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2026年8月8日(土)、Rock oN Umedaにて「ロックオンアニソン塾Vol.4 ハマダコウキ × 星銀乃丈 作編曲対決 〜同じ起点から枝分かれする楽曲設計〜」が開催されました。
講師に迎えたのは、鋭い感性とロジックで唯一無二のサウンドを打ち出す作編曲家・ハマダコウキ氏と、洗練されたメロディセンスと緻密なトラックメイクで魅了するクリエイター・星銀乃丈氏。今回は「作編曲対決」というテーマでの開催となりましたが、会場は熱心なクリエイターたちで埋め尽くされ見事満員御礼に。お二人への注目度の高さを物語るスタートとなりました。
同じ素材に対し、それぞれの視点からのアプローチを比較していく、まさに対決形式ならではのセッションが展開。思考プロセスや音の組み上げ方の違いがリアルタイムで明かされ、参加者も終始真剣な眼差しでステージを見つめていました。
単なるテクニックの解説にとどまらず、クリエイターとしての考え方やこだわりがリアルに交差する、非常に濃密な時間となった本イベント。この記事では、今回のセミナーで語られたトピックの中から、音楽制作に携わるすべての方に役立つポイントをダイジェストでお届けします。お二人が魅せた「音の組み立て方」の裏側を、ぜひ追体験してみてください。
講師プロフィール
第1部|星銀乃丈 作編曲解説
第1部では、星銀乃丈氏が自身の音源を披露し、直感と技術を掛け合わせた独自の作編曲論をたっぷりと明かしてくれました。
Aメロのみという限られた素材からアイデアをどんどん広げ、一気にひとつの楽曲へと仕上げていくプロセスを解説。
感覚的に制作を進めていく星氏と、対話相手のハマダコウキ氏との掛け合いも楽しく、会場は終始なごやかな雰囲気に包まれていました。
音色や雰囲気が持つインスピレーションを大切にする星氏。ハマダ氏から「コードは脳内で鳴ってる感じですか?」と聞かれ「はい!」と即答すると、「説明してくださいよ!セミナーですよ!」とすかさずツッコミが入る一幕も。
感覚派な星氏と、そこに切り込んで解説を引き出すハマダ氏のやり取りに、参加者からは何度も笑いがこぼれていました。

デモの解釈とアレンジ・サウンド構築のアプローチ
星氏は、渡されたAメロの素材からアイデアを広げ、まずは「頭の中で最初に思いついたメロディを最後まで一気に書き切る」というスタイルで作曲を進めたと語ってくれました。
アレンジ面で特に印象的だったのは、エレクトロなサウンドのなかで有機的な生楽器のサウンドを活かすアプローチです。「じゃりじゃりした歪みやノイズ感のある音色を入れると帯域がしっかり埋まる」といった実践的なノウハウをはじめ、ピアノをレイヤーして「コード感を補うトラック」と「ビート感を補うトラック」に役割分担させる方法など、サウンドに表情をつける緻密なテクニックが次々と紹介されました。
また、星氏は「ボーカルの質感そのものがジャンルの表現に直結する」と語ります。特に強くコンプレッションを効かせたボーカル処理は、エレクトロな質感にぴったりハマるのだそう。
ハマダ氏から「音色や雰囲気、カラーから得る情報が多いんですね。」と問われると、「その通りです!」と即答。
やりたい表現に向けて音源やサンプラーをガチャのように試していく手法など、星氏ならではのテクスチャー感や空間表現を生み出すプロセスが明かされました。
そうして音を組み上げながらも常に意識しているのが、「次の展開でこれが来たら嬉しいな」「聴き手はきっと次こう来てほしいはず!」といった、聴き手からの目線を取り入れることだそう。これが心地よい展開を作る一番の鍵になっているようです。
ジャンル知識をめぐる、クリエイターたちのリアルな本音
トークの途中、前回のアニソン塾 Vol.3で講師のKijibato氏が語った「ジャンルの知識は武器になる」という話題に。
ハマダ氏が「ジャンルを知らないと引き出しが減るから勉強が必要ですよね」と投げかけると、星氏からは「ん〜…実はそうでもないかも」と意外な回答が飛び出しました。
星氏らしい柔軟な視点と、クリエイター同士の繋がりを重視する温かい空気が垣間見える一幕となりました。
第2部|ハマダコウキ 作編曲解説
第2部は、ハマダコウキ氏による作編曲解説セッションです。
星氏と同様、Aメロのみのデモから事前に発展させた楽曲をベースに、その構築プロセスやクリエイターとしての思考法が明かされました。
冒頭、ハマダ氏が用意した作り込み抜群の解説スライドが画面に映し出されると、星氏から「何このスライド!?」とさっそくツッコミが入り、会場はなごやかなムードでスタートしました。

マインドセットと環境作り
ハマダ氏は、セミナーの冒頭で「今日持ち帰ってほしい3つの要素」として次のポイントを提示しました。
特に強調されていたのが、最初から完璧を目指さないこと。”この曲が良い曲かどうかを判断できるライン”まで手を止めずに最速で持って行く重要性を説きます。「作曲は発見、編曲は努力と研鑽。どちらもインプットをサボってはいけない」という言葉に、星氏も「やっぱりインプットは大事か〜。」と納得の表情でした。
またデスクに縛られすぎず、没頭できる環境作りを大切にしているというハマダ氏。
「良いものを作る技術よりも前に、まずは集中できる環境が重要。僕はシャワーを浴びている時にアイデアを出すことが多くて、1日2〜3回入ることもあります」と明かすと、すかさず星氏も「分かります!『小林さんちのメイドラゴン』の曲を作ってた時期、水道代がやばかったです…!」と共感し、会場からも笑いが起こりました。
アレンジの組み立てと分析の深さ
講義の後半、ハマダ氏がアレンジにおけるインプットの重要性を解説するなかで、スライドに突如表示されたのは、なんと星氏の楽曲「セレナーデ」をセクションごとに緻密に分解した楽曲分析データでした。
これには星氏も「びっくりしたんだけど!なにこれすごいよ、ハマダコウキこりゃ売れますわ……!」と絶賛。たくさんの曲をただ聴くだけでなく、セクションごとに分解しながら聴き込むという、ハマダ氏のインプットの深さが実証された瞬間でした。
続いて語られたのは、アレンジを構築する上での「縦(リズム)」と「横(フレーズ)」の考え方です。
音を組み立てる際、単に「音数が多い/少ない」で考えるのではなく、縦と横の比率をセクションごとに変えていくことで、同じ楽器編成のままでも豊かな展開が作れると解説します。
ハマダ氏からは「この縦と横のバランスを意識しながら普段から曲を聴くようにすると、自分なりの感覚として身に付いていくと思います」と、すぐに実践できるアドバイスが送られました。
また、音を配置していく工程については、「あとで引けばいいので、まずは一旦要素を足してみる。ただし、その音がどんな役割を持っているかはきちんと明確にしておくこと」が重要だと語ります。
第3部|講評会・Q&A
第3部では、共通の素材から生まれたお互いの楽曲を聴き合い、プロの視点から感想やアイデアを送り合う講評会が行われました。
それぞれの個性がしっかりと出たアレンジを前に、お互いへのリスペクトと新しい発見に満ちた楽しく深いトークが繰り広げられました。

お互いのアレンジで刺さったところは?
まず話題になったのは、相手の楽曲の「特にここが刺さった!」というポイントです。
星氏は、ハマダ氏のアレンジが持つ圧倒的な王道感とキャッチーさを大絶賛。「世代やジャンルを問わず、誰の耳にもストレートに届くポップスとしての強さがあり、自分が可愛らしい曲を作ろうとした時とはまったく違うアプローチになりますね。」と感銘を受けていました。
一方でハマダ氏は、星氏のBメロにおける「引き算の思い切りの良さ」に注目。自分だったらつい音を足したくなってしまう場面で、あえて思い切って音数を削ぎ落とせるセンスと勇気が素晴らしいと称賛していました。また、使っている楽器は違いながらもAメロのアプローチには似た部分があり、そこから全く違う展開へと広がりを見せていくといった面白さを実感しているようでした。
メロディ音色の意外な共通点
共通点のトークでは、お互いがデモ作成時に使っていたメロディの音色に注目が集まりました。
実は二人とも、作編曲家の堀江晶太氏の手法を参考にしていて、ビブラフォンのリリースをカットした音色を使っていたことが発覚。
音のアタックと音の音価(長さ)がしっかり伝わる音色にすることで、ボーカリストに意図が伝わりやすく、意図しない箇所ににブレスを入れられるのを防ぐという、実践的な工夫を共有していたことが分かりました。
Q&A
セミナーの締めくくりに行われたQ&Aコーナーでは、参加者のみなさんから制作の悩みに直結するリアルな質問が多数寄せられました。
ここでは、その中から特に印象的だった質問をピックアップしてご紹介します。
Q:作曲前のアイデア出しの段階では具体的にどういったアプローチを?
Q:楽曲分析ではどんなふうに音楽を聴いていますか?
Q:楽曲作りのモチベーションがあまり出なくて…解決策はありますか?
まとめ
同じ起点だからこそ見えた、それぞれのクリエイティビティ
Aメロのみのデモという同じスタートラインから出発しながらも、直感や感性を研ぎ澄ませて世界観を広げていく星氏と、ロジカルな分析と確固たる思考法で物語を紡ぎ出すハマダ氏。
対極のようにも見えるお二人のアプローチですが、その根底にあるのは、音楽を心から楽しむという深い音楽愛でした。知識だけでなく直感にも頼り、そしてツールやノウハウを柔軟に取り入れる姿勢など、今回の対決形式だからこそ見えてきた作編曲の可能性と奥深さは、参加者にとっても大きな刺激とヒントになったはずです。
作編曲対決というテーマでありながら、終始お互いへのリスペクトと温かい空気に包まれていたロックオンアニソン塾Vol.4。テクニックだけでなく、音楽や自分自身との向き合い方にまで触れられたこの濃密な時間は、明日からの楽曲制作をより自由で、もっと楽しいものに変えてくれるはずです。
DJ After Party -supported by AlphaTheta
本編終了後にはDJアフターパーティーを開催!
実はセミナー本編の休憩中にも、ゲストDJのやましげん氏が星氏・ハマダ氏の制作楽曲に合わせたこだわりの選曲でブースを盛り上げてくれていました。

アフターパーティーでは、やましげん氏に加えて講師の星銀乃丈氏もDJとして登場!軽食やドリンクを片手に豪華なDJ陣によるプレイを楽しんだり、実機体験コーナーに触れてみたりと、参加者同士の交流が盛んに行われていました。

次回ロックオンアニソン塾Vol.5開催決定!
直感とロジック、それぞれの美学が交差し、作編曲の新たな可能性を示してくれた今回のセッション。会場を包んだ大きな熱気と感動冷めやらぬなか、ロックオンアニソン塾 Vol.5の開催が2026年11月14日(土)に決定しました!
次回は一体どんなクリエイティブの火花が散るのか、ぜひご期待ください!
次回、アニソン塾Vol.5開催情報や最新のイベントニュースは、以下の公式SNS・ウェブサイトにて随時発信してまいります。
いち早く情報をキャッチするために、ぜひチェックをお願いいたします。
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ライター:梅田店スタッフ 岸本
記事内に掲載されている価格は 2026年9月3日 時点での価格となります。
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