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29
Aug.2018
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ワンランク上の録音はまず入口から、理想のマイクを選ぶためにまず知るべきこと。

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良い音で録りたい!

これは録音に携わる人なら一度は考える永遠のテーマですが、録り音の良さを決めるのはやはり入口であるマイクであると言えるでしょう。とはいえ数多くの製品の中からベストな1本をと出会うのは至難の技。そこでRock oNスタッフ アレシア美奈子がROCK ON PRO パパ洋介に「より良い音を録るためのマイクの選び方」について聞いてみました。その中で分かってきた本当のマイク選び3ヶ条。

  • 1. マイクの基準を持つこと
  • 2. ミドルクラスのマイクの選び方
  • 3. マイクを使いこなすこと

録音環境の質をあげたいという方にとって必見のノウハウを大ボリュームでお届けします!

yousuke前田 洋介(ROCK ON PRO)

レコーディングエンジニア、PAエンジニアの現場経験を活かしプロダクトスペシャリストとして様々な商品のデモンストレーションを行っている。映画音楽などの現場経験から、映像と音声を繋ぐワークフロー運用改善、現場で培った音の感性、実体験に基づく商品説明、技術解説、システム構築を行っている。

U87 C414で基準を知る

アレシア美奈子(以下略 M):どうしてNEUMANN U87だったりAKG C414がスタジオの定番機として選ばれつづけているんでしょうか。
パパ洋介(以下略 Y):それらの何がいいかというと、欠け落ちる情報のバランスがいいから定番になってるんですよね。
NEUMANN
U87Ai studio set(専用木箱・サスペンション付き)
¥437,580
本体価格:¥397,800
37194ポイント還元
AKG
C414 XLS ★HAPPY SUMMER SALE 第2弾!
¥69,900
本体価格:¥63,545
0ポイント還元
M:欠け落ちる情報?
Y:まず、マイクって空気振動を電気信号に変換する変換器なんですよ。そして絶対ロスがある。100%そのまま変換できたらノーベル賞がもらえるんじゃないかな(笑)。ロスがあるもののどこが無くなっているかっていうのがそのマイクの持ち味といえます。コンデンサーマイクはダイアフラムっていう薄い数ミクロンの振動板の膜が震えて電気信号になるんですが、その膜の薄さだったりダイアフラムをピンと張ったテンションの掛け方でマイクのピークので出方が変わってくるんです。
M:それってドラムのタムやスネアと似てますね。
Y:いい視点ですね、それと一緒です。張りが高ければ高いほど膜自体に共振して周波数が出るんです。変わったところだとEhrlundの三角ダイアフラムは、丸じゃない形状で共振の周波数を減らそうっていう努力の形なんですよね。audio-technicaは四角にしてみたりと。 
 
コンデンサーマイクもダイナミックマイクも変換器だから何かしら音が抜け落ちる、その抜け落ちたところが音楽にとって必要なのかそうでないのかってところを考えると面白い選び方ができると思います。
M:なるほど。欠け落ちるところが個性になっている。U87とC414はそのバランスが良いのですね。
Y:そう。そしてマイク選びの際にはそれを知ることが大事なんです。例えば歌を録る時にはNEUMANN U87かU67が定番と言われているよね。ギターを録る時はC414だったりね。それからプレイスタイルだったりジャンルだったり。ギターだったらアルペジオかストロークかでマイクを変えるべきだし、どんなプレイのどんな音でよりよく録っていきたいかで選ばれるマイクは変わると思いますね。そういった「このソースならこのマイク」という定番を買ってみるのが一番手っ取り早いと思います。
M:まずは基準を知るということなんですね。
Y:そうです。そうすればみんなが同じ言葉で会話ができる。それを知ったうえで特化した機能や音質を持ったマイクを選ぶといいかもしれません。
M:U87の欠け落ちる情報のバランスがいいというのはどういうことですか?
Y:U87は意外とナローなんですよ。反応も帯域も自然な感じなので聴きたいところだけ聴こえてきます。録音ってある意味デフォルメなんですよね。全てを100%押さえることができない。例えばミュージシャンが躍動して初めて出るビート感ってあるじゃないですか。それが音源だと残らない。そのエッセンスをいかにして抽出してデフォルメするかっていう意識を持つのは録音にとって大切なところだと思います。
M:ライブで良くても録音してみたら「あれ?」っていうことがあります。
Y:そこを割り切ってうまく録れるのがU87なんじゃないかな。音楽として美味しい部分が残って多少目をつぶってもいいかな、というところがうまく抜け落ちてるという。何を録ってもよく聴こえるのでプレイもワンランク上に聴こえてくるマイクですね。

U87は「良い感じ」に聴こえるマイク?

M:ということはU87はフラットというより、「良い感じ」にしてくれるマイクということですか?
Y:さきほども言いましたがマイクは変換器とトランスデューサーなので、変換効率がいかに良いかがポイントです。理想はF特がフラットでレスポンスも良い方がいい。ただ全てがそのまま鳴っているのがいい音源なのかというと、それはどうでしょう。例えばオーケストラをホールで録るというのならそれが正しいかもしれない。でもロックバンドをコンサートや観客のいないリハスタで録ります、となればベクトルがどんどん変わっていきますよね。
M:というと?
オーケストラを良い音で録ったと言われるものは天井から吊るされたマイクで収録されているじゃないですか。ホールの響きと楽器の響きが一番いいところにマイクを吊るしているんですけど、その場所で観客は誰も聞いてないんですよ。そこに録音物とライブの乖離があるんですよ。
M:ライブ録音とは言っても、実際に聴いているお客様と同じ環境ではないんですね。
Y:ホールの音響というのは隅々のお客様まで綺麗な響きを届けられるかっていう設計をしています。ライブ録音ではピンポイントに響きの良い上空3~4mにマイクを設置するので、その場所の音は誰も聴いたことがないと(笑)。しかもそこに各楽器の一つ一つの音を足したりもしていますから。
M:ライブ録音といってもフィクションが入るんですね。
Y:そうなんです。特にこの記事を読んでいる方は打ち込みのバックトラックに生の音を差したいという方が多いと思います。となるとうまくオケに混じる音だったり、混じりつつも主張する音が欲しいと思うんですよね。そうするとバックトラックでどんな音が鳴っているのか、その中に帯域としてどんな隙間があるのか、音としてボディーが出て欲しいのかエッジが出て欲しいのか。それで選択肢が変わります。 
 
アコースティックもので緩やかなビートを出したいのならNEUMANN U87系のようなボディーがしっかりしてて存在感が固まりである音がいいと思いますし、逆にEDMみたいにハイもローも出ている音だったらそれに負けないくらいレスポンスのあるシャープな音でないと、前に出てこない眠い音に聴こえると思うんですよね。ただ最初から細い音で録れているものを後からボディーを出すのは結構難しいです。

10万円~20万で選ぶとしたら?

M:話を聞いていてたしかにU87はベストチョイスだと思いますが、ちょっと高いかなぁ…とも思います。実際にRock oNでは「もうすでにマイクを持っているんだけどワンランク上の10万~20万円台のマイクが気になる」という相談が多いです。洋介さんはそういう方にどういう提案をしますか?
Y:マイクって歌だったりギターだったり歌い手やソースによっても合う合わないがあるので、ぜひお店に来て試してほしいです(笑)。安いマイクでもドンピシャで歌手に合うマイクってありますから。
M:10万~20万台クラスのマイクというのは、フラットでハイファイな感じよりはユニークなサウンドのものが多い印象です。
Y:そうですね。トータルバランスが取れたマイク、何にでも80点以上の合格点あげられるマイクっていうのは30万からかなって感じがします。U87が最低ランクでそこから上のレンジですね。U47、U49があったり、今度U67の復刻も出ますし後はMANLEYにBrauner。更に上にはブティック系のマイクがありますけど、実は投資と考えてその辺りのランクを買うというのも一つの手です。そういうマイクっていざ買うとなると高いと感じると思いますが、例えばコンピューターを30万で買って5年後売りますって言ったらタダに近い値段になりますよね。けれどマイク30万で買って5年後売りますってなってもそうはならない。
M:旧U87やU49などは今でもプレミア価格ですし。
Y:中古の相場価格で新品よりは落ちますが、そこからは平行線で値段は落ちずに一定の価値は持ち続けられますからね。スピーカーは経年劣化しますけど、マイクだったりアウトボードは一つ投資として買ってしまうのはアリだと思いますよ。10万円台で一つこれだ!ってものがあればそれでいいと思うんですけど、そうでなかったらローン組んででも高いのを買ってもいいと思います。高いマイクだったら3年経って壊れて意味をなさないものにはならないと思いますしね。
M:それでもたまにお客様によってはU87より合うものがあったりしますね。
Y:予算に余裕がある方を接客した際に、BraunerだったりC-800Gだったりハイエンドのマイクを試聴してもらってたんですが「このマイクかわいい!」と言ってBlue Baby Bottleを選んで試したところ「これだ!」と言って買って行かれたことがありました。
M:Blue Microphonesは女性で気に入る方が多いですよね。私も接客した中でBluebirdがドンピシャだった女性がいました。
Y:女性でハマるとドンピシャなんですよね、他にもMouseとかCactusとかも個性があって面白いマイクだと思います。
Blue
Baby Bottle SL
¥43,780
本体価格:¥39,800
657ポイント還元
Blue
Bluebird SL
¥38,280
本体価格:¥34,800
13ポイント還元

ミドルレンジのマイク各社の傾向

M:SONY C-100は16万円くらいですが、10~20万の価格帯で出てくるとは思ってませんでした。
SONY
C-100
¥163,900
本体価格:¥149,000
1490ポイント還元
Y:あれは音のリアリティーを目指して作っていながら、価格からくるちょっとした荒さはあるんですよ。そこがあのマイクのクセになってますね。でも今までになかったレスポンスの良さもあって、最初に聞いた時にびっくりしました。 
 
C-100以外だと僕の中でレスポンスの良いマイクはEarthworksとBraunerですね。個人的にこういうマイクはすごく好きなんです。レスポンスが良いっていうのはマイクの周りで実際に鳴っていた音を綺麗に再現していて、そのあとのエフェクトのかかり具合とかミックスの時のレベルの上げ下げに対する反応がすごく良いというもの。音の立ち上がりが欠けた音って甘い音になってしまって、パッと聞くとうまく聴こえているなって感じがしますが、実は上手くプレイできてなかったんじゃないのかっていうことは多いですね。
M:挙げられたもののうち、私はEarthworksのマイクでびっくりしたことがありました。手を上げたり移動した時の空気の揺れですら、録音後の波形で残っていたんですよ。
Y:Earthworksのマイクはダイアフラムがとにかく小さく質量が軽いので、周りの振動で動きやすいんですよ。イコール、レスポンスが単純に良いということに繋がります。あとEarthworksのQTCは無指向ですが、無指向でもダイアフラムを支えている筐体があるので、後ろの音になると直接の音はどうしても入れられないんですよ。ただフラムが小さければ小さいほど、その近しい角度の音は入るんです。
EarthWorks
QTC30
¥137,999
本体価格:¥125,454
2070ポイント還元
EarthWorks
QTC40
¥172,999
本体価格:¥157,272
7864ポイント還元
M:だから無指向マイクってああいう細くて小さいダイアフラムが多いんでしょうか?
Y:質量が小さい分、あとはダイアフラムの中の共振も小さければ小さいほど高い方に行くのでフラットに録れるんですよね。。そういった点では測定用のマイクのダイアフラムはものすごく小さいので、100kHzより上まで録れるようになります。さすがにそれだと音楽的な音にならないですが。その中でSONYは小さいダイアフラムで高域をレスポンス良く録って、大きなダイアフラムでボディーのある音を録ろうという2Wayのフラムを採用しています。また、Braunerは大きなダイアフラムですが設計・構造にこだわってレスポンスの良い音を求めている。ここら辺はオススメできるブランドですね。
M:Braunerは創業者であるDirk Braunerさんが一人で手作業で作ってますね。
Y:ああいうマイクは良いと思いますよ。Braunerさん自身がパイプオルガン奏者ですが、エンジニアでもありビンテージマイクのコレクターでもあるんですよ。NEUMANNとかいろんなビンテージマイクを使った上で自分が求めた音を出すには自分で作らねばと思って始めたんです。パイプオルガンは教会の建物を含めて楽器になっているので、その空気感が残らないと音にならないと考えたんだそうです。そこでレスポンスが良くて空気感がしっかり残って、それでいてボディーもしっかりある音が録れるマイクを作っているんです。
BRAUNER
Phanthera
¥284,900
本体価格:¥259,000
4274ポイント還元
BRAUNER
Phantom Classic
¥242,000
本体価格:¥220,000
3630ポイント還元
それ以外で意外とオールマイティーにそつなく録れるマイクとしては、SHURE KSM32ですね。あれはこのレンジの中では頭一つ抜けてるかなっていうバランスの良さです。SHUREは非常に大きなメーカーなんです。生産能力もあるし数を出して安くするテクニックも知っているので、他のメーカーが作ったらもうちょっと値段がするだろうなってクオリティーのものを安く出してくれてます。
M:3年くらい前にKSM8が出た時は、ダイナミックマイクなのにコンデンサーマイクのような繊細な音までちゃんと収録できるっていうので話題になりましたね。導入されたお客様から大好評でした。
Y:あれはボーカルマイクで一気に定番になりましたね。SHUREらしいバランス感覚というのもありますが、これといった尖った特徴もあまりないのもSHUREらしいところです。いろんなものを録る人には良いと思います。 
 
あとはaudio-technicaのAT4050とかもバランスが良くて定番ですね。audio-technicaのハイエンドのものは1.5インチのダイアフラムなんですが、スモールでもラージでもないので太すぎずクリア過ぎないっていう絶妙なバランス感覚。
M:ボーカルにも使えますし楽器にも使えるっていう点でかなりオールマイティーに使えるマイクですよね。
Y:あのマイクはレスポンスもそこそこいいんですよ。特にアメリカだと評価が高いマイクで、U87よりAT4050じゃないのっていうくらいです。オンでもオフでも使いやすいっていう意味で距離感問わずにそつなく音が拾えるマイクの1本ですね。
SHURE
KSM32/SL
¥72,360
本体価格:¥67,000
1085ポイント還元
SHURE
KSM8/B-J
¥66,000
本体価格:¥60,000
990ポイント還元
audio-technica
AT4050
¥84,700
本体価格:¥77,000
0ポイント還元
それから10万~20万円台だとAKG C414もターゲットに入りますね。
M:C414ってドラムに使われるのが多いのでドンシャリな音かと思ったら、かなりフラットなんですよね。
Y:そうなんです。ただ上の方にクセというか持ち味がある。キラキラっとしたハイのニュアンスを拾えるので金属系の響きとかはすごく綺麗に気持ちよく入るところがポイントですね。フォークギターにもC414は合いますし、ブレスやサ行の歯擦音に味がある女性シンガーにもC414を使うと気持ちよく聞こえると思います。
M:どちらかというとU87寄りというか、フラットだと痛くなる音をいい感じにしてくれるマイクってことですか?
Y:そうです。でもU87より腰高なイメージなので図太く録りたい時にはC414は向かないと思います。綺麗にクリアに伸びやかな音が録りたいって時にはいまだにC414は定番だと思います。 
 
あとはgefellのペンシル型のM300はアコギを録る方に是非試してもらいたいですね。AKGの451は定番だと思うんですけど、451が「ギラッ」なら、M300だと「キラッ」になる感じ。gefellはどんなメーカーかっていうと元々はNEUMANNなんです。第二次世界大戦後にドイツが二つに分断された時に西に残ったのがNEUMANNで、東がgefellなんです。ドイツが統合するまでは東で脈々と作っていて、統合されてやっと西側でも普通に手に入るようになったんです。AKGも元をたどればTELEFUNKENにたどり着きます。NEUMANNもそうじゃないですか。元々は一つの大きな企業だったんです。アメリカのGEみたいな総合電機メーカーの分派みたいに。
M:そういえばスピーカーの形をしたマイクってありますよね?ドラムの前にスピーカーがあって驚いたんですよ!ライブで使われてたんですけど結構ガツンと出てました。
Y:YAMAHA SUBKICKマイクですね。あれでいいんですよ。ダイアフラムは大きい方が。大きければ共振周波数は増えてくるので、バスドラの共振を使ってローを図太く録る方法ですね。探すとマイクはマニアックなモデルがありますよ。
M:スピーカーとマイクは構造が一緒ですもんね。
Y:そうです、そして一番ロスの大きい変換器です。

言語でマイクを選んでみる

M:男の人で太くしっかりしたボーカルが録れるマイクって何がありますか?
Y:男性ボーカルって難しいんですよね。まずはNEUMANNからスタートだと思いますが、先ほどの10万~20万円台だとaudio-technicaのAT5040やBraunerでしょうか。ニュアンス特化型ではTELEFUNKENのR-F-TシリーズのCU-29・AR-51・AK-47などはどれも個性が強いのでグッとくると思います。音もものすごく太いので。 
 
あとは更に上の価格帯に行くとSONY C-800Gは男性ボーカル向けのベストチョイスかと思いますね。特に男性ボーカルって帯域が低いからなのか母音が立たないんですよ。ソロで聴いたら言葉になっているけど、ミックスをすると埋もれがちです。でもSONYのマイクは日本語のボーカルに特化したチューニングをしてあるので、日本語が言葉としてはっきりと聴こえてくるんです。 
 
SONYは当時スタジオを信濃町とか六本木に持っていてたので、SONY C-800Gをはじめとするマイクはそこのエンジニアと一緒にチューニングして作ったマイクなんですよ。ボーカルを録りながら音を作ったので日本人特化型ですね。今でもヒップホップでラップを入れたりする時はC-800Gは大定番です。ちなみに英語の歌詞だとBrauner VM1がイチオシですね。あんなに英語の言葉が残るニュアンスのマイクはないです。
M:言語でマイクを選ぶというのは目からウロコです!
Y:英語だとサシスセソ系とかブレス音というのが歌のニュアンスになるじゃないですか、子音が多くて母音が少ないので、子音が綺麗に録れて高めの帯域が拾えるのが英語向けのマイクかなって思います。逆に日本語はサシスセソ系とかブレス音が聞こえると意外とうるさいんですが子音が立たないと言葉がしっかり聞こえないので、アイウエオというの母音がうっとおしく聴こえず、子音もしっかり聞こえるというのが日本語向けのマイクです。
SONY
C-800G/9X+AC-MC800G/9X
¥1,920,380
本体価格:¥1,745,800
28806ポイント還元
BRAUNER
VM1
¥743,600
本体価格:¥676,000
11154ポイント還元
M:マイクはジャンルで選ぶものだと思っていました。
Y:ジャンルによってというのもありますが、個人的なマイクチョイスの仕方は
・レスポンスが良いこと
・録るものの美味しい音がしっかり残るもの
この2点を押さえれば間違いなく長く使えると思います。さらに値段を押さえてここぞの一本を買うなら、実際に試聴してドンピシャだった!って感じるものを選ぶのがいいと思います。

やはり実機に勝るものはなし?

M:ちょっと話が変わりますけど、プラグインで操作できるマイクが増えましたよね。Lewitt LCT 640は録音後にプラグインで指向性を変えますし、他にはモデリングで録音後にマイクを変えたりとか。特にモデリングマイクって洋介さんはどう思いますか?
Y:難しい質問ですね(笑)。モデリングマイクも音を聞いてみましたが、確かにモデリング元のマイクのニュアンスは持っていると思います。ただあくまでプラグインかなって感じですね。
M:さすがにダイアフラムのレスポンスの良さとかまでは再現できないですからね。
Y:そうなんです。機械的なところまではどうやっても再現できないですからね。周波数特性だったりレスポンスだったりインパルス応答だったりとかで合わせ込むしかないじゃないですか。どこまで行ってもアウトボードのプラグインと一緒で実機に限りなく近いところまでは作れるけど実機は超えられないっていう。
M:私もアウトボードのモデリングプラグインは良いと思うんですが、やはり実機のアウトボードには劣るかなと思います。
Y:本物に勝るものはないんです、どこまでいってもやはりデジタルはデジタルですから。アナログは線で繋がってるもの、デジタルは点が打ってあるものですから。
M:限りなく線に近い点ですからね、デジタルは。
Y:どこまでいっても線には勝てないんです。
M:アウトボードは高いからなかなか手を出せないけど、マイクだったら一本あれば色々使えるのでまだ購入の余地はあるのかもしれません。
Y:そうですね。そつなく録れるマイクだとしたらマイクの使いこなしで随分使いこなせるはずなんですよ。例えばマイクと楽器や歌い手と距離を変える。近づけば近接効果で太くなるし、遠ざければマイクが元々持っていた特性でフラットになります。ただ遠くにするといらない響きも拾ってしまうし、近づけた時に軸をずらすかずらさないかで変わりますから。よくスタジオの写真でマイクが斜めになっているのがあると思うんですが、あれは鼻元か喉元を狙っていて、口は狙わないんです。軸が口からのまっすぐでないところにあるので、同じ音を入れたとしても角度がずれるほどハイが落ちるのでそんなところでコントロールしています。

録り方を見直してみる

M:じゃあ今マイクでうまく録れないという人も一度録り方を変えるというのもいいんですか?
Y:そうですね。キレがないという人は近すぎるのかもしれないので半歩下がってみるとか。そんなことでも同じマイクで全然違う音が拾えるはず。角度を30度変えるだけでも随分ハイのf特が変わるので。あとはあえてステレオで録ってみるとか。
M:ステレオで録るメリットは何ですか?
Y:位相差が出るので、音が立体的になるんです。距離を近づけることでステレオで録った音って結構前まで来るんです。実験的な音にはなりますが…。
M:ちなみに洋介さんが考える自宅でのボーカル録音のコツは何ですか?
Y:反射をいかに抑えるかを考えますね。リフレクションフィルターがあれば使いたい。あとは音響つい立てみたいなものでマイクを囲ってもいいかもしれません。吸音処理をしていない部屋だと響きが多いので、それをいかに減らすかですね。できればある程度近接効果が起こるか起こらないかのところで、30cmくらいは離したいですね。離すとなるとゲインも上げなきゃいけないのである程度静かなところじゃないとダメですけど。今使っているマイクのヌケが悪いと感じている人は、もしかすると近接効果が起きてモコモコしているのかもしれません。そうするとマイク本来の持ち味が出せなかったりするので、まずは距離を離してみてもいいと思います。
SE Electronics
REFLEXION FILTER - PRO
¥28,129
本体価格:¥25,572
281ポイント還元
アビテックス
ACP-2 WH (2枚セット)
¥83,200
本体価格:¥75,636
1248ポイント還元
M:まずは正しくマイクを使って、それでも物足りないってなったら新しいものを買うのがいい気がしますね。
Y:そうですね。今あるものを使いこなすというのも一つの手かなと思います。ただある程度のランクのものを買ったほうが平均点は上がると思いますよ。間違いのないものを使いこなすのがいいと思います。お気に入りのエフェクトとかプラグインをしっかり使いたいならレスポンスの良いマイクを選んだ方がいいと思います。シミュレート系を使った時は音のノリがかなり違いますので。
M:「このマイクに合うマイクプリの組み合わせ」というのも聞いてみたいですね。マイクとマイクプリって同じメーカー同士でなかったりしますし、自分で探すにも基礎を知らないと見当違いになったり結構難しくて。
Y:それはRock oN Company店頭でぜひ試してください!(笑)。音の話なので個人の主観が強いし、実際はいろんな音を聞いて自分の中で物差しを作っていって欲しいです。でもマイクが難しいのはソースで音が変わってきてしまうことですね。これはこう使わなきゃ!という当たり前を捨てて色々とチャレンジするのも面白いです。
M:今あるものをまずは使いこなしてみて、いろいろな録り方も試してみる。そして買い替えを考えた時にはまずはU87をはじめとする基本のサウンドを知り、そこから自分にあったマイクを探してみるということですね。今回伺ったお話でマイク選びの基本と各社の傾向が勉強できました!ボリュームのあるお話ができてよかったです。今日はありがとうございました!

記事内に掲載されている価格は 2018年8月29日 時点での価格となります。

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