音をクリエートし、活躍している人をご紹介するコーナー「People of Sound」。第2回目は、大人気コンピレーションCD「TOKYO BOSSA NOVA」シリーズや、先日のフジロックにも出演し、さらに人気拡大中のsaigenjiでご存知の方も多いと思います「ハピネスレコード」を運営する平野栄二さん。スタジオハピネスにお邪魔して、お話を伺ってきました。

2006年8月10日取材

Rock oN:レーベルを開始した経緯をお聞かせ下さい。

平野栄二氏(以下 平野):12~3年前に「Happiness」というクラブイベントをやっていました。その時のお客さんだった当時テイチクで働いてた田中と意気投合してレーベルを始めようということになり、私と田中でお金を出しあってスタートしたのが8~9年前で、コンピレーションCDを最初にリリースしました。QYPTHONE等が参加しています。

Rock oN:当時のセールスは?

平野:いい時もあれば、悪い時もありました。。。まぁ大体悪かったです。

Rock oN:その後、大ヒットシリーズ「TOKYO BOSSA NOVA」がスタートしますが、外資系CDショップでは軒並み上位にチャートインして、私もよく印象に残っています。最新作で、何タイトル目ですか?

平野:8作目です。

Rock oN:コンセプトと収録アーティストのセレクトに、ロングヒットの理由がありそうですが?

平野:ジャンルはボサノバに限っておらず、私の好きなテイストの中で多岐に渡っています。収録アーティストのほとんどが、ミュージシャン仲間経由で知って、いいなと思ったアーティストです。送られてくるデモテープから収録が決まることは、なかなかないですね。

Rock oN:看板アーティストsaigenjiを発掘したきっかけは?

平野:一番最初の出会いは、女性アーティストのサポートで一緒にライブをやった時です。誘われて行ったライブで彼の歌を聴いて、あまりの凄さに「CD作ろうよ!」って事で盛り上がりました。彼は9歳からケーナを吹いていて、ギター同様、すごい腕前です。ハピネスレコードで3枚リリースし、現在はメジャー(東芝EMI)なんですが、マネージメントと原盤制作をハピネスでやっています。もう5枚目です。ものすごいバイタリティーですね。女なら抱かれてみたいです(嘘)。 Rock oN:レコーディングはここ(スタジオ ハピネス)ですか?

平野:saigenjiの場合は、プリプロをここで行い、本番の録りとTDは外部のスタジオです。それ以外のハピネスレコードのタイトルは大体ここで行っています。

Rock oN:お使いのDAWはNuendoですね。Pro Toolsを選ばずにNuendoを選んだ理由は?

平野:音の傾向の好みで選びました。コンピュータはWindowsですが、コストを抑えて、スペックの高いマシンが使える点がいいです。ミキサーはYAMAHA 02R V2、モニターはmusikelectronic geithain RL906です。RL906は、解像度が高いので、ダメな演奏や録音は正直にダメに聞こえ、シビアにモニタリングできます。このスタジオは電源を200V仕様に工事して、ステップダウントランス経由で各機材に供給しています。工事後、明らかに音が良くなりました。

Rock oN:アウトボード類も揃ってますが、お気に入りは?

平野:AVALON Vt737spはお気に入りで、主にボーカルに使っています。API 512c(モジュール4台)はリズム録りに使っています。

Rock oN:リズム録りですが、ブースがありますね。

平野:もともと、このスペースはトランクルームなのですが、大家さんの了解を得て、壁など工事を行っています。モニターカメラとトークバックマイクも設置していますので、Nuendoを置いている部屋と、ここにいるミュージシャンとの間でコミュニケートできるようにしています。

Rock oN:こんないい物件、探すの大変だったのでは?

平野:いや、偶然にすんなり見つけることができました。大家さんといい関係を築き、音に関しても理解してもらっています。

Rock oN:デシケーターにマイクが沢山ありますね。

平野:最近は、アルファーモードのStellar RM1とRM4が気に入っています。通常高価なリボンマイクですが、かなりリーズナブルにもかかわらず音がいいです。コストパフォーマンスが、かなり高いです。

Rock oN:Rhodesピアノに、スティールパンや沢山のパーカッション等々、楽器もたくさんあり楽しそう。

平野:私もパーカッショニストなので、ミュージシャンがリラックスできてレコーディングに集中できる、業務スタジオとは違った空間を作りたいと思っています。楽器も色々集めてるのでスタジオというより、実験室みたいな空間にしたいです。

Rock oN:お好きな音源を教えて下さい。

平野:実はAORやソフトロック系が好きで、レーベルカラー(に見られがち)のブラジル物はあまり聴きません(苦笑)。ブラジル物を聞き出したのはここ5~6年くらいです。あと、SKAやレゲエも最近よく聴いてます。

Rock oN:サウンド、ミックスが好きな作品、リファレンスにしてるCD等はありますか?

平野:ニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」が好きですね。もう5枚くらい買いました(笑)すぐ無くすので。サウンドやミックスで好きになるという事は無いです。歌と楽曲が良ければ大体楽しく聴けます。リファレンスにしてるCDはありません。迷った時はジャンルから遠いCDを聴いてリセットする事はあります。

東急 高津駅すぐ近く、申し分ないロケーションにあるスタジオ ハピネス。外観は普通のマンションながら、一歩中に入ると、外からは想像できないクリエイティブな空間です。差し込む陽光と、強要しない、さりげないながらもセンスあるインテリアが相まって、業務スタジオでは得られないリラックスした雰囲気に満ちています。この雰囲気は、ハピネスレコードの一連の作品に通じるものがあり、平野さんのセンスがそのまま反映されています。ここでレコーディングを行えば、いい演奏、アイデアが自然と引き出されるような気がしました。

このコーナーでは、音を作り出す活動をされている方の出演を募集しています。ミュージシャン、サウンドエンジニア、作曲家、アレンジャー、はたまた音効さんや声優さんなどなど。音楽機材に興味を持っているかたなら、なおOKです。お気軽に、下アドレスまでご連絡下さい。また、ご感想、ご希望等もお待ちしております。連絡先アドレス : store-support@miroc.co.jp

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