
2025年11月7日に開催された無料配信イベント「Wavetableシンセの金字塔『Serum 2』徹底解説!作曲VTuberミディが語る、制作効率を爆上げする音作りのコツと秘訣」より、主要なポイントと音作りのノウハウをレポートします。
ウェーブテーブルシンセサイザーの金字塔として知られるSerum(セラム)は、約10年の時を経てメジャーアップデートを果たし、Serum 2として登場しました。本イベントでは、自身の制作するEDM楽曲の約80%でSerumを使用する作曲VTuberのミディ氏をゲストに迎え、その魅力と実践的な活用法が語られました。
Serumの魅力:セールを行わない「かっこよさ」と無料アップデート
Serum 2へのアップデートは、Serum 1の既存ユーザーに対して無料で提供されています。 また、Serumは実はセールを行わない製品であり、ミディ氏からは「セールをやらないところが逆にかっこいい」との評価も寄せられました。ミディ氏はSerumを長年使用しており、バージョン2がリリースされた初日に導入したほどのヘビーユーザー。
彼にとってSerumが特に魅力的な点として挙げられたのは、その直感的で視覚的な使いやすさです。音作りが苦手だった時期があるミディ氏にとって、機能が直感的にわかりやすく、見た目で理解できる点が非常に重要でした。
制作効率を「爆上げ」するSerum 2の新機能と活用法
ミディ氏は、Serum 2で追加・強化された機能が、自身の楽曲制作効率を大幅に向上させたと語っています。
1. 総合音源化を促進するオシレーターの進化
Serum 2では、オシレーターの数が増え、より複雑な音作りが可能になったことに加え、以下の機能が特に制作に役立っています。
• マルチサンプル機能の追加:
ピアノやストリングス、ギターなどの生楽器系の音が扱えるようになり、これによりSerumが「総合音源」のようになったと感じられるほど進化しました。マルチサンプルは、音域やベロシティに応じて複数のサンプルを切り替えるため、再現度が高いのが特徴です。
• オシレーターの増強:
3つ目のオシレーターが追加され、サウンドの重ねられる量が増加しました。
2. フレーズ制作の指針となるクリップ/アルペジオ機能
新機能のクリップ機能(アルペジオ/シーケンス)は、鍵盤一つでフレーズを鳴らせるため、内蔵プリセットにフレーズが入っていることで、その音色の効果的な使い方を学ぶ参考になります。EDMやフューチャーベースなど、様々なジャンルのMIDIフレーズが充実しており、初心者にとって大きな勉強材料になると評価されています。
3. 強化されたモジュレーションとマクロ制御
Serum 2では、マクロノブの数が倍増しています。
• マクロの活用:
ミディ氏は音作りをしながらマクロを一緒に組み込むことで、後からの調整(いじりやすさ)を確保しています。
• 視覚的なルーティング:
エンベロープやLFOをドラッグ&ドロップするだけでパラメーターに紐付けられるため、ルーティングが非常に簡単です。
4. 音色に「空気感」を加える新たなエフェクト

4. 音色に「空気感」を加える新たなエフェクト
追加されたエフェクトの中でも、コンボリューションリバーブが音色の色付けに便利だと多用されています。IRサンプル(インパルスレスポンス)を読み込むことで、空気感やキャビネットの響きなどを手軽に加える使い方がされています。
ミディ流 音作りの秘訣:ベース音色を「重ねて」作る
ミディ氏の音作りでは、特に申請が必要な場面で「とりあえずセラムを立ち上げる」ことからスタートし、プリセットを基軸にしながら、最終的な曲のイメージに合わせて調整を加えることが多いです。
ミディ氏のベース音色作成の一例は以下の通りです:
1. 波形選び:
まず作りたい音色をイメージし、それに合う波形(例: 太いベースには「Perfect Yaoyao Sub Shape」)を選ぶ。
2. エンベロープ調整:
アタック、ディケイ、サスティンを設定し、音の長さを決める。
3. アタック音の付加:
音の存在感(特に中音域や高音域)を出すため、アタック音を足す工程が重要。
◦ LFO/エンベロープをピッチに適用し、アタック感を強調する。
◦ または、ノイズオシレーターを使い、キックのアタック波形などを重ねて、高音域のアタック成分を補強する。
4. エフェクトでの肉付け:
迫力がないと感じた際はディストーションをかけたり、コンボリューションリバーブやハイパーディメンション、ユーティリティ(定域をモノラル化し、広域を広げる)などを用いて、音色に空間処理や広がりを加えます。
ミディ氏は、音作りにおいて、海外のチュートリアルなどを参考に基本を学び、そこから自分なりの調整を加えていくのが良いとアドバイスしています。また、ファクトリープリセットの出来が非常に良いため、音色を聞いて「こういう曲が作れそう」とインスパイアされることも多いとのことです
記事内に掲載されている価格は 2025年11月14日 時点での価格となります。
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