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前回のレビュー「#01シンセベース」 ではアナログ音源部のみを使用してシンセベースの音を作成しましたが(前回の記事はこちら)今回はデジタル音源をアナログ音源部に通すという「DigitalとAnalogのクロスオーバーコンセプト」を実践してみたいと思います!
トランスミュージックの歴史を刻んで来た「Super Saw」波形をデジタル音源部に複数搭載!
「Super Saw」波形は1996年にRoland JP-8000に搭載された波形で、シンセの基本波形である「Saw Wave」を複数重ねて少しずつピッチをずらしたディチューン効果で単音で発音しても厚みとインパクトのある音色です。この音に触発されるかの様に「ユーロトランス」「エピックトランス」と言われるジャンルが生まれ90年後半から200年代半ばにかけて世界的・爆発的なムーブメントとなりました。その後もエレクトロ、EDMへと受け継がれて行き20年が経過した2016年現在でもヒットチャートを賑わせる楽曲の中でその音色を聴く事が出来ます。その「Super Saw」波形がJD-XAのデジタル音源部に複数搭載されておりますので、今回はその波形をデジタル音源部代表という事でフィーチャーしたいと思います。
「Super Saw」とアナログのクロスオーバー
アナログシンセの音色は 太い、温かい、パンチがあるなど、その存在感の強さを求め続ける声に応えるように実に30年ぶりに発表されたRolandのアナログシンセ「JD-XA」ですが、そのコンセプトはデジタルとアナログのクロスオーバー。デジタル音源部に搭載されたIntegra-7互換音源をアナログフィルターに通す事が可能なのです!
この考え方はRoland JUNO-106の「DCOをアナログフィルターに通す」方式と同じで、アナログフィルター部がサウンド作りに大きな影響を与え、JUNO-106の正確かつファットな音色は世界中のミュージシャンに愛用され続け2015年に「JU-06」として復活を果たしました。
デジタル波形をアナログフィルターに通す、JD-XAデジタル音源部をアナログフィルターに通してアナログ回路の飽和感を音色に与える事が可能です。それでは「Super Saw」とアナログフィルターのクロスオーバーをテーマにしたサウンドサンプルをお聴き頂きたいと思います!
「フレーズとしてのフィルタープレイ」を確立した例
フィルターを「開く」「閉じる」という動作をフレーズとして取り入れた歴史的瞬間がどの曲だったのか私には分かりませんが、トランス王道プレイとして確立されました。フィルターを開いた時の高揚感は高域の強さに比例しますので、耳障りにならないレベルでの音作りが重要になります。そういった意味でアナログフィルターのリミッター感は「Super Saw」と相性が良いと思います。この音はデジタル音源部の「Super Saw」をアナログフィルターにルーティングしつつ、アナログ音源のSaw Waveを2つディチューンさせて混ぜています。
アンプ部を歪ませ飽和感を出すDriveつまみ
JD-XA本体アナログセクションにある「Drive」つまみを上げてサウンドに飽和感を出すとアナログの醍醐味を味わえます!アナログは歪ませてこそ、デジタルに真似の出来ない領域があるのではないでしょうか。
デジタルフィルターをエンハンサー的に使う
デジタル音源部にも勿論デジタルのフィルターが搭載されていますが、アナログと違った切れの良さがあります。アナログだと雑味が加えられそれがアナログの魅力なのですが、スッキリとかけたい場合はデジタルのフィルターもお勧めです。このサンプルではデジタル部のピーキングフィルターで音を煌びやかにした後にアナログフィルターに通す2重がけを行っています。以前はハードウェアのエンハンサーでいかに音色を派手にするか試行錯誤しておりましたが、JD-XAの場合ピーキングフィルターを使うのが効果的です。
本体8パートをフルに使用したサンプル
アナログパートでキック、スネア、ハイハット、ベースを各1パートを使ってリズム隊を作成し、デジタル4パートでリフやメロディを作成、パターンシーケンサーを再生させたまま各パートをミュートON/OFFして場面展開を作っています。
JD-XAシステムプログラムVer.1.5が公開されておりますので、ユーザーの方はチェックしましょう。
JD-XAサポート情報
JP-8080を使った私の2003年未公開曲がありましたのでSuper Saw音源という事でアップします。
30年の歳月を経て蘇ったアナログシンセ「JD-XA」を使って新たなトランスミュージックが生まれて来る事を願ってやみません。それを作るのはこの記事に興味を持ってお読み頂いた、あなたです!
Rock oN 渋谷店 SYNTH HEAVENコーナーでお会いしましょう!
JD-XAを常時展示してお待ちしております!今回ご紹介しましたサウンドも含め、実際に演奏してJD-XAの実力をお確かめ下さい。音作りの質問や曲作りについてのご相談なども大歓迎ですよ!それではまた次回お会いしましょう。
記事内に掲載されている価格は 2016年7月16日 時点での価格となります。
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