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突然ですが、「高音質」という言葉から、あなたは何をイメージしますか?
つい何となく分かった気になって、深く考えずにやり過ごしてはいませんか?
私たちにとって非常に身近なCD(最近はそうでもないでしょうか?)。ご存知の方も多いと思いますが、実はこのCDの規格、20kHz以上は人間には「聴こえない」ものとして割り切ってあります。つまり20kHz以上の音は可聴帯域外としてカットされているのです。しかしながら近年は、可聴帯域外の音の影響力が見直されつつあり、実際にいわゆるハイサンプリングレートの96kHz/24bitの音源(20kHz以上帯域が含まれる音源)を適切な再生環境で聴いてみると、その違いは歴然であることが分かります。
歴史を振り返ってみると、これまで多くのエンジニアは、人間の可聴帯域を超える周波数は認識できないと教えられてきました。20kHzのリミットは長きに渡って「常識」と考えられてきた訳です。それゆえ、われわれの「40kHzに重要な意味がある」という主張は、周囲からは間違っていると思われてきました。
根本的な話をしましょう。われわれ人間の耳はとても素晴らしく高性能です。この優れた聴覚器官は、いったいどうやって空気の振動を脳に伝え、分析しているのでしょうか?
古来、人間の耳というものは、自然界で生き残るための術のひとつでした。聴覚がなければ、私たちは食べ物を探したり、仲間とコミュニケーションをとったり、自然の音に聞き惚れたり、そして音楽を愛することもなかったでしょう。医学的詳細については今回は述べませんが、内耳と外耳には膨大な数の毛細胞があり、音を緻密に分析しています。周波数、長さ、強弱、またトランジェントまでを同時に、瞬時に知覚しているのです。ほかにも、音の質感やキャラクターなど、音がその音として成立するための情報を細かく識別しています。これほど優れたわれわれの聴覚システムは、近年のオーディオ・システム・デザインのモデルとしても注目されているほどです。
それでは実体験のお話をしましょう。私は以前、数種類のドームツイーターを比較するために、MLSSA(Maximum-Length Sequence System Analyzer)を入手したのですが、その結果に度肝を抜かれました。20kHzまではどのツイーターもほぼ同じ計測結果でしたが、それぞれのツイーターは全く違う音だったのです。よくよくチェックしてみると、20kHz以上の特性が全然違ったのです。
例えばメタルツイーターの場合、20kHz以上の周波数特性に不規則な「山と谷」がありました。一方、シルクツイーターは、滑らかな周波数特性のロールオフが20kHz以上で見られました。結果として、聴こえないはずの20kHz以上の音に不規則なピークの「山と谷」があるメタルツイーターの方が、耳障りに感じられたのです。この実体験から、私たちが「認識」できるかできないかはともかくとして、少なくとも40kHz付近までの周波数は、私たちが音楽を楽しむ上で多大なる影響を及ぼしていることがわかります。
ここまで、可聴帯域を超える周波数についての重要性を述べてきました。では実際にはどうやって、われわれの聴覚のポテンシャルを最大限に引き出すシステムを構築すればよいのでしょうか。
出力には、最低でも15Hz~40kHz(80kHzという人もいます)の周波数特性、120dBのダイナミックレンジを持つシステムを用意する必要があります。そんなモノは高額で現実的ではないと思う人もいるかもしれません。でもちょっと考えてみてください。妥協したシステムが蔓延しているせいで、私たちは「限られた音」でしか音楽を聴けていないのです。どんなにもったいないことでしょうか。
音の入口、マイクについても考えてみましょう。先ほども述べましたが、最低でも15Hz~40kHzの周波数特性は必要です。一般的に手に届く製品としては、それに見合う性能のマイクは数えるほどしかありません。早速われわれはQTC1(現行のQTC40)と他社製品を比較してみました。結論から言うと、大部分では特出すべき違いはありませんでしたが、インパルスレスポンスには明らかな違いが見られました。簡単にいうと、インパルスレスポンスが良ければ、余計な色付けなく、より原音に忠実になるのです。
そして原音に忠実ということは、それだけ音の情報量が豊富だということです。われわれの聴覚器官のポテンシャルを考えると40kHz以上でもいいくらいです。ミュージシャンのパフォーマンスを余すところなく、そのままオーディエンスに届ける。エンジニアは、アーティストやミュージシャンの作品や演奏を、忠実に再現しなければいけません。少なくとも、Earthworksのマイクにはそれが可能なのです。まずは「音の入り口」を変えてみませんか?
スタッフ一押し!:Earthworksハイフリーケンシー・マイク
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記事内に掲載されている価格は 2012年10月3日 時点での価格となります。
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