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もはや定番となったiD22, iD14。勢いが止まらないAudientから待望のコンパクトオーディオI/F、iD4が登場しました!(今回は完全USBバスパワー。ファンタム電源もバスパワーでしっかりと使えます!)
音楽の本場、英国にて鍛え上げられたAudientのオーディオインターフェースは「プライスレンジを超えた高い音質」「ラージフォーマット・コンソールデザインに基づいたエルゴノミックなデザイン」の融合をコンセプトに持ち、プロフェッショナルなユーザーからも高い評価を得ています。
実際に海外では高い評価を得ている今回の新製品iD4は「プリプロ段階からリリースクオリティのレコーディングを実現する」をコンセプトに持つ期待の製品です!
ここからは我々Rock oNがその使用感、音質を徹底レビューします!
「音楽」を再現する出力セクション
まずは、気になる出音のチェックから始めてみました。同価格帯のインターフェース数機種と聞き比べましたが、スピーカーから出力されるサウンドはさすがの一言。
この価格帯のインターフェースではなかなか得られないローエンドの量感です。ここがしっかりと見えていないと音楽で一番重要な「音程感」「音圧感」の判断がしづらくなるということを理解した上でのチューニング…流石です!ローだけでなく、トップエンドもしっかり伸びているので、全体を通して非常にバランスが良く、5インチ以下の小口径のスピーカーでも全帯域をしっかりとドライブしてくれます。
特にリーズナブルな価格帯のインターフェースはパッと聴いた際の派手さを重視する傾向が強く、ハイ上がりなキャラクターを持つ機種が多いとも言われますが、それでは別の環境で2ミックスを再生した時に「あれ?こんなはずでは…?」となってしまうでしょう。iD4ではその傾向は感じられません。
(これはあくまで同価格帯同士を聞き比べた際の印象です。さらに高音質をお求めの方は、ワンランク上のiD22、iD14を購入すると、更に良い結果が得られると思いますよ!)
また、ヘッドフォン端子が標準ジャックとステレオミニの両方用意されているので、変換プラグを紛失した時でも安心です(笑)また、両方のジャックに挿してモニターすることも可能なので、二人作業をする時も非常に便利です!
上位機種譲りのディティールに溢れるマイクプリ&D.I サウンド
製品コンセプトで「リリースクオリティ」と謳うからには、録り音の品質は重要です。iD4にはクラスAディスクリートのマイクプリアンプ、JFETを用いたD.Iがそれぞれ一基ずつ搭載されています。これらの入力は別チャンネルとなっているので、弾き語りの収録等も簡単に出来ます。
D.Iの音色は、非常に素直ですが、倍音に富み、これもマイクプリアンプと同様に、アンプシミュレーターやコンプレッションの効きが良く、DAW制作のツボを押さえたサウンドとなっています。
Audientのフラッグシップコンソール、ASP8024の流れを組むプリアンプセクション
アナログ入力にはお家芸のAudient ASP8024コンソール直系のマイク・プリアンプを採用。ディスクリートクラスAで組まれた回路はこのiD4でも健在です!
コンソールのプリアンプ設計は単純な音質の追求だけでなく、発熱や電力消費量等、様々なファクターをクリアして完成される、言わばノウハウの塊のようなもの。iD4はUSB電源ですが、バスパワーのままDIN45596規格を満たした安定したファンタム電源供給を得つつ、コンソールプリアンプと同等デザインの回路をドライブします。
これは高い基本設計技術に裏打ちされたものです。別途ACアダプター要らずでバスパワーのままコンデンサーマイクも使用できるiD4は、コンパクトな環境を構築したい方に最適です!
続いて、音色の傾向はもはや定番のAudientサウンド。しっかりとローエンドのインフォメーションを確保した上で、歪みや嫌な誇張なく素直に伸びるトップエンド。コンプEQの効きも良く、非常に素直です!
これはAudientのマイクプリアンプ全般に言えることなのですが、Waves Artist Signatureシリーズ等、エフェクト効果の強いプラグインを挿した時に非常に効きがよく、エフェクト乗りが良いことも大きなポイントです。
キャラクターが強かったり、ローエンドが薄い廉価なマイクプリアンプだとこうした効果の強いエフェクトをかけた時にどんどんハイが誇張されて耳に痛いサウンドになりがちですが、Audientのマイクプリアンプはハイとローが離れすぎず、とてもバランス良く仕上がるのです。
求める機能に即アクセスできる、エルゴノミックなハードウェアデザイン
ハードウェアデザインは兄弟機であるiD22, ID14のデザインが踏襲され、高級感あふれるアルミ天板をスチール筐体に被せた仕様で、安定感があります。ケーブルに引っ張られて傾いたりすることもなく、デスク上でも操作に支障をきたすことはなさそうです。
左側にはマイクプリアンプ、D.I.のゲインポット、中央には入力モニターとDAWリターンのMIXノブ、スピーカーミュートボタンやiD4でも評価の高い「iDスクロールコントロール」ボタンが備わっています。
右側にある大きなエンコーダーはスピーカー/ヘッドフォン出力ボリュームをコントロールするエンコーダーが備わっており、非常にコンパクトにまとめられています。
Monitor MIXノブ & Monitor PAN
やはりレコーディングをする上で、重要なのがモニターセクション。
iD4はDAWミックスとインプットボリュームのブレンドをコントロールするMonitor MIXノブが装備されています。
iD4のようなコンパクトな入出力数だとシンプルなノブ操作の方がミックスバランスも作れますし、調整もマウスを使わずサッとできるので、実は楽なんですよね。
コマンド+Tabを押してミキサーアプリウインドウに切り替えて、、、という手間より、アイディアを失わないスピードを重視した設計です。
Monitor PAN
MUTEボタンとiDボタンを同時押しにして設定する機能です。これは単純なマイクプリアンプ(Ch.1)とD.I(Ch.2)のパンを左右に振り分ける機能なのですが、例えばボーカルを片耳から出したい時や、ギターとボーカルを少し左右に広げてモニタリングしやすくしたい、といった時に有効な機能です。
ちょっとした隠れ機能のようなものですが、実際にミックスバランスを調整したり、センター定位だと分離感が悪くてモニタリングしにくい時にこの機能で少しパンを広げるだけでだいぶ聞きやすくなります。
必要な機能だけを集約した、クリエイティブな感覚を損なわないiD4
ここまでDAWが発展した環境で今、クリエイターに求められている感覚は「スピード」なのかもしれません。これはDAWでもドラッグ&ドロップに焦点を当てたPresonusのStudio Oneや、Steinberg Cubaseのコード・トラック機能等、クリエイターの作業効率と制作スピードを上げる試みが多く持たれています。
機動性のあるバスパワー駆動&プロクオリティで戦える音質を持ってリリースされたAudient iD4はある意味、そんな時代の流れを象徴しているプロダクトなのかもしれません。見やすいレベルメーターや、操作し易いエンコーダー、2口のヘッドフォン出力等、「後、ここがもう少しこうだったらな、、、」という機能をしっかりと搭載しています。
そこにこの音質で、この価格であれば、フロントエンドとして十分な性能を発揮してくれることでしょう。あえてシンプル、でも外さない。そんな小粒でピリリと辛い英国ブランドの魅力を、ぜひ店頭でもお確かめください!!
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