DAWはかつてはテープレコーダーを起源としたレコーディングシステムでしたが、近年はableton Liveを筆頭に作曲やライブに向けたクリエイティブツールとしての側面も含めて各社独自の発展を遂げています。それぞれ付属しているシンセサイザーやエフェクトは単体で発売して欲しいと思うようなクオリティがあり、FL STUDIOのシンセ音源はダンスミュージックにすぐに使えるし、Bitwig Studioの新デバイス「Phase-4」もフェイズモジュレーション/ディストーションに再び光を当てたシンセとして今の時代に合っているし、DAWの魅力は本当に様々です。制作の要となる重要なDAWは自分にあったものをじっくり選びましょう。
このBuyer’s Guideという企画はスタッフの意向がかなり反映されていると思うのですが、私も自分の好みを主張してピックアップしようと思います。ということで、まずは私も使っているAbleton 「Live 10」に注目!5年ぶりのメジャーアップデートとなるLive 10、皆様も待ちに待っていたのではないでしょうか?
注目すべき箇所はいくつかありますが、まずは新たに搭載された1つのシンセ音源と3つのエフェクトプラグインをご紹介しましょう!
新たに搭載されたシンセ音現”Wavetable”。このシンセはその名の通り、ウェーブテーブルシンセです。取り込んだ波形を元に加工するウェーブテーブルシンセはいくつか製品化されてましたが、今回は標準搭載されました。
実際に使ってみて思うことは、幅広いサウンドが搭載されていることにびっくりします。プリセット音色だけでも各音色揃えられており、ピッタリ当てはまるサウンドはありそうです。やや動作が重いかなぁ‥?と思うところはありますが、AnalogやOpeleterとは全く違うアプローチで音作りできるWavetableは新たなアプローチを打つ鍵になるのではないでしょうか?
サウンドパックのEssential Instrumentsも使いやすい素材ですよ
続いて、新たに搭載されたエフェクトプラグイン”Echo”、”Drum Buss”、”Pedal”。どのエフェクトも他のプラグインで代用できると言えばできるのですが、ハードウェアにあるような特有の不安定さや過激さがこの3つのプラグインには付加されてます。
特にドラムトラックのエフェクト作業を一つのプラグインで完結させるDrum Buss、こいつは優秀です。
私はストックしているワンショットサンプルをDrumRackにアサインしPushで叩きながらリズムを組み立てているのですが、サンプリングされた環境が異なるそれぞれのサンプルも、Drum Bussを通すとうまくまとまってくれます。サウンド同士の馴染み方がWavesのRenaissance Compressorに近い効果が得られるように、個人的には思っています。
新デバイスもいいですが、Live10になり細かな編集作業の更新もかなりでかいです。Liveはアレンジメントビューとセッションビューを使いトラックを作っていくのですが、セッションビューで大量に作っていくことになるクリップ、特にMIDIクリップの編集はまとめてできずに行ったり来たりしていました。そんな声を聞いていたのかどうか、複数のMIDIクリップがまとめて編集できるようになりました。
一つのクリップの中で、バスドラの長さとベースの長さを一度に見れるのって、なんだかんだで便利です(なんで今までできなかったのだろう…)
また、案外嬉しいブラウザーコレクション。Liveをお使いの方だと多くのサンプルをお持ちだと思うのですが、これらをブラウザーコレクションとしてしおりを挟むことが可能になりました。これ案外便利です。
今回のアップデートは地味に見えるかもしれませんが、Liveを使っている方ほど痒い所に手が届いたと感じられる仕様になってます。まだアップデートしていない方、また新たなDAWをお探しの方は是非Live10にしてみましょう。
昨今、ハイペースでユーザーを増やしているDAWといえばIMAGE LINEの「FL STUDIO 12」。EDMを主に作っている若手クリエイターの中で、以前はAbletonやLogicのユーザーが多かったと思いますが、最近はFL STUDIOを利用している方が案外多いですよね。
FLの魅力といえば豊富な音源でしょうか。最近のDAWには最初から結構な数の音源が内蔵されておりますが、FLはより実戦向けのサウンドが内蔵されているように思います。個人的にはSytrusやToxic Biohazardなど、プリセットを軽く調整するだけでトラックに馴染んだり主張してくれるこれらのシンセサウンドは非常に魅力的に感じますね。これらの音源はアレンジメント上に用意されているシーケンサーにうまい具合に結びついておりまして、打ち込みの概念が無くてもサクサク打ち込めます。個人的に、リズムフレーズはFLが最も簡単に作れるように思います。
また、FL STUDIOは一度買うと永続的に最新版を無償でダウンロードすることができる”ライフタイムフリーアップグレード”というプランがあるのですが、こいつは非常に魅力的です。現在はWindows OSのみに対応しているFLですが、今のうちに買っておけば前々から囁かれておりますmac osへの正式対応版も次回アップデート時に無償で入手することができます。余ったお金で別のプラグインを…といった配分も可能なわけですね。太っ腹ですねぇ〜。
手軽にトラック制作をしたい方、特にこれからシステムを構築していく方にはFL STUDIOはオススメですよ。mac osユーザーの方も、対応までもう少し待ちましょう!
NAMM 2018にて大々的に発表され現在公開されている最新バージョンとなるPro Tools 2018。ナンバリングが変わり新たな機能を搭載したProToolsはワークフローが向上する数々の機能がサポートされております。
まず、カタログ化したプラグインやエフェクトなどをプリセットとして保存し、リコールするための”トラック・プリセット機能”が標準搭載!これまで裏技的な立ち位置にありましたが、正式対応を待っていた方は多いのではないでしょうか?作業するぞ!って時に、いちいち設定から対応していたら熱も冷めてしまいますしね。
あと地味かもしれませんが、チャンネルストリップにEQカーブが出てきました。このビューはEQを二段重ねされた場合は合算されて表示されるので、どのトラックがエディットされているか一目でわかります。
ProToolsといえばオーディオがメインと思われてますが、今回のアップデートはMIDI編集の自由度が上がっています。新たに加わった「さかのぼりレコード機能」を使うとレコーディングしていなかったMIDIデータを復元することができ、細かなアイデアを少しでも残しておくことが可能になっています。
さらにショートカットキーの追加も効能が大きく、十字キーを使って指定の音階にノートを追加したり移動したり、細かくエディットできるようになっています。ProToolsはMIDIでもここまで出来るDAWになったんです!
プレイリストの強化、iLokクラウドへの対応など、新たな魅力が表に出てきたProTools 2018。定番ではありますが、まだ導入されていない方は是非!!
公開中!これで買うべき製品が見える!
記事内に掲載されている価格は 2018年3月23日 時点での価格となります。
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