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Rock oN : まずはSpinnin’ Recordsとの専属レーベル契約、おめでとうございます! 日本人初の快挙ですね。今日は、ここに至るまでのお話を伺っていこうと思いますのでよろしくお願いします! 若干21歳ですが、音楽に目覚められたきっかけはどんな感じだったんですか?
Pharien : ありがとうございます。母親がいろんな音楽に造詣があって、若い頃はクラバーだったり、あとピアノをやっていてクラシックがよく流れる家庭でした。その影響で、2~3歳の頃からクラシックのコンサートに連れて行かれました。ピアノは8歳から習っていました。妹はハープとピアノをやってました。
Rock oN : 家にハープがあったんですか? かなり大きいですよね??
Pharien : そうですね。妹の練習するハープが家で響いてました。祖母が一回り小さなハープをやってて、おそらく祖母の勧めで妹はハープをやりだしたんだと思います。
Rock oN : ご自分はハープはやらなかったんですか?
Pharien : はい、、ちょっと手が不器用なので。ピアノもそんなに上手くなくて。でも、ピアノをやってたおかげでコードのことなど分かるので、今のトラック作りに役立っています。中学生になるとバンドをやったんですが、Rockと出会い、ONE O’CLOCKなどの日本のバンドを聞くようになりました。主に放課後の音楽室で練習して、学祭や公民館みたいなところで演奏しました。
Rock oN : バンドでは担当はキーボード?
Pharien : いや、ギターです。今は弾けないんですが、、、家にはまだあるんですけど。バンドは高校1年で辞めたんですが、その頃、ビートマニアなどの音楽ゲームにはまって、そこで流れる音楽がBPM 180くらいのめちゃくちゃ早い音楽で、そういったハードコアテクノやハッピーハードコアといった音楽が好きになったんです。「早い! かっこいい!」という理由だけだったんですが(笑)。その後、友達の間でEDMなどが流行りだして、僕もつられて聞き出しました。
Rock oN : 友達とクラブに行ったり、みたいなことはありましたか?
Pharien : いや、行かなかったですね。僕はそういうタイプではなかったです。遊びに行く、というより音楽自体に興味がある、という感じですかね。
Rock oN : じゃあ、ちょっと失礼かもしれないんですが、結構、真面目な高校生だった?
Pharien : そうですね(笑)。パーティーみたいなことも嫌いではないですが、やっぱり音楽自体に興味がありました。Skrillex、Knife Partyなど、ハードコアやハードテクノ、Dubstepといった強い感じの音に惹かれていて、そういったジャンルのYouTubeチャンネルばっかりチェックしてました。その後、2015年ぐらいですが、AviciiやCash Cashといったアーティストを聞き始めて、その周辺を掘ってたんですが、Spinnin’ Recordsを始め、BigRoom House系が全盛期だったので、FireBeats、DVBBS周辺のEDMアーティスト達を聞くようになりました。特に好きだったのはMartin Garrixです。
Rock oN : 「自分でトラックを作ってみよう」というきっかけはどんな感じだったんですか?
Pharien : その頃まだ、「トラックメーカー」という存在を知らず、みんなDJだと思ってたんですよ。トラックメイキングは、ひっくるめてDJがやると思ってたんですが、それで僕も「DJをしたい」と思ってネットで調べてたら、Krewellaの使用機材一覧やMartin Garrixの使用機材一覧が載っているサイトに遭遇したんです。そこに書いてあったのがFL Studioだったんです。
Rock oN : じゃあ、DAWという音楽制作用のソフトが世の中にある、ということを知る前に、ダイレクトにFL Studioという製品自体を知ったんですね。
Pharien : そうですね。Native Instruments Traktorってあるじゃないですか。
Rock oN : はいはい。
Pharien : 僕、Traktorは作曲機材だと思ってました。そんな感じで色んなことを知らなかったんです(笑)。それで、FL Studioのデモ版を入手してみたんですが、触ろうにも触り方が全くわかんなかった。なんとかステップシーケンサーでクラップ、スネア、ハットを置いていって、ドラムループのようなものを、毎日、毎日作っては満足して、、、そういったことを繰り返したんです。その後、FL Studio搭載のシンセサイザー Harmortを使って、これはEDM向きではないので凄く変な音を出しながらも(笑)、メロディを入れたりするようになり、徐々に使い方を覚えていった感じです。でも、デモ版なので保存ができない(笑)ので、プロジェクトを再度開けない。貯金してFL Studioの正式版を買うまでは、オーディオエクスポートしてそこで終わりだったんです。ところで、LennarDigital社のSylenth1というソフトシンセがあるじゃないですか?
Rock oN : はい、ありますね。
Pharien : 調べたら、多くのアーティストがこれを使ってることを知り、さっそく手に入れたんですが、本当に簡単に、いわゆるEDM定番のSuperSawの音が出てきて「もう凄っ!」って思って、本当に興奮して(笑)。
Rock oN : じゃあ、一番最初に感銘を受けた楽器はSylenth1?
Pharien : そうですね。
Rock oN : ところで、パソコンはこのWindowsノートですよね? オーディオインターフェースは使わずに?
Pharien : そうです。音楽制作用じゃない2,000円くらいのヘッドフォンをパソコンのヘッドフォンジャックに挿して作ってました。
Rock oN : なるほど。才能があればそれで十分なんだな(笑)~
Pharien : とんでもないです、、、でも、まぁ、貰い物なんですけどJBLのモニタースピーカーを持ってるんですが、スピーカーを使って曲を作るの苦手で。
Rock oN : ふふふ(笑)。
Pharien : 今、ヘッドホンはSennheiser HD25を使ってるんですが、あんまり機材に左右されたりはしないんです。一応、こんな環境で3年くらいやってます。このヘッドホンの特性上、100から200Hzぐらいがちょっと凹んじゃう感じなので、そこは分かってるんです。スピーカーの大音量で確認することもありますが、修正はヘッドホンでやっちゃうんですよね。
Rock oN : ミックス、マスタリングについてもご自分でやっていると思いますが、自分で勉強して使い方を身につけて行った感じですか?
Pharien : そうですね。YouTubeとか見て。
Rock oN : あ、YouTubeか。なるほど~、そっかそっか(笑)。FL Studio以外に色んなプラグインやソフトシンセがありますが、あまり使ってない?
Pharien : FabFilterは全部持ってますが、プラグインはあまり増えないですね。リズムはほぼFL Studioですが、サンプルパックはすごくたくさんダウンロードして持ってるので、それらを使っています。あとはSplice Soundsもガンガン利用しています。
Rock oN : フル尺のトラックを自分で作れるようになったのは、どれくらいかかったんですか?
Pharien : たぶん1年と少しぐらいですね。高2の最後ぐらいには、イントロからアウトロまで含めたフルを作るようになっていました。
Rock oN : 人に曲を聞かせたりはしましたか?
Pharien : Sound Cloudにアップしました。お手軽な画像をGoogleフォトで拾ってきてカバーアートに使って。
Rock oN : 最初の頃ってどうでした? 再生回数や、誰かからのリアクションとか気になりますよね?
Pharien : 再生回数を見て「今日はあんまり伸びてないなぁ」みたいな感じでへこんだり、逆に伸びてたら喜んだりとか、そんな感じでした。あとコメントが来たと思ったら、「Sound Cloudのフォロワーを有料で買いませんか?」みたいな宣伝だったり。あと、「君の曲いいね! 俺のも聞いてくれ!」とか(笑)。でも再生回数が上がったり、感想が来たりすると嬉しくてばんばん作ってました。
Rock oN : では、がむしゃらに作ってた曲がレーベルの耳に止まってリリースの話に進む、そのきっかけの話をお聞かせください。
Pharien : 「海外のレーベルから出したい」と思ってたんですが、「売れたい! 」とか「世界一のDJなりたい!」という話じゃなくて、ちょっと注目されたいという程度の動機だったんです。「海外レーベルから出したら再生回数上がるかな?」みたいな感じです。それで、友達の一人にロシアの小さなレーベルから出してる人がいて「僕も送ってみようかな」と思い、送ってみたら返事がきたんです。今だから言うと本当にしょぼい曲で、サブベースという概念がなくてすごいスカスカな曲なんですけど。
Rock oN : 日本にもネットレーベルがあるわけじゃないですか。でも、意識は海外のレーベルにあったんですね?
Pharien : はい。今でこそ、僕より年齢が下の人からDMが来るんですが、数ヶ月前にDMが来て「Deep Houseの重鎮DJのEDXに曲を送ったんですけどダメでした」みたいな内容だったんですが、「どんな感じで送ったんですか?」って聞いて、彼が送ったメールの文面を目せてもらったら、ビッグネームに対して「お願いだから僕の曲をSound Cloudにあげて!」みたいな乱雑な内容だったんです。レーベルのSound Cloudにアップされるというのは曲を契約するというプロセスを経てのことだから、そこを理解しないまま、その子にとったら「Sound Cloudに曲をあげてもらう」ということが彼の見てる世界の全てだったようなんです。
Rock oN : 「俺の曲をなんとかフィーチャーしてくれ!」みたいな、なんか失礼な感じですよね。その子には返事してあげたんですか?
Pharien : はい、わかりやすく教えてあげました。
Rock oN : ちなみにPharienさん、英語は出来るんですよね?
Pharien : メールを書くのはできます。受験期に英語はかなり頑張ってたんです。今は、話す方を練習中なんですけど。
Rock oN : 今になって受験勉強やっててよかったと言う感じですね?
Pharien : はい、結構得した部分はあります。僕、音楽をやるのに英語は大事だと思ってて、とある有名なレコード会社のA&Rは「英語をまともに話せないやつの曲は聞く価値もないからメールは開かずに捨てる」みたいなことも言ってて。「それはどうなの?」とは思いますが。でも「よろしくお願いします、聞いてください。僕はこういう人間で、こういう曲です。」ということは気をつけて書いてます。メールの件名は最初の頃は「Please listen to my Demo!」みたいな感じだったんですが、今はちゃんと「demo submission」に切り替えて。
Rock oN : ロシアのレーベルから出して、話題になりましたか?
Pharien : 「海外から出したやつがいる」みたいな感じで、ほんとに少しだけですが。その頃、プログレッシブハウス、グルーブハウス、EDMが好きで、そういうトラックを作ってて、とりあえず「海外のレーベルから出す」という目標を達成したので、次のレーベルを探したんです。レーベルのSound Cloudアカウントのフォロワー数や曲ごとの再生数をチェックして、次の目標を決めようと思いました。あと、カバー写真がかっこいいことも重要なので、そこもチェックして。
Rock oN : ある程度、戦略的なことを考えたんですね?
Pharien : そうです。「目標のレコード会社を見つけてそこに向かって頑張る」みたいな努力目標が自分の中にできたんです。それに向かって、毎日、超地味にトラックを作り続ける。
Rock oN : 真面目ですね! 返事が来る率はどんな感じだったんですか?
Pharien : ぼろ負けですね。返事も来ないし、まぁ来ても、「残念ですが、、、」みたいな感じの始まり方で。初めて曲を海外から出したのが大学1年生の夏前だったので、半年くらい、そういう残念な期間が続きました。
Rock oN : え、たった半年!? バンドだと、苦節10年だったり、全く日の目を見ない人がほとんどですが、、、(笑)
Pharien : でも半年間、毎日はずれクジをひいてるみたいな感じなんです。目指してるとこに毎日メールを送っては、ドキドキしながら開かれもしない、という日々が毎日続くという、、
Rock oN : そうかー、でもモチベーションがすごく高いですよね。チャレンジし続ける。すごくいいと思います。
Pharien : レーベル以外にも、いいなと思ったアーティストやDJにも送ってました。でも最初は、聞いて欲しくてバンバン送りつけてたんですけど、よくよく考えると相手からしたら、毎日毎日、曲を送り続けられるのってウザですよね。早い段階で、それはやめたほうがいいなって気付いて。それで、「プロモーションならここに曲を送って!」と窓口がちゃんと書いてあるところに送るやり方に変えました。
Rock oN : そういう地道な毎日を続け、晴れて、努力が実を結ぶ日がやってきたんですよね?
Pharien : はい、Hardwellのレーベル “Revealed Recordings”に曲を送ったのが昨年9月。それから時は過ぎて12月のある日、送ったことなど忘れて友達と電話しながらゲームしてて、ふとメールボックス見たらRevealed Recordingsから「君の送ってくれた曲いいね! 契約しよう!」みたいなことが書いてあって、「まじ?」という感じで、最初にSylenth1を触った時くらい興奮しました! 叫びましたね、普通に(笑)。その後、契約書を交わすという流れになるんですが、僕はその時、オンラインサインというやり方を知らなかったので、送られてきた契約書をコンビニのプリントサービスを使って印刷してボールペンでサインして、スマホで写真を撮って送りました(笑)。恥ずかしくなっちゃいますよね。で、ちょうど、年末年始のホリデーシーズンにかぶっちゃって、さらに色々と遅延が発生して曲が出たの5月。レーベルが大きいと、諸事情が色々あるんですよね。
Rock oN : ワールドワイドでリリースされてから、リアクションは大きかったですか?
Pharien : 今にしてみると、そうでもなかったのかなって思いますが、大きな一歩ではあったと思います。フォロワーも増えましたし、ファンも少なからず増えました。
Rock oN : では今回のSpinnin’ Recordsとの契約までの経緯を教えてもらっていいですか?
Pharien : 王道のEDMを作っていたことに飽きてきちゃったんですよ。同じベースラインや楽曲の構成に面白みが感じられなくなってきて、「自分が作りたい音楽はなんだろう?」ということを思い始めて大変でした。初めての挫折みたいな感じです。Strange Fruits(https://www.strangefruits.net/)というレーベルがあるんですが、曲を聞いて、すごくイケてるアーティストが集まってると思ってたんですよ。カバーアートも好みで、ここに近づきたいと思うようになってからは王道のEDMを作らなくなりました。何度か返事はもらえていたのですが、初めて「いいね」って言われたのが今年の2月です。以降、3月からStrange Fruitsでリリースを計3回行い、再生数に応じてお金も入ってくるようになりました。その後、5月にインディーダンスミュージック最大手のArmada Music( https://www.armadamusic.com/labels )から声がかかりました。
Rock oN : 結構早いペースで駆け上がりますね!
Pharien :「もっと上を目指さなきゃ」と思っていた頃だったんです。その時に見据えていたのが”Spinnin’ Records”や”HEXAGON( https://www.hexagonhq.com/home )”という大手のメジャーレーベルなんですが、そういう大手は簡単には聞いてくれないし、返事も来ないと思ってたら、オランダでタレントスカウトをフリーでやっている人から「君の曲を気に入った」という連絡をもらったんです。ちょうどその頃、転換期みたいで、どこも若手で無名のアーティストをプッシュしようという動きがあったみたいで「絶対、流れに乗ろう!」と思いました。半信半疑ながらもそのスカウトに音源を送ってみたら「Armada Musicから気に入ったよ!」ってメールが届いて、そこでやっと本当だったんだと思いました。Armada Musicからは見たことがないくらいしっかりした契約書が送られてきて、緻密なプロモーションプランも書かれていて、dropboxにアートワークやバナーがソーシャルサービスごとにフォルダ別で送られて来て、それには感動しました。
Rock oN : それ以前と比べて、リスナーに楽曲が届いている感覚は変わりましたか?
Pharien : Spotify For Artistを使ってリアルタイムに今、何人が自分の曲を聞いているかわかるんですけど、それまでと数が全然違いました。レーベルから他のアーティストへのプロモーションも結構広がって、ラジオやフェスで自分の曲がかかり、通知が来るようになったんです。
Rock oN : プロモーションスタイルもレーベルによってカラーの違いがあるんですね?
Pharien : そうですね。Spinnin’ RecordsやArmada Musicのような大きなレコード会社がプロモーションでつくと全然違いますね。それぞれ強みがあって、Spinnin’ RecordsはSpotifyがすごいです。
マネージャー氏 : (Spotify For Artistを見ながら)リリースから1週間で225万再生で、リスナーが現時点在で267,000人くらいですね。
Rock oN : 日本においてですが、こういうオンライン上のプロモーションスタイルっていうのはまだ手探りな状態ですか?
マネージャー氏 : マネージメントの視点から言えば日本ではまだ手探りだと思いますが、海外では確立されています。レーベルにアプローチするためのお作法がちゃんとありますから、それをクリアしていないと勝負の舞台にも上がれないです。それをPharienは自分なりに経験してクリアしてきたので、今、DMやコメントが多く来る理由でもあります。
Pharien : その辺の海外DJやレーベルに曲を送る時の作法をnoteに書いています。曲はいいのにそういうことを知らないで上がれない人がいたらもったいないので、僕の経験が役に立ったらいいなって思って公開してるんです。時間ができたら 随時アップデートしていきたいと思います。
Rock oN : 少し泥臭い話になって恐縮ですが、レーベルからのお金の支払い方法はどんな感じなんですか?
Pharien : そうですね、Strange Fuitの場合、契約しているアーティスト専用のサイトがあって、自分のリリースした曲がどれだけ回ったか、それでいくらになるのかという情報が明確に表示されます。収益を次に持ち越すか、今回支払うか選んで、支払う場合を選ぶと数日後にPaypalに入金される仕組みです。
Rock oN : 明解ですね!
Pharien : そうですね、結構良いシステムだと思います。領収書も自動でダウンロードしてくれるし。
マネージャー氏 : 彼のSpotifyのアーティストページを見て頂くと、再生数も公に表示されている訳でして、著作権や収益というのは、昔はブラックボックスな部分もあったかもしれませんが、今はアーティスト側もリテラシーが上がっているので、透明性が高くなっています。
Rock oN : いわゆる出版方面はどうなんですか?
マネージャー氏 : ちょっとそこまで追いついていなくて。海外では著作権の回収方法が日本と違うので、追跡するのが正直困難です。これまでのリリースについて、本人が向こうの出版会社と直接契約しない限りは上手くいかないという感じです。Spinnin’ Recordsと契約した今は事情が変わりまして、Spinnin’ Recordsは出版会社も持っています。
Rock oN : なるほど。今の彼の活動スタイルは、日本の基準に合わせて動くというのは成り立たないんですね。
マネージャー氏 : そうですね。私のイメージでは、「Spinnin’ Recordsと専属で契約する」 = 「初めて向こうのフィールドに立つ」というのが非常にポイントになると思います。
Pharien : オランダでは、アムステルダムで開催されるADEという世界で一番大きい業界人向けダンスイベントに行きます。ダンスミュージック専門の音楽関係者が3~4万人来て、お客さんも40万人くらい集まる。レーベルナイトやショーケースが街を挙げて行われるのでとても楽しみですし、憧れのDJや世界の関係者とも繋がれるのでとても楽しみにしています。
Rock oN : 将来的に拠点を向こうに移す可能性は考えてないんですか?
Pharien : あるかも知れないですが、今は日本で。僕、結構体力に問題が、、、昔から運動をやって来なくてずっと音楽ばかりだったんで、1晩クラブで遊ぶだけで結構キツくなっちゃうんです(笑) 。
Rock oN : 話を機材寄りにしましょう。Sylenth1以降、他に使う音源はどういうものが増えましたか?
Pharien : 今はXFER RECORDS SerumやReveal Sound Spireを使いことが多いです。Serumはサブベースのオシレータがあるし、Wavetableがかなり充実しています。Distortion、Flanger、コンプなどのエフェクト系が分かりやすいし、あと、LFOが好きでフィルターとリンクさせカットオフをLFOで揺らしたり。ADSRも簡単だし、かなり直感的なんです。以前は既存のプリセットを組み合わせてレイヤーし、音量調節するくらいしかやっていなかったんですが、今は、オシレーターの段階から音作りをちゃんとやるようにしています。さらに今は、デモ版を使ってみて、soundtoysのLittle AlterBoyが気になっています。
Rock oN : ちなみにFL Studioを使う時、MIDIノートの入力は何でやっているんですか?
Pharien : 全部マウスでやってます。MIDIキーボードを使った事がないんですけど、多分、絶対に苦手だろうなって思うんですよね(笑)。オーディオインターフェースも使ってないので、パソコンとヘッドホンとマウスだけです。家で集中出来なくてカフェとか外で作業する事が多いんです。どうしても身軽な感じになっちゃいます。
Rock oN : これからのご予定や夢などありますか?
Pharien : 次世代の才能あるクリエーターをサポートする「Spinnin’ NEXT」というプロジェクトがSpinnin’ Recordsの中で進行中で、そこからビッグネームへと羽ばたいていったアーティストが今、活躍してるんですよ。僕もそこに並んで、かつて憧れていたアーティストたちの横に自分の名前が入るようになれたらいいなと思っています。できれば来年にでも! もちろん、自分が好きな音楽を作りながら、実現したいと思っています。
Rock oN : 最後に、Pharienさんにとって音楽とは何ですか?
Pharien : うーん、なんだろう? 音楽がなかったら、僕、なんもないですし、、、(笑) 今は毎日やらなきゃいけないこと、日課ですかね、、、かっこよく言えば、「エッセンシャル」ってのはどうですか?(笑)
ひと昔前の「日本人アーティスト世界進出!」みたいな大言壮語的でおおげさな感じとは全く違った性質のものだし、業界内のいろんなしがらみから解放された、本当の自由さえ感じます。
ネットワークという空間に収斂されたことで、世界のアーティストも日本のアーティストも、音楽へ向かう環境の差が縮まり、逆に、このユニーク(特異)な国、日本にいることがアドバンテージとして活かせられる時代になってくるかもしれませんね!
プロフィール
Pharien(ファリエン)は20歳の日本人DJ/作曲家。 母の影響で幼少期よりクラシック音楽に親しみ、 その後もハープ奏者の妹の影響で8歳でピアノ、 13歳でギターを始める。 クラシックやジャズ、 ロックなどに触れた後、 16歳でダンスミュージックと出会い、 すぐに魅了され、 ダブステップなどのベースミュージックからプログレッシブ・ハウスなど幅広いジャンルに興味を示す。17歳でFL Studioを用いた作曲を始め、 2年後にはオランダのHardwell主宰”Revealed Recordings”より”Nightfade”をリリース。 翌年には、 Armada Musicと契約し”Tell Me The Truth”をリリース。世界トップレベルのDJ、 Martin Garrix、 Don Diablo、 Hardwellなどにサポートを受ける。
2019年夏には、 世界のダンスミュージックシーンを牽引するオランダ大手レーベル”Spinnin’ Records” と日本人初の専属アーティスト契約を結び、 活躍が期待されるアーティストである。
Twitter:https://twitter.com/ItsRealPharien
Facebook:https://www.facebook.com/Pharienmusic/
Instagram:https://www.instagram.com/pharienmusic/
SoundCloud:https://soundcloud.com/iampharien
記事内に掲載されている価格は 2019年10月4日 時点での価格となります。
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