NAMM 2013 Rock oN Show Report

Moog Music

アナログシンセを懐古主義から脱却させるグリッチーなサウンドが魅力のSubPhatty登場!これからのアナログシンセの動向を占います!


壁一面に回路図をプリントしたお洒落なブースデザインのMoog Music。ここの隣には楽器メーカーのブースが多くあるので、シンセファンに混じってミュージシャンも熱心に展示を見に来ていました。

Moogは毎年『Moogfest』というMoog博士トリビュートライブフェスを開催していて、そのフェスにはエレクトリカルなアーティストはもちろん、ロック、ジャズ、カントリー系バンドも多数出演します。テルミンはクラシック演奏家の中でも知られる近代古典楽器でもありますし、そういうこともあってMoogシンセはジャンルレスで多くの音楽愛好家から愛されています。(Moogfest:2012年はPrimusも出演しましたね)

さて今回のNAMM Show2013でお披露目された新製品がこの『Sub Phatty』!すでにリリースされているLittlePhatty、SlimPhattyに続くPhattyファミリーの最新作となります。

Sub Phattyは、2×オシレーター、1×サブオシレーター、Moog Ladderフィルター、25鍵盤を搭載した、アナログモノシンセ。他には16のセッティングがプリセットでき、MIDI、USB MIDI、Din、CV/Gateに対応します。

ここまで、シンプルな仕様でちょっと肩すかし感を感じたあなた。Moogモノシンセの基本を踏襲した上で、SubPhattyはここからがすごいんですよ!

Moog Miusicはこのシンセのために回路を一から設計。電源を入れてからオシレーターが安定するまでのウォームアップ時間を大幅に短縮できるほどの精巧なオシレーターや、サウンドに暖かみや太さを加えるMultidriveを搭載しました。このMultidriveはきつくかけるとギンギン、キュリキュリと金切り音をあげていきます。これと精確かつ明るいキャラクターを持ったオシレーターが組み合わさったことにより、SubPhattyはMoog Musicいわく「これまでで最もグリッチーなMoogシンセ」に仕上がったということです。

歴史的なMoogサウンドのファットなサウンドはもちろん、全く新しい”良い意味でキツい音”は、あのFlying LotusとAdam Fuchsによるエレクトリカルかつハイエナジーなデモムービーでご覧いただけます。細かい仕様の説明よりも、このデモムービーに込められたMoogとアーティストの思いが全て、音で語られています。ぜひご覧ください。

2012年にデビューしたArturia minibruteや今回のNAMM Show 2013で発表されたDSI Prophet 12も、SubPhattyのMultidrive機能の様に独自の機能を搭載し、これまでのアナログシンセが発することのなかった複雑で過激なシンセサウンドにチャレンジしています。この流れから、「アナログ=ウォーム、ビンテージサウンド」という懐古主義を脱却した、新しいアナログサウンドを持ったシンセサイザーがこれから台頭してくるのではないかと、予測しています。

SubPhattyは2013年3月の発売予定。価格は$999前後。Moogの鍵盤付きアナログシンセがこの価格…。良い時代になったものです。

これは驚きの白色Minitaur!元祖黒ボディのMinitaurはクラシカルでヘビーなイメージでしたが、これはなんだか繊細で女性的なイメージですね。心無しか雄牛のロゴもかわいく見えます。

黒、白、黒、白、でラックマウントさせるととてもお洒落。こういうの見るとやってみたくなるんですよね。壁面シンセを作ろうと調子に乗って、押し入れを壊した事を思いだします。後でこっぴどくしかられて。

こちらは最新もでるに引けを取らず黒山の人だかりができていたのは、Moog Musicのフラッグシップシンセ『Minimoog Voyager』生誕10周年を記念して作られた超ゴージャスなアニバーサリーモデル。

24金メッキコーティングのパネル、ピアノブラックラッカー塗装のウッドキャビネット、アワビ貝インレイ、24金のユーザーネームプレート等々、さすがアメリカンブランドらしい感覚のとにかく超ゴージャスできらびやかな仕様です。インレイに使われるアワビ界は品質の確かさから日本産が指定されているなど、上質な素材に徹底的にこだわったシンセサイザーです!

この特別モデルは世界生産31台の限定品で、お値段もゴージャスな$15,000!通常のMinimoog Voyagerと同じく、Moog Music本社の職人がほぼ全ての行程を手作業で行っているとのこと。やること成す事すごいぞ、Moog!

MoogはiAppもリリースしています。Anisotropic Synth Engine (ASE)音源を搭載した『Animoog』(現在発売中)は、画面を大きく占める美しいXYパッドを使った積極的なサウンドメイクができるのが特徴。それに加え、鍵盤一つ一つにそれぞれ独立したモジュレーション用スライダーを搭載していて、タッチパッドならではの有機的な表現を可能にします。

さらにこの鍵盤、スケールの設定が可能で(ドリアン、ペンタトニック…など)タッチパッド鍵盤によるミスタッチを防いだり、即興演奏の手助けとなったりと幅広く応用ができるんです。

今や様々なiAppシンセサイザーがリリースされていますが、このAnimoogのiPadならではの操作感や、新しくありながら定番ジャンルの楽曲にスっと溶け込める柔軟なサウンドは特筆ものです。

そしてこちらはAPI500準拠モジュール製品。『500 Series Analog Delay』(右側黒色)と『500 Series Ladder Filter』(左側オレンジ)。

500 Series Analog Delayは内部をデジタルで制御し、音に関わる部分は完全アナログ回路で構成されたディレイ。DriveツマミではWet音に対するサチュレートも可能で、非常に温かいアナログディレイサウンドを醸し出します。さすがのデジタル制御、ディレイタイムは最大800msを誇ります。

500 Series Ladder FilterはMoogシンセサウンドを決定つけているラダーフィルターをAPI500化したモデル。こんなに小さくても太くリッチなフィルターサウンドを奏でます。

http://www.moogmusic.com/

 

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