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「無指向性マイク」(以降、オムニマイク)。皆さんはどれだけ理解して使用していますか?それともただ敬遠しているだけでしょうか? Earthworksは、万能なQTCシリーズ、測定用のMシリーズなどと魅力的なオムニマイク製品をラインナップしています。「なぜ、オムニなのか?」「いったいどう使えばいいのか?」「指向性のマイクとの違いは?」など、以下、様々な疑問を解決し紹介していきたいと思います。
【Index】
■イントロダクション
なぜオムニマイクなのか?/Earthworksのオムニマイクの特徴
■マイキングTips
スイートスポットを探せ/ソースの繊細な音をキャッチする/EQがいらない!?
■楽器別マイキングテクニック
ドラム/アコースティック・ギター/エレクトリック・ギター/弦楽器/ボーカル
■ステージの録り方
ジャズもしくはポップの場合/クラシックの場合
指向性マイクにはない、オムニマイクのメリットはいったい何でしょうか? 指向性マイクは、後方からの音を遮断するために、カプセルの複数のポイントからサウンドを拾う構造になっています。ですので、どうしても位相の問題が発生してしまうんですね。一方、オムニマイクは「その空間を一点で」切り取ることができます。近接効果がなかったり、色付けのない音、低い周波数の音を正確に録ることができるのです。
Earthworksのオムニマイクは原音をそのまま「お化粧なしで」録ることを基準に設計されています。そして、現在市場にある他のマイクにはない、正確なインパルス・レスポンスを叩き出すことができます。変な色をつけることなく、極端に高いレベルに対する耐性を持つEarthworksオムニマイクは、ソースとの距離を縮めることができるので、原音のイメージそのままを録ることができます。例えば、TC30なら9Hz~、QTC40なら4Hz~と、低域に対しても、繊細で正確な特性を持っています。
Earthwokrsでマイクセッティングをする際、多くのEarthworksユーザーはまず一番最初にスイートスポットを探します。単純にレコーディングする部屋の中で、一番好みのサウンドで録れるポイントを探すわけです。ポイントが見つかったらマイクをセッティングします。ステレオで録りたい場合はしっかりとそのスイートスポットのステレオイメージを保てるポイントに、もう一方のマイクをセットしましょう。Earthworksのマイクは如実に「その場の空気」を切り取ります。
注意していただきたいのが、何時間もマイクのポジショニングに固執する必要はまったくないということです。むしろ、Earthworksのオムニマイクを使い始めたことで、スイートスポットを探す時間が減った、すぐ見つけられるようになったと、ほとんどのEarthworksユーザーが実感しているのです。つまり非常に扱いやすく、ミュージシャンでもわかりやすく作られているのが、Eathworksのオムニマイクなんですね。
多くのエンジニアはマイクの特性とソースの特性をマッチさせようとあれこれ工夫や苦労をしていますね。Earthworksマイクは透明で、余計な特性を作らないマイクですので、ソースを「そのまま」収音することができます。ソースによって繊細な違いや差が生まれるので、レコーディングする部屋に対してしっかりとしたバランスを見極め、視野を広くとることもEarthworksのオムニマイクで録る上で重要なポイントになります。
どんな楽器でもいいので、耳を澄ましてその楽器の音を至近距離で聴いてみてください。普通では聞こえないようないろんな音が存在することに驚くはずです。マイクの位置をいろいろと変えてみたり、ソースに近づけてみたりしてください。気に入った音が録れたら、純粋にそれを使えばいいのです。
Earthworksマイクを使ったレコーディングでは、特殊な環境や状態ではない限り、EQは必要ありません。マイクの周波数特性はとてもフラットで正確です。EQを使わない「生音」の収音をオススメします。録りの段階でEQが必要だと思ったらそれは、ソースに何らかの問題がある場合があります。なるべくその段階ではEQを使用せず、どうしてもという場合は録音後にしましょう。
Earthwoksのマイクは、キック、スネア、オーバーヘッド、パーカッションなど(カウベル、トライアングル、タンボリンなども含む)のソースにぴったりです。オーバーヘッドはニア・コインシデント(ORTF方式やNOS方式など)あるいはスペースト・オムニ(A-B方式など)のセッティングを試してみてください。キックは自由に好きな位置に置き試してみてください。空間に余裕があれば、Earthworksのマイクを2、3本立ててドラムキット全体をレコーディングしてみてください。またパーカッションのマイキングで苦労する場合は、パーカッショニストの前に、ステレオペアをセッティングすれば意外と簡単に解決する場合があります。
ユーザーが実際に試したところ、至近距離、遠距離どちらにマイクをセットしても素晴らしいサウンドが得られるとの実例が報告されています。また、ギターのボディ面から15cm~20cmほど離したニア・コインシデントでもいい結果を得られているユーザーもいるようです。ほかにも、1本はアンビエンス用、もう1本はサウンドホールにセッティングしてもいいですし、1本はフレットボードのサウンドホール寄りでピッキングノイズと弦自体のサウンド、もう1本はブリッジより下にセットしベース音を得る方法もいいですね。
アンプの前に置くような一般的なセッティングがベストです。ルームのアンビエンスが欲しければ離したり、ドライなダイレクトサウンドが必要ならばできるだけ近づけます。もしルームサウンドがよくてマイクが2つ用意できれば、2つのやり方を組み合わせてもいいですね。エレキギターのレコーディングはなかなか複雑で、アーティストが満足しなかったり、エンジニアがそれにイライラしたりと大変なこともありますが、Earthworksのオムニマイクにはそんなトラブルはありません。まるで「目の前で演奏しているのが見える」サウンドを録ることができるでしょう。
バンジョーやマンドリンのような撥弦楽器は上述したギターと同様なセッティングが有効ですが、いろいろ試してみることをお勧めします。バイオリンやヴィオラの場合は、近距離でレコーディングすることが望ましいですが、その中で最適なポイントを探してみてください。特にバイオリンの音が松ヤニの使いすぎで耳障りな場合には、マイクとバイオリンとの距離をとるなり、マイクを90度回転させるなりすると良いでしょう。そうすることによって、高い音を和らげる(高域の情報量を減らす)ことができます。
チェロの場合は、シングルもしくはペアのオムニマイクを30cm~60cm以内、もしくはそれよりも近い距離での録音が望ましいですね。ダブル・ベースの場合には、楽器の中心から45cmほど離して、シングルもしくはペアのマイクが理想です。Earthworksで録るサウンドは信じられないくらいの豊富な情報量とフラットさがあります。ハープの場合には、片側から1本のマイクを45cm以内の距離でセッティングするか、ペアを足元もしくは楽器の前にセッティングしてもいいでしょう。
至近距離でボーカルを録る際はウインドスクリーンもしくはポップフィルターが必要になります。ユニークなボーカルや歌い手の声をそのまま忠実に録ることに関しては、Earthworksは群を抜いています。エンジニアの中でも、彼らが使うお気に入りのヴィンテージマイクとEarthworksのオムニマイクを取捨選択したり、混ぜて使う人も少なくありません。
なるべくステージのフロントに近づいてセッティングしてみましょう。ワイドにセッティングすることを心がけてください。PAを使う場合には必ずそこにもマイクをセットしてください。ステージのサウンドとPAとのサウンドを組み合わせたときのディテールの表現とすばらしいステレオイメージに驚くこと間違いありません。
クラシックの現場では、QTC40のペアがベストです。Eathworksのマイクを使う場合、普段のセッティングよりもソースに近づけてみてください。これまで使用してきたマイクとの違いが顕著にあらわれるはずです。クラシックのレコーディングでは会場のベストシートにマイクをセッティングすることがよくあります。これは、スペースト・オムニで1.8m~3.6m以上離してソロやアンサンブルを録っていることになります。大規模な合唱やオーケストラの場合だとさらに距離は離れるでしょう。(Earthworksのオムニマイクは近距離でのセッティングをおすすめしますが)音の好みには人によって様々で、ホールにもそれぞれに特徴があるということですね。
スタッフ一押し!:Earthworks無指向性マイク
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記事内に掲載されている価格は 2012年9月19日 時点での価格となります。
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