サウンドデザインのインターフェースに、植物や遺伝子の要素を取り入れた超個性派シンセ SYNPLANT が、15年ぶりにバージョンアップ!
SONIC CHARGE SYNPLANT は、サウンドの種を植物のように成長させて音作りするシンセサイザーです。その誕生から15年ぶりに新しくなったバージョン2では、機械学習アルゴリズムを採用したGenopatch機能が搭載され、オーディオサンプルを分析して新しいサウンドの種を生成します。オリジナルサンプルを忠実に模倣したサウンドから、全く予想できない摩訶不思議サウンドまで、SYNPLANT 2はユーザーに新しい音作りの体験を提供してくれます。
まずは注目の新機能!Genopatchの実践から
SYNPLANT 2 の種明かし:
DNAエディターが複雑な音作りを可能にするメカニズム
音色を作成するDNAエディターは3つのセクション
1.エンベロープとLFO
2.オシレーター
3.フィルターとエフェクト
から構成されています。それぞれ、どんな音作りを可能にするのか動画にしました。
サウンドの大元を生み出すオシレーター
2基のオシレーターで音作り
SYNPLANT 2の複雑なサウンドを聞いて、音源方式はWavetableや多数オペレーターを持ったFM、加算合成を想像していましたが、2基のアナログモデリング・オシレーターというシンプルな構成です。オシレーター波形はサイン波→ノコギリ波→矩形波→パルス波へ無段階でモーフィングする仕様で、オシレーターAではブラウンノイズからホワイトノイズまで付加することができます。
オシレーターBはオクターブ下にサイン波を加えるサブオシレーターと、サンプル&ホールド機能を備え、太くて厚みのあるサウンドやビット落としのようなサウンドも作れます。
エンベロープEGでピッチを変調したり、オシレーターB で オシレーターA を変調するFMによって、オシレーター・シンクサウンドを生み出せるのも大きな特徴です。
ボリューム・エンベロープ
音量をコントロールするエンベロープ・ジェネレーター(EG)が独立して用意されているのがポイントです。EGをループさせた際には、EGループ全体のボリュームディケイをvol_fadeで設定できるのも便利です。リズムサンプルをシンセで模写する時に、このボリュームEGが大活躍してくれます。
モジュレーション・エンベロープ
モジュレーションEGはオシレーターのピッチや、フィルターのカットオフ周波数をコントロールするのに使用でき、動画ではオシレーターピッチを変調しています。ボリュームEGと機能は近いですが、モジュレーションEGにはサンプル&ホールドが用意されています。
LFO
LFOはピッチとボリューム兼用で、LFOが効き出すまでの時間を設定できる lfo_dly パラメーターが備えられています。シンセリードなどで音を伸ばして一定時間が経つと、ビブラートが自動的にかかってくれるという便利機能で、この機能を備えるシンセはなかなか珍しいです。
アナログライクなフィルター
フィルターはバンドパス、ローパス(シリアルとパラレル)、ノッチタイプから無段階に選べます。filt_sepパラメーターでフィルターをパラレルにすれば、レゾナンスのピークが2つ作れてしまいます。サチュレーターと2バンドイコライザーも、太いサウンド作りに大きく貢献してくれます。
リバーブ
リバーブにコーラスをかけられ、独特の滲み感を得ることができます。音場が大きく広がり、モノ音源との対比が際立つリバーブです。
SYNPLANT 2 の使い方:メイン画面で種を育てる
SYNPLANT 2 は、マウスカーソルを使ってサウンドの種を育てながらサウンドメイクを行う、新感覚のDNAシンセサイザーです。種の周囲をクリックすることで、サウンドに組みこまれた遺伝情報を基に、複雑にサウンドが変化していきます。気に入ったサウンドは新しい種として植え替えることができ、まるで生きているかのように世代交代を行いながらサウンドを進化させていくことが可能です。
Seed and Branches(種と枝)
GUIの中心に見える種はサウンドの核で、種の周りをマウスでドラッグすると、この種から枝が伸びて行きます。それぞれの枝はユニークな音色を持っており、種に最も近い枝は種と同じサウンドで、枝を引っ張れば引っ張るほど、種とは異なるサウンドに成長します。
モジュレーション・ホイール(コントロールチェンジ#1)を使うと、モジュレーション・ホイール・リングが連動して動き、全ての枝を同時に伸ばしたり縮めたりすることが可能です。
モジュレーションホイールによる、枝の伸縮
シンセリードを演奏しながらモジュレーション・ホイールを操作すると、グラフィック内の「モジュレーション・ホイール・リング」が連動して動きます。モジュレーション・ホイール・リングとは、数十個の音色作成パラメーターを同時に操作できるマクロ・ノブみたいなもので、枝が伸びると音色が変化し、枝が伸びるほど音色の変化は激しくなります。
DNAエディターを見てみると、画面左側の二重らせんグラフィックや、パラメーターノブがホイールに連動して変化しているのが分かります。
音色を無限に生み出せるサイコロ機能
サイコロ機能はDNAエディターに備えられた機能をランダマイズして、全く新しい音色を生み出してしまいます。無限に搭載されたプリセットを聞いてるような、ひたすら押し続けたくなる機能です。
SYNPLANT 2 の Genopatch がシンセ模写したサウンドを分析!
Genopatchは、インポートした手持ちのオーディオファイルからシンセ・パッチを作り、AIを使ってサンプルに基づいた最適なサウンド設定を見つけます。画面内の糸が成長するにつれて、よりインポートしたサンプルに似通ったサウンドを生成します。
完璧にサンプルのサウンドとマッチすることもあれば、予想外のサウンドが生まれる場合もあり、正確さと予測不可能さのバランスによって、ワクワクするようなサウンド探しの旅を実現します。また、Genopatchはインターネット接続を必要とせず、すべてローカルコンピュータ上で動作します。
スネアのサウンド模写結果を分析
スネアのサウンドも、かなり近く模写できました。DNAエディターを見ると、オシレーターAのパルス波をオシレーターBで変調して、フィルター、EQ、リバーブのコーラスも駆使しています。
ドラムのリズム模写結果を分析
オシレーターAのノイズ多めなパルス波、オシレーターBのサンプル&ホールドがパーカッシブなサウンドを演出し、サチュレーションとEQで高音を強調、最終的にはボリュームEGのループでリズムを生み出しています。
SYNPLANT 2をグルーヴマシンに活用
最後に、SYNPLANT 2を活用したデモトラックを作ってみました。有機的なサウンドとGUIグラフィックの動きから、まるで緑色の生物同士がコミュニケーションしているように見えます。ドラムだけ、Ableton Live内蔵のリズムサンプルを使用しました。
記事内に掲載されている価格は 2023年11月10日 時点での価格となります。
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