製品レビュー、試聴からサポート情報、キャンペーンまで製品別にフォーカス。活用のヒントがここに集結。
中国最大の検索エンジンBaidu(百度)が中国スタートアップのAI / 音声アシスタントを武器にするraven tech社を社員まるごと買収したニュースが流れたのは2017年2月。さらにAI分野のスペシャリストであるQi Lu氏をMicrosoftから引き抜き「Baiduは世界のAIトップを目指す」と宣言するなど、新たな展開を予知させる動きを見せていましたが、続いてTeenage Engineeringとのコラボレーションで製品をリリースするというニュースが入りました。ガジェットサイズの「H」「R」という2種類のスピーカーを発表し大きな話題となっています。(※この記事を公開時点(2017.11.17)はTeenage Engineering HとRは中国のみで販売されるという発表です。)
H
Hはいわゆるスマートスピーカー。リビングなどに置いて音声操作で検索エンジンをブラウズしたり、IoTの家電をコントロールすることができます。ちょうどGoogleやAmazonなどAI/音声アシスタントに強い企業が強豪製品を一斉にリリースしている時期にHも登場しました。
カラフルなタワー型の最上部にある”タッチセンシティブ・ドットマトリクス・ディスプレイ”はマグネット式で取り外しが可能。これにはスピーカー、マイク、タッチインターフェースが集約されており、バッテリーも搭載。Hの本体は有線でインターネットに接続されますが、このインターでフェースはワイヤレスで持ち運んで使用可能です。
中国は国内からGoogle、Yahooなどのサービスが利用できない事情があるため、今のところはBaidu専用のスマートスピーカーと考えていいでしょう。Hに搭載された音声アシスタントは先に名前の上がったraven techの技術がフル投入されています。日本製品には見られないコントラストの強いカラーリングなど中国人の好みに合わせたマーケティングがされているのが分かりますね。
国内のみとはいえ中国のネットユーザーはもうすぐ8億人に到達。そのうちスマホを含むモバイル機器ユーザーは6億5千万人(ちなみにスマホ決済の利用者は98%。日本は6%)という規模の大きさ。ここにBaiduとのコラボで生まれたスマートスピーカーを投入するということの強みは計り知れません。
Hは1699元(約¥29,000)。
www.teenageengineering.com/designs/H
R
Rは「世界初の感情表現型6軸ライフフォーム」というキャッチコピーが付いた製品…。具体的にはraven techとBaiduが開発したAIを搭載したスピーカーで、詳細は不明なのですが、対話が可能だということ。そしてR自体がAI的な感情を持っていて、6軸のモーターを使って感情を表現するという面白い仕掛けになっています。言うなれば現代版フラワーロック?
こちらも色といい、モーター軸の太いままの感じが中国人の好みに合ったデザインです。
対話ができるということ以上に興味深いのが、RはTeenageEngineering OP-Zと互換性があるということ。シーケンサーを搭載し、グラフィックやムービーのコントローラーとしても使える未来の拡張機器OP-Zと感情を表現するスピーカーが一つになる時何が起こるのか。興味は尽きません。
Rはこの記事を公開時にはプロトタイプということで性能の詳細や価格は公開されていませんが「コミュニケーション」をテーマにした製品となりそうです。
www.teenageengineering.com/designs/R
中国の巨大市場 Baiduに投入されるAI搭載 インターフェース。Teenage Engineeringの製品力と戦略性や営業力の高さに舌を巻くニュースです。この勢いがどう実を結ぶのか、今後の動向が非常に楽しみです。
記事内に掲載されている価格は 2017年11月17日 時点での価格となります。
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