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ネットワークオーディオは現在多用途でその世界を広げています。16bit/44.1kHzを越える音声/音楽を再生できるオーディオ機器間のネットワークでは、テレビとの接続やPC/Macを使った膨大なライブラリから曲を選べる再生側の話で家のどこにいても音楽の再生ができるWifiネットワークでのオーディオの楽しみ方が提案されています。
もう一方でMADI、Dante、DigiGridをはじめとするスタジオ環境での収録、長距離の伝送を可能とするライブ録音では多くのチャンネルを少ない本数のケーブルで伝送できる優位性から導入が進んでいます。Cueを意識したAVB、PoEなどのLANケーブルでの送電ではLANのみで電源も供給できる事でACケーブルの煩わしさもなくなるなど多くのメリットを含んでいます。その中でレコーディング環境を一変させているネットワークオーディオにおけるDante/MADIなどのプロトコルにおけるネットワークオーディオの伝送を紹介します。
MADI / Dante / SoundGridなどインターフェイスを選ぶ際にその名前を聞いた事がある方もいるのではないでしょうか?規格自体に共通性はありませんが、おおむね24bit/48kHzで最大64chの伝送をオプティカルケーブル/同軸ケーブル/LANケーブルで可能にする伝送規格です。仕組みとして簡単に説明すると、1本で64ch分の信号情報をデジタルで送電し、レシーバー(受け側)で再度信号情報として認識させるものです。今までの録音であればアナログ信号を複数のケーブルで長距離引き伸さなければいけませんでした。重く、引き延ばすほどに音質が劣化していくアナログの伝送は機材自体の保持・メンテナンスや現場の人員確保など、コストがかかる厄介な面が多く存在していました。
また、一方でデジタルでの伝送はAD(アナログ-デジタル)変換のコンバーターは処理に遅延(レイテンシー)がかかるため、現場で使うには抵抗感があったのも事実です。現在主流となっているデジタルでの伝送はその部分で大きく進化を遂げています。まずデジタル伝送であればLANケーブルやオプティカルケーブル、同軸ケーブル1本で上限とされる距離まで簡単に引き延ばすことが可能です。
詳しくは過去の記事ですが以下のリンクにて技術概要など詳しく書いてありますのでご参考ください。
http://pro.miroc.co.jp/2012/07/09/proceed-rme-hdspe-madi-fx/
またLANの特徴としてHUBを介した分配やシステムの拡充も思いのまま。Danteを使ったFocusrite機器の中にはAM2のようなDanteネットワークの中から2chを指定してモニターできる製品や、Rednet XP2のような簡易的なインターフェイスも統合して使えます。これによって手持ちの機材が圧倒的に減ると同時に断線や接触不良といった物理的なアクシデントも大幅に軽減することもできるのは大きなメリットです。その中で今回、MADIとともに導入が進んでいるDanteと個人/スタジオ向けのSoundGridを紹介します。
Dante
上記が接続図の一例になります。
・RedNet PCIe
https://pro.focusrite.com/category/audiooverip/item/rednet-pcie
こちらがMacとPCIeで接続しDanteを受けるインターフェイスボードとなります。それをCAT5のイーサネットで接続しスイッチングHUBをつなぎ、複数のDante互換のインターフェイスとともにシステムとして使用できます。この場合は24IN24OUT(Line) I/OとDigitalのインターフェイス、8chのMicPre付きインターフェイスを同時に使用できます。多くのDAWの場合はインターフェイスを1つしか選択できないので、拡張にADATなどを使用していましたが、1対多のスター接続であれば拡張性の自由度が高まり、双方向で、より的確な録音/再生環境を個々人で選択できるのが強みです。
・RedNet1 (8ch AD/DA)
https://pro.focusrite.com/category/audiooverip/item/rednet-1
・RedNet2 (16ch AD/DA)
https://pro.focusrite.com/category/audiooverip/item/rednet-2
・RedNetシリーズ
https://pro.focusrite.com/category/audiooverip
SoundGrid
SoundGridのメリットはやはりCueシステムやモニターを含めた統合的なシステムが、最小単位でも組めるようになっているラインナップの良さ。比較的PAなどの信頼性に重きを置くDante/MADI製品では価格帯の高い商品が多い中、SoundGridは個人スタジオで導入しやすい機材が揃っています。モニターセクションのみを引き抜いた、DiGiGrid “D”など単機能で低価格のラインナップ。PoE接続対応なのでLANケーブルから給電可能で、ACアダプターも不要と利便性も高いです。
Digigrid Desktopシリーズ
http://www.digigrid.jp/desktop/

また、一般的にはHDX/HD Nativeカードがなければ使えないHD I/O互換のI/Oをデジタル信号として処理し、SoundGridの信号として処理する事も可能。接続は下の図を参考にしてください。
・DiGiGrid DLS
http://www.digigrid.jp/portfolio/dls/
多CHのINPUTでのメリットは勿論の事、冒頭のDolby ATMOS / NHK22.2フォーマットなど今後、1オブジェクトにつき1chのような多くの再生ソースを個別にOUTする事例が増えていく事が予想されます。その際にネットワークオーディオであれば距離や個数に対して、最小限の配線で最大の効果が得られるのも大きなポイントとなります。
また、ここまで全くの別規格として紹介してきたMADI / Dante / SoundGridですが、実際にはブリッジという変換装置を入れる事によって同一のネットワーク内にも存在する事ができます。YAMAHAでは拡張ボードに並々ならぬ情熱を持っていて、ほとんどの規格に対して対応ボードを作成していますので、ネットワークの拡充に秀でています。
そして可能性を多く秘めているのはAvid MTRXも同じです。

今まではAD/DA、AES/EBUカードのみで制約が多かったHD I/Oですが、MTRXはオプションのカードと搭載用のスロットが豊富です。MADIのボードは本体へインクルードする形で1系統。MADIのボードでは2系統を1スロットの使用で拡張可能です。

上記がカード一覧になります。
システムの中核を担う商品としてHD I/OにはなかったSDI/HD/3G、MADI、Danteを受ける事ができるのは大きなメリットではないでしょうか。
伝送によってより簡単かつ複数のシステムに対応でき、拡張性と将来性を持つネットワークオーディオ。今後も注目です。
プロダクト深層世界一覧
記事内に掲載されている価格は 2017年10月31日 時点での価格となります。
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