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前回のリモートレコーディングの記事大変反響もよく皆さんがもっとも興味のある事柄だと実感しました。新型コロナが収束していっても宅録が仕事としてのマストの条件になるのは確実だと感じました、もちろんアマチュアの方でもファイルのやり取りだけではなく気軽にディレクションしたいという方もいらっしゃると思います。ここまでのリサーチで色々と試した結果ある問題点があることがわかりました。
以上3点が考えられるパターンです。ある程度のクオリティのものを録音するのを前提に記事を進めたいと思います。
相互コミニュケーションツールとしてのZOOMは大変便利で、しかも操作が簡単です。あとSkypeやMeatと比べて、音声通話におけるレイテンシーも少ないので実際の会話にストレスがありませんでした。そして画面共有や相手のPCをリモートで操作できるというところも特筆すべき点だと思われます。
前回はLoopbackと併用することでZOOMの音声転送のラインにマイクとPCの音声を乗っけるというオールインワン的な発想でのリモートレコーディングの方法の一つをご紹介しました。ですが、あの方法はあくまで演者(Aとする)が歌唱(演奏)してDAWの操作もしなくてはなりません・・・
問題点が3つあるうち、少しでも解決できればみんながWINWINの関係なのですが(問題点1)に関しては、なんとかある程度のクオリティのものを揃えて欲しい、と言ったところです。まあ揃えると言ってもPCさえあれば
と言ったところでしょうか。試算では10万でギリギリ収まると思っています。「仕事でやるんだ!」という人であればなおさらここは投資したいところですね。
(問題点3)は各自整えていただくとして、最大のネックになるであろう(問題点2)です。これは永遠のテーマかもしれません。ですが、演者に良いプレイをしてもらうとすればこれはなんとかなるのではないかというのが長々前置きしましたが本記事の一例になります。今回も言いますが、あくまで一例なのでこれを参考にご自身の環境やスキルに合わせてアレンジしていただければと思います。
Audiomovers+ZOOM
リモートレコーディングの話となれば必ずでてくるツールの「Audiomovers」をZOOMと組み合わせての方法を今回はご紹介したいと思います。今回はシンガーソングライターのユリカリパブリックさんにご協力いただきました!
やり方自体はシンプルなのですが、ちょいちょい工夫している点もありますのでそこも含めてご紹介いたします。いつものやりとりはLINE等を通話状態にして生歌を聞きDropboxでDAWのソングファイルを共有しているので歌い終わったら開いて確認という一手間かかっている状態でした。
その後、ユカリパブリックさんと前回ご紹介したZOOM+Loopbackを試したのですが。やはり設定に(理解している自分ではなく)手惑いました。これを踏まえて他にシンプルな方法はないかというとことで32ビットまでのPCMを転送できるAudiomoversをオーディオのラインに使い、リモートの部分をZOOMで出来ないかの検証をしてみました。
意外な結果だったのですが、リモート機能でディレクションする側(以下B)からAのDAWを操作した時のレイテンシーが思ったよりもなかったというのがありました。操作するスキルは各々違うのでここは訓練?かもしれませんが短めのワンワードをパンチインというのでなければ問題ないレベルでした。
1)まず前提としては使用するDAWがAとBで同じだとベストですが同じではなくても良いです!同じではないと仮定して録りたい曲のオケ(2Mix)を頭から書き出して相手に送ります。その時、サンプリングレートとビットレート、テンポの情報も併せてお伝えください。そのファイルを相手のDAWに貼ってもらいます。あとは演者のいつものセッティングで録音する数トラックを作ってもらって録音待機にしてもらいます。
2)ZOOMでAとBを繋げます。この時重要なのがZOOMでのコミニュケーションするデバイスを録音再生するデバイスと切り離すということです。一つの例としてPCの内蔵オーディオのイン/アウトをZOOMに割り当て録音再生にオーディオ・インターフェースを割り当てるのが良いでしょう。マイクで録音するとすれば相手側のZOOMのマイクはオフにしていてOKです。むしろオフにしていた方がスムーズに行きます。(こちらから作成したZOOMのミーティングであればこちらからのマイクオンオフの制御でもOKです。)
3)B側からZOOMの機能でリモート要求をしてAのPCを操作できるようにします。
4)A側のPCのDAWマスターアウトフェーダーにAudiomovers 「LISTENTO」プラグインをインサートして
B側のDAWのマスターアウトにAudiomovers 「LISTENTO Reciver」プラグインをインサートします、
Aはアカウントにログインして「Copy Link」にてB側にURLを送る(パスワードなしでもOK)。つまり、DAWの音声はAudiomoversでやり取りをするということになります。
やり取りの転送クオリティはジャッジできればAACでも構いません、実際に録られているのはA側なので転送中のパケットロスは問題ではありません。
5)あとはB側でロケートして録音していくだけです!それだけです!
あらかじめ録音、再生やアレンジメントウィンドウのズームぐらいのショートカットを聞いておけば、こちらからの操作も楽になります。注意点はマウスで録音再生を押すとそれなりにレイテンシーあります。実際のセッティングはこちらになります
こうすることで実際の操作におけるレイテンシーをカバーできる
ポイント3)DAWのプロジェクトファイルはDropbox等で共有、同じDAWであればそのまま開けば転送等の作業時間短縮になります。
ポイント4)やる気になればPCM32ビットで直接AからBに転送できる
以上、思ったよりも簡単で普通にいい音で録音することができます。Dropboxで共有することでファイル転送の煩わしさからも解放されますし、何よりもA側のストレスは皆無です。ビデオでのコミニュケーションも取れますので、何かトラブルあったときに見せるというのも可能です、
譜面や歌詞のファイルのやり取りはZOOMのチャットを通してもDropboxでもOKです。
実際に今回歌ってもらったユリカリパブリックさんに感想を聞くと「いつもの自分で録るレコーディングより楽だった」との感想をもらいました。そりゃそうですよね。トランスポート含むディレクションもこちらでやったのでシンガーさんはただ歌うだけなのです!!そう考えるとシンプルで良い方法なのかも知れません。
前述した(問題点3)の件ですがWi-Fiでも問題なくいけました(上り下り100Mbps程度)。実際録るのはB側ではないので、リモートする時点でのレイテンシーが出るようでなければハードルは高くないと思います。
もう少しコストをかければ、安定したレコーディングもできるかと思います。今回のコストですがDAW周りが揃っていると仮定すればAudiomoversの1週間3.99ドルという感じなので、ピンポイントで課金しても良いかもしれません。何が正解という問題なのですが、それぞれの環境だったりスタイルに合うものが正解なので、まずは一回やってみるのも良いかと思われます!チャレンジしてみてください。
こちらも要チェック!
作曲からミックスまで、田辺さんのノウハウを垣間見ながら、その中で制作風景や気になるクリエーターを紹介したり、最新の機材をいじっちゃいます!
記事内に掲載されている価格は 2020年5月29日 時点での価格となります。
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