音をクリエイトし、活躍している人をご紹介するコーナー「People of Sound」。このコーナーでは、制作者の人柄が、サウンドにどうつながっていくのかに注目。機材中心のレポートから少し離れ、楽しんでお読み下さい。

第26回目は、カスタムイヤーモニターの製品を販売し、多くのミュージシャン、サウンドエンジアから信頼を得ているメーカー、FitEarの代表取締役である須山慶太さんです。銀座にある会社にお邪魔し、お話をお伺いました。

2012年10月12日取材

取材班はまず、このコーナー通常の内容である須山さんの個人的な音楽遍歴のお話の前に、FitEarの製品についてお話をお伺いました。

現場の声が反映されたMH334、MH335DW

須山慶太氏(以下 Suyama):マスタリング・エンジニアの原田光晴さんと親しくさせて頂いてまして、最初は既に発売していた製品を使って頂き、感想を伺ったりしていたんですが、その後、弊社に置いてるオーディオセットのチューニングにもアドバイスをもらったりするようになりまして、私の音に対する素人として欠落していた部分を勉強させて頂くようになりました。その経緯の中でアドバイスを頂きながら制作したのが334(MH334、MH335DW)以降の製品です。原田さんのお名前のイニシャルを頂いて“MH”というアルファベットを付けさせて頂きました。MH335DWはMH334の後続モデルですが、さらに、株式会社アコースティックの佐藤さんを始めとするPA系のプロの方々からのアドバイスも頂きまして開発した製品です。低域を聞こえるようにすることで全体の音像を支え、ステージ上で全体がしっかり聞こえるように、という観点で作っています。

Rock oN:FitEarの製品には現場の方々の経験が大きく反映されている、ということですね。もちろん、それまでの須山さんの蓄積された技術に加えて、ということだと思いますが。

Suyama:ありがたいことです。MH335DWは大きなユニットを2発使っているので、ローエンドが豊かな厚い音を作る事ができたのですが、どうしてもサイズが大きくなりますので、ユニットの位置、組み込み方をかなり工夫しました。

個人の耳にフィットするカスタム制作

Rock oN:カスタム制作の場合、個人の耳型を採って作られる訳ですが、人によって耳の形って違うものなんですか?

Suyama:そうですね。サイズも違いしますし、浅い、深いも人によって違います。シェルの形状は、手作業で削って調整します。フィットすることに加えて、着脱のしやすさや、着けて痛くないように等、考慮する部分がいくつかあります。

Rock oN:本当にピタッと耳にフィットして取れないですよね。

Suyama:面白い事に、耳の穴の形状は人種によっても大きく違うんです。南方の国の人だと太くて真っすぐなんですが、逆に北方の国の人だと細くて曲がりが強いんですよ。

Rock oN:そうなんですか、なんででしょう?

Suyama:進化論的に、冷たい水の中や冷気の中で生活していた北方の国の方は、冷たさから脳を守るために耳穴が狭く、かつ曲がってるんです。逆に南方の国の方は、放熱するために短くて真っすぐになってきた、ということのようです。

Rock oN:なるほど。面白いですね!

FitEar TO GO! 334 レディメイドながら実力は同じ!

Suyama:FitEar TO GO! 334は、一人一人の耳の形状に合わせたカスタム・タイプではなく、ユニバーサル・タイプの3WAY仕様です。レディメイドなのでコストも抑えられ、数も沢山作れるだろうと思ってたんですが、ユニットの組み込みや、細かい仕上げの行程にかかる手間が、結局、カスタム・タイプとさほど変わらず、1日に3台程度しか出来ないんですよ。

Rock oN:え〜、3台!!

Suyama:全て手作業なものですから。カスタム・タイプは、アーティストさんのツアーのタイミング等で、まとまった数のオーダーを頂く事が多いんですが、そうでない時にユニバーサル・タイプのものをコツコツ作るようにしています。

特許出願中の独自設計構造

Suyama:FitEar TO GO! 334は、レディメイドと言えど、中身についてはMH334と全く同じです。

高域特性をコントロールする手法は2つあります。1つは、最終的な音の出口までの距離の問題です。その距離が長いほど、高域の特性が落ちたり、変なピークが現れたりします。もう1つは、中域、低域のユニットから独立させることです。その2点をいかに工夫するかによって高域の特性が変化します。他の大手メーカーさんは、各々、独自の方法を採用され特許を持っていらっしゃいますが、私たちFitEarの製品では高域ユニット専用に純チタン製のダイレクトHFチューブを接続しています。チタンの削り出しでテーパー(筒)状を作るんですが、この筒の中の鏡面の特性を利用して、特定な周波数のピークが出ない工夫をしています。

また、中低域・低域の各ユニットにも独立したポートを与える特殊構造で、それぞれの帯域専用の通り道を作り、厚みがあり広大なレンジを持つ再生音を実現しています。中低域・低域に関しては、距離に関して影響を受けないので、FitEar TO GO! 334でも、カスタムタイプのMH334同様、厚い中低域を再現することが出来ています。この構造は、今、特許を申請しているところです。

Rock oN:チタンを削るところに、高度な技術が使われているのですね?

Suyama:私の技術、でなく父が歯科技工の旋盤技術で培ってきたものなんですが(笑)。また、先ほどのポートの特殊構造のアイデアを実現してくれたのは、作田という優秀な社員がいまして、彼のおかげなんです。

Rock oN:アイデアが優れた技術で支えられ製品化された、ということですね。プロ向け製品の一方、例えば、シングル・ユニットで、その分、価格を抑えた、若い世代のリスナーに向けたような製品の可能性はありますか?

Suyama:はい、まだ詳細は公開できませんが、1ユニット/2WAYの製品を開発してるところなんですよ。

Rock oN:それは楽しみですね!

それからしばらく、スタッフは製品を実際に試聴させて頂いた後、別の部屋に移り、須山さんの個人的な音楽遍歴のお話を伺いました。

ファンキーなお父さん

Rock oN:音楽に触れられた頃のお話をお伺いできますか?

須山慶太氏(以下 Suyama):小学4、5年の時ですが、最初に買ったシングルはザ・モンキーズの“デイドリーム・ビリーバー”です。TVの再放送でやってた「ザ・モンキーズ・ショー」が好きでよく見てました。もちろん、普通の子供のようにアニソンなんかも大好きでしたよ。

Rock oN:ご家庭に音楽の環境はありました?

Suyama:父親が戦争の疎開先から帰って来て歯科技工の仕事を始めまして、昭和33年に独立して会社(須山歯研)を作ったんですが、私も子供の頃から会社の工場に行っては、社員の人達に遊んでもらってました。父親は新しいものが好きで、私が小学生の時、大きなベータカムのカムコーダやオープンリールのVTRなんかが家にあったんですよ。

Rock oN:オープンリールのビデオですか!それを個人で所有って当時珍しかったのでは?

Suyama:はい。子供の私から見ても、結構、ファンキーな親なんですよ。このビルも、父親が「ちょっと銀座にビルを見てくる。」と言って、大した理由もなく買って来たんです。一応、歯科技工の営業所を東京に設けるという建前でしたが、私が「そんなの買わずに借りればいいじゃん。どうするの?」と聞くと、「補聴器でもやろうかな。」と言うんですよ。そういう流れで補聴器業務が始まったんです。でもイアーモニターの業務を、仮に千葉でやってたらここまで続かなかったと思います。銀座というロケーションは、お打ち合わせしたり、耳型を取りに来て頂いたりと、お客様が足を運んで頂きやすいんです。

Rock oN:いわゆるお金持ちのご家庭ということですね(笑)。お稽古でバイオリンなんかは?

Suyama:そういうのはなかったです(笑)。エレクトーンを習うのが流行ってた頃にビクトロンの教室に行きましたが続きませんでした。楽器に関してはそこからしばらく空白が続きますが、姉の影響もあって、さだまさしなんかを聞くようになり、姉が通販で買ったヤマハのフォークギターを借りてコードを少し覚えたり、という程度です。中学生になると世の中はバンドブームで、仲の良かった友達がバンドをやっていて、その付近をうろうろしてたんですが、必ずメンバーの誰かが遅刻したり休んだりするんですよ。そういう時には私にお声がかかり、空いてるパートを、まあ、だいたいな感じで(笑)やってました。

Rock oN:この部屋(会社ビル内のご自身の作業ルーム)にはドラム、ベース、ギター、キーボードとまんべんなく揃ってますね?

Suyama:その頃のメンバーがたまに、ここにやって来て、一緒に演奏することがあるんですよ。

「バスって一体何だ?」ミキサーの呪い

Rock oN:まるで部室の雰囲気があるのはそのためですか。宅録はされてましたか?

Suyama:まず、最初のパソコンなんですが、中学受験合格のお祝いにNEC PC8801MK2を買ってもらいました。16歳の時にアメリカにホームステイしたんですが、MacintoshのPlusだったと思うんですが、そのステイ先にやって来たんです。昼間の誰もいない時を見計らって勝手に触ったんですが、触ってすぐにマックドローを使って絵が書けて、さらにプリントアウトまで出来たので「パソコンってすごい!」と感動しました。その感動を持って日本に帰り、バイトして一体型のNEC PC-9801 CV21を中古で買いました。ダイナウェアのソフトBalladeを使って打ち込んでました。

カセットMTRは最初にタスカムPORTA ONEを買ったんですが、もっと多機能なのが欲しくなり、TASCAM 644を買いました。ですが「バス」でつまずくんですよ。19くらいの頃だと思います。「なんでハウるんだ?」って思いながら、実はリバーブがフルブーストされて音が回ってる状態。そんな感じでした(笑)。私はそれを「ミキサーの呪い」と言ってます。

Rock oN:作った音はどうしてたんですか?

Suyama:作った作品はまだこの部屋のどこかにありますよ(笑)。作っては友達が来たらカーステで聞く、みたいなことをしてましたが、「お前、もうそれいいよ!」と言われながら(笑)。

取材場所は銀座のほぼ中心部。こんなハイソな場所のビルの一角に、このような音楽部屋があろうとは思ってもみませんでした。このシチュエーションだけでも、何か普通でないお話が聞けそうな予感。それは見事に的中する訳ですが、今回は音楽だけにとらわれず、色んな面白いお話を伺うことになります。

須山さんのハマリポイント その1「ラジコン」

バンドでギター担当してた友達がラジコンが好きで、その影響で自分もやるようになったんですが、見事にハマってしまって、模型屋さんが主宰してるラジコンレースに出るようになりました。その友達がヤマギワのホビー館でバイトを始めたんですが、自分も誘われてバイトをし、2年くらい続けました。そのせいで大学には年間1週間くらいしか行かなくて、まんまと留年したんですが(笑)。でも、そのバイト先で覚えた電気系統や機械の知識が今の仕事に役立ってるんですよ。当時、自分の部屋にはボール盤も置いてたし、スプレーブースもあって、かなりハマってました。フルスクラッチ(既製品でなく材料から作り上げた模型)もやり込んでたし、パーツも型番が頭に入ってるくらい極めたんですよ。

Rock oN:では学生の時から、今のこの部屋のように、何かを極める感じだったんですね。今のお仕事はどちらかと言うと「音響」系ですよね。ご自身の興味も、もともと音自体に関心があった方なんですか?

Suyama:いえいえ、全然そんなことないです。元々は音楽が好きで、この仕事をやり始めてから「音響」的なことを勉強しました。大学卒業後、家業である歯科技工の専門学校に夜間で通って勉強したんですが、父親に「補聴器をやってみろ。」と言われて、学校や会社の方、メーカーさんから教わって勉強しました。歯科技工は沢山の方が携わってる訳ですが、当時、補聴器はまだそんなにやってらっしゃる方が多いという訳ではなかったです。自分が音楽好きだったということはプラスに影響してるでしょうね。

外的要因によって損傷してしまった外有毛細胞の写真

Rock oN:補聴器ということで「聞く」事に関して、いわゆる耳の仕組みといった身体/生理的な部分から音響に入られた訳で、なかなか珍しいケースですよね。

Suyama:そうですね。会社で補聴器を始めた頃、「小さい音が大きくなればいいんでしょう。」みたいな感覚でいたんですが、利用されてる方と接すると「いや、大きくするとうるさいんだよ。」という意見もあったりと複雑で、簡単なことではなかったですね。

須山さんのハマリポイント その2「Macintosh」とサイト運営

Suyama:ヤマギワでバイトしてる時の上司にMacintosh好きな方がいらして、その人はオーディオビジュアルにもすごく凝ってた人だったんですが、その人が私のマックの師匠と呼べる人で、当時出たPower Macに買い替えるということで、「なあ須山、俺が使ってたCentris 650、すごく安定して動作してるし、色んなソフトが入ってるんだ。今度、新しく出るPower Mac、最初は動作が不安定なんだけど、お前、俺の安定してるCentris 650、欲しいなら特別に21万で売るよ。」ということで、それが自分で最初に買ったマックです。

Rock oN:昔、そういう話、よく聞きましたね(笑)。当時、マックの情報サイトを運営されてたと聞きましたが?

Suyama:はい。会社に行きながら、夜間の歯科技工の専門学校に行ってたのですが、学校は駿河台にあったんです。授業は夕方5時頃から始まるんですが、市川の会社を「学校行ってきます。」と2時くらいに出るんです。そうすると3時頃には、

Rock oN:秋葉原に着く、と。。。

Suyama:はい。で、「いすずラーメン」に寄って腹ごしらえした後、秋葉原のマックショップを速攻で一周するんです。行くルートは決まってたんですが、どの店に何が、いくらで置いてあって、在庫がどれくらいあって、みたいなことをインプットしてたんです。お店の店員さんとも仲良くなったりして。その情報を月〜金でホームページ上に公開、更新してました。さらに、学校は夜の9時までだったんですが、後半の実習を早く終えれば、その分早く帰れたので、さっと終わらせて、再度秋葉原に戻ってもう1度巡回し、帰宅して情報を更新と、そういう流れでした。

これがそのサイトです。http://www.suyama.co.jp/hi/tips.html お話を中断してしばらく、当時のサイトを拝見しましたが、アップルが販売してたデジカメQuickTakeの懐かしい写真などが映し出されたりして、「このサイト、あったなぁ〜」と記憶が蘇ったスタッフもいました。読者の方の中にも、もしかしたらご存知だった方もいるかもしれませんね。しばしサイトを見ながら、マックの懐かし談義が続きました。。。

Rock oN:ところで、このサイトは何のために(笑)?

Suyama:なんの目的も無く。このサイト、本来は会社のホームページなんですよ。

Rock oN:会社と関係ない(苦笑)。

Suyama:97年にアップル本社を訪ねてクパチーノにも行ってますし、毎年、休みを取ってマックワールドを見に、サンフランシスコへ行ってました。

Rock oN:(分解記事の写真を見ながら)質問なんですが、サイトで新製品を分解してレポートする人がいますよね。あのモチベーションというか、何がそうさせるんですか?

Suyama:単に面白がってるだけですけど、当時の機種はバラしてハードディスクを交換したり、CPUカードを載せたりとか、色んな手段でスペックの延命みたいなことをせっせとしてたんです。それもあって、分解することが結構必要だったんです。Power Mac G4 Cubeに関しては、さんざんやって、本も出したんですよ。

Rock oN:それはすごいですね!ラジコンといい、マックといい。

Suyama:興味の対象がどんどん変わるんですよね。偏狭と言ってもいいですね。「これいい。」と思ったらそればっかりやる。そういう性格なんですよ。

須山さんのハマリポイント その3 レコーディング機材

Rock oN:今はレコーディング機材にはまってらっしゃるわけですよね?この部屋にレコーディング機材、結構ありますし。

Suyama:はい。ありがたいことに音の世界で勝負されているエンジニアさんやミュージシャンの方々からお話をお伺いできるようになり、自分の中の「スイッチが入った」ようです。マスタリングに関してはマスタリングエンジニアの原田光晴さんにアナログ機材のこと、DSDのことなど色々教えて頂いています。(株)アコーステックの佐藤さんから宮崎泉(DUB MASTER X)さんをご紹介頂いて、そこからサウンドエンジニアの杉山勇司さんをご紹介頂いたりもして、実際にスタジオで音を聞かせて頂く機会もあり、「こういう世界もあるんだ。」と大変勉強になっています。来年辺りの製品には、今得ている知識が活かされてくると思います。

Rock oN:FitEarの製品は現場の方々の間に口コミで広がっている、と伺ってますがどうですか?

Suyama:最初はホームページに載せたり、毎年のInterBEEで小さなブースを設ける、程度の宣伝しかしてませんでしたが、バンドのキーボード担当だった望月衛介がその後、B.B.クイーンズに参加し、プロとして活動するようになるんですが、彼が、僕がイヤーモニターを作ってるということを他のミュージシャンに紹介してくれて、そこから広がり始め、ドラマーの江口信夫さんをはじめ、現場でも使って下さるようになりました。

Rock oN:それは製品のクオリティの高さがあったからでしょうね。専用ケースも凝ってますよね。現場で使ってる方が「何、これ?」と、見た目でも注目を集めるのでは?

Suyama:ケースで考慮したのは、イアーモニターをPA会社さんで管理/保管される場合、なにぶん小さな製品ですので潰されちゃったりすると大変なので、頑丈なペリカン製のPC-1040を選びました。「何色にしようかな?」と考えたんですが、目立てばいいなと考えて黄色にしたんですよ。すると「あの黄色のケース、現場で見ますよ。」と言って頂くことも増えました。歯科技工の会社の中で補聴器から始め、イアーモニターとやってきた訳ですが、歯科技工で長年培ってきた技術と、音の現場の第一線で活躍されている方々のご助言が、ラッキーなことにうまくかみ合って、FitEarのイアーモニターを作る事ができた、という感じですね。

Rock oN:業務寄りのプロオーディオ製品とは別に、コンシューマー向けのラインもある訳ですが、今後はその方向も拡大されるご予定ですか?

Suyama:最初は、プロオーディオとコンシューマーでは求められるものに差があったんですが、MH334を開発した結果「プロ/コンシューマーで別ける必要ないな。」というクオリティだったんです。業務用であれば細かなEQ等での補正が必要かもしれませんが、「大枠では別けて考える必要はない。」というのが正直な所です。ですので今後、MH334、MH335DWを中心にしたラインに集約していくんじゃないかなと考えてます。

問題があるとすれば、プロユースとコンシューマーでは流通やサポート体制に違いがありますので、例え同じ製品でも、その辺りを考慮した上で販売しなければなりません。プロユースは耳型を採取することが必要ですし、販売に加え、アフターケアのサポートも100%自社でやってます。今後、販売店さんや代理店さんにお願いすることになれば、その部分をご協力して頂く必要があると思います。

Rock oN:今後のご予定などお聞かせ頂けますか?

Suyama:先ほど言った事と少し逆になりますが、レディーメードの製品を作って色んな場所で販売を広げる、というようなことはしないと思います。他の大手メーカーさんが沢山やられていますので、そこには行かずに、自社のスタッフがハンドメイドで丹精に作った物をお客様にご使用して頂いているので、その部分を弊社の売りにしていきたいです。例えばですが、新製品を作ってみたところ、3個しか売れなかったとしても、「じゃあこの部品を別のに変えてみよう。」とすぐに行動できるのが強みです。確かに高額な製品ではありますが、ハンドメイドによるクオリティに対して信頼を頂ければ、会社としてもバランスを取って営業して行けると思います。一番望んでるのは、今のスタッフが死んだ後でも会社は続いて行く、ということなんですよ。短期的な拡大路線ということよりも長いスパンで考えたいですし、「新しいことをやって行きたい。」、「面白いことをやって行きたい。」、「他がやってることはやらない。」と、自分たちにとって意味があることを探して行きたいです。

Rock oN:最後の質問ですが、須山さんにとって音楽、または音とはなんでしょうか?

Suyama:少し恥ずかしいんですが、「心のスイッチ」ですね。朝起きて聞いた音楽でその1日が決まっちゃう事もあるし、仕事で疲れた時に聞いた音楽で機嫌が良くなる事もありますし。音に関して言うと、私、雷がゴロゴロと鳴りだすとワクワクしちゃって、ベランダに出て聞いたりするんですよ(笑)。

ハイエンドなイアーモニターを進化させ続けている須山さん。これらの製品はRock oNでお取り扱いを開始しています。耳へのいたわりと音へのこだわりを備えた最先端のモニター環境を、ぜひみなさんもご体験ください。

Proceed Magazine
2012-2013

FitEar製品の技術に迫る!


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