第一線で活躍するクリエーターのインタビューやコラムなど、音楽と真摯に向き合う作り手の姿があなたの創作意欲を刺激します!
profile
Studio Sound DALIを経てフリーとして活躍。2002年にprime sound studio form設立とともにチーフ・エンジニアに就任 。これまでに浜崎あゆみ 、AAA、三代目 J Soul Brothers、E-girlsなどを手掛ける。
日本ミキサー協会副理事長
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・スタジオ : form THE MASTER LC-online mastering service- >>
ANALYSE
これまでのリボン・マイクの弱点であった磁力不足を解決するために、強力な2つのネオジウム磁石を組み込むことで、12,000ガウスの磁力を発生させ、またプリアンプを内蔵することにより、一般的なリボン・マイクよりも8dB大きい出力を実現しています。
リボン・マイクは出力が低いため、+60~70dBという大きなゲインを上げて使用することが多いので、ヘッドアンプのS/N比が重要になりますが、出力の大きいこのマイクはヘッドアンプのS/N比を全く気にする必要が無く、音色重視の自由なヘッドアンプの選択が出来ると思います。
音質最優先の設計のため、貼られているリボンの細部まで見えるほど、余計な保護構造を取っていないため、吹かれによるリボンの切断の可能性があります。他のリボン・マイクでも、床と平行に近いセッティングを避ける事や、風に吹かれない用にウインドスクリーンを使うなどの工夫が必要ですが、このマイクは更に配慮が必要です。
FUSION
リボン保護に配慮が必要な、使い難い面倒なマイクと思われますが、音を聴けば、そんな思いも吹っ飛ぶ、素晴らしいサウンドがします。
アラン・サイズ氏が、「理想としたのは、“オリジナルのNEUMANN U47に近い音質キャラクターを持ちつつ、高域はリボンならではのスムーズさを備えた”マイクです」と語るように、ナローなレンジを持つ今までのリボン・マイクとは違い、ローエンドからハイエンドまで、スムーズで張りのある綺羅びやかな音色で、私的には21世紀に発売されたマイクの中でダントツに優れたマイクだと思いました。
オンマイクはもちろん、音源から離した場合にも、音像がボケずに距離感を得られるので、あらゆるシーンで活躍する素晴らしいマイクだと思います。
SUGGESTION
何度も書いていますが、リボン・マイクは極薄のリボンが張られている構造のため、使いこなすにはスキルが必要です。60年台のレコーディング風景で、ドラムのトップマイクとしてColes 4038が水平に近い角度でセッティングされている写真がありますが、リボン・マイクの事をよく知らずに真似して、シンバルが叩かれた時に風が当たるような場所にセッティングした場合は、一発でリボンが切れて壊れてしまいます。
RM-1Bは物理的にセンシティブなマイクだと思いますが、得られる音を思えば、それは欠点にならないと私は思います。
記事内に掲載されている価格は 2016年11月9日 時点での価格となります。
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