには、大きく2つのタイプがあり、高品質な映像を魅せるLEDパネルと、LEDカーテンとかLEDメッシュと言われる、布の様に柔らかいLEDパネルや編み目使用のLEDパネルなどあります。
もちろん映像も大きさによっては、映すことが可能ですが、どちらかというと模様等の投射に向いています。
海外では、LEDマッピングというテクニックがいま一番流行っています。
プロジェクションマッピングの進化系のひとつですが、このようにLEDパネルをブロックの様に組み合わせることで、複雑な形のオブジェを作ることができ、そこに簡単にVJソフトウェアで映像を再生することも可能になってきています。
従来の照明機材は、どちらかというと、あまり目立たないというものが多く 現在では
ステージ上において、ひとつのオブジェとして魅せる機材が多くなっています。
実は世界的に照明業界が一番3Dプロジェクションマッピングがアツいです。
驚くかもしれないが、東京駅などで行われた3Dプロジェクションマッピングなど最新の映像表現手法が、映像業界や映像クリエイターよりもなんと、照明業界の方がテクニックや機材等進んでいます。
このProlight&Soundでも映像機器各社では、3Dプロジェクションマッピングの実演が多く行われていました。
まずは、パナソニック社ブース。
こちらでは、LEDパネルとプロジェクターによる、マッピングや16000ルーメンの非常に明るいプロジェクターを贅沢に使用した3Dプロジェクションマッピングのデモンストレーションが行われいました。
こちらは、ドイツのメディアサーバーのデモ。ミニュチュアの模型に投射 コンパクトながらかなり凝った映像演出をしていました。
東京駅のプロジェクションマッピングで使用されて有名になった、COOLUX社 ブース全体をマッピングしていました。
そのほかにも写真のような人形のアクリルパネルに投射したマッピングや、フォログラムを使用した
マッピング機器等もあり、照明でなく3Dおプロジェクションマッピングの機材や最新テクニックを
見ることもこのProLight&Soundの大きな特徴でもある。
照明関係は、主にホール9と11に展示されている またホール9は2つのフロアに別れており、ホール9.0と9.1があるホール9は、照明でなくなんと映像機器ゾーンがあり、それは日本で言うInterBEEのようなゾーンがあります。
3つめのキーワードである「映像・ネットワーク」はこのホールで展示されています。
実は世界的に見ても、照明と映像は統一されてきており、照明デザイナーや照明会社が映像機材取扱うことや映像データの送出業務 さらにライブ映像の収録や配信なども手がけるなど照明業界と映像は密接な関係となっています。
ホール9.0の中心には、ご覧の通り、そうそうたる映像メーカが展示している
このゾーンは、まるでInterBEEのような雰囲気ですが、来場者の殆どは照明会社や照明デザイナーということが日本とは大きく異なります。
グリーンバック合成のデモンストレーション。簡易スタジオが会場内に作られています。
フルハイビジョンのワイヤレス転送も話題の技術のひとつ。ヘルメットにGoProとフルハイビジョンのワイヤレス送出機を付けたデモ。
昨年のMusikmesse 2013ショーレポートでもご紹介した、ベルギーのArKaos社が、さらに進化した8K映像送出機(メディアサーバー)のStudioServerを展示していました。
4Uのラックマウントサイズに、タッチパネル搭載。またSSDドライブが2機あり、2K映像を複数同時出力など3Dプロジェクションマッピングに最適映像機器として展示されていました。
さらに6系統のHD-SDI入力をオプションで取り付けることができ、放送の現場での映像合成やフルハイビジョンカメラのスイッチャーとしても使用が出来ます。
MediaMasterPro(4K映像出力ソフトウェア)もVer4となりさらに快適かつ映像の再生コーデックを最適化する「ビデオオプティマイザー」の搭載など、幾つかの最新技術が搭載されていました。
最後にホール9.1のレポートです。こちらは、昨年から新しく作られ、中国の工場やブランドを集めたコーナーとなります。
こちらは、ツマミやノブなどを製造している工場
コンサートのステージで良く見かけるライティング機材をつくる工場
最近のLEDパネルなどの映像機器の需要により、中国ブランドの映像機器も多くありました。
日本ではまだ販売されていない、中国ブランドの音響機器やデジタルミキサーなど、実はとても多く存在します。
こちらは、インターネットのIPプロトコルを使用したサウンドコントロールシステム
主に劇場やビルの館内放送に使われてとのこと。
ということで、かなり駆け足でご紹介しましたが、このProLight & Soundでは照明以外にも映像機器やプロジェクションマッピングの最新事情なども見ることができます。
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