動画配信において適切な音声セッティングをすることは重要ですが、初心者の方や音響機器の扱いに慣れていない方だとミキサーでの設定もなかなか難しいことが多いと思います。
Mackieが先月発表した配信用ミキサー「DLZ Creator」は、そうした要望に応えるべく初心者からプロのオペレーターまで簡単に幅広く使える便利な機能を搭載しています。
今回はMackieのスタッフの方がRock oNにお越しいただき、新しく発表されたDLZ Creatorの製品コンセプトや様々な機能について解説していただきました。
(DLZ Creatorは2023年夏頃発売予定で、市場想定価格税込¥122,650です)
★参加スタッフ
Mackie Product Specialist(APAC) : JASON TAN 氏
音響特機株式会社 マッキー・ブランド・グループ : 市谷 京三 氏
音響特機株式会社 マーケティンググループ : 松井 友樹 氏
開発コンセプト
Rock oN : まずDLZ Creatorの開発コンセプトをお聞かせください。
JASON TAN 氏 : Mackieは35年以上ミキサーを作ってきた実績がありますが、ユーザーからポッドキャストやストリーミングなどの配信向けミキサーを作ってほしいという要望をよく頂いていました。というのもかつてミキサーはエンジニアだったりミュージシャンだったり、どちらかというと音楽機材に精通した人が使うものですが、時代が変わって今日では主にネットの普及もあってゲーマーだったり動画配信をやる人がミキサーを使いたいというニーズが増えてきました。
そこで今回そのニーズに応える形でエントリーユーザーからプロまで誰でも簡単にセットアップができて気軽に使えるものを開発したい、それががDLZ Creatorの開発コンセプトです。
Rock oN : それではエントリーユーザーに向けてはどのような機能があるのでしょうか?
JASON TAN 氏 : 従来はユーザーがマニュアルを読んで使い方をじっくり知っていくスタイルが主流ですが、DLZ Creatorはこれからすぐに配信をしたい人でも30分もあれば全世界に配信をスタートできるように、【Easy】【Enhanced】【Pro】3つのモードが選べるようになっています。
例えば【Easy】モードを選べばミキサーを初めて使う方もこれによってミキサーやマイクの知識が全くない人でも画面の案内に従って音が出る状態まで設定することができます。どのようにセッティングするのかこれから解説します。
【Easy】モード
●初心者には嬉しい、マイクの自動セッティングが可能!
JASON TAN 氏 : まずは【ヘッドホンセットアップ】です。DLZ Creatorは4つまでヘッドホンを接続できて、それぞれの音量を調整できます。ここではいちいちマイクで声を出して音量を調整する手間をかけずに、内部にある音源で音を再生することでヘッドホンの音量を調整することができます。
次の【Connect Inputs 1-4】では入力するマイクや楽器の音量調整ができます。「input 1 Source」と画面に出ますので、ここでinput 1のダイナミックマイクやコンデンサーマイクあるいはギターなどのInstrumentなど、入力ソースの種類を選びます。
次の【Set Input Level】ではマイクに声を出すことで、適正な音量までInput Levelを自動的にセッティングしてくれます。ゲインのセッティングはなかなか初心者には難しいと思いますが、自動設定ができるので声が小さかったり大きすぎて割れたりすることがありません。
市谷 氏 : ここで例えばコンデンサーマイクをセレクトしていれば電源供給も自動的にしてくれます。
Rock oN :これは初心者には嬉しい機能ですね。
JASON TAN 氏 : 他にもキーボードをステレオ接続したり、スマートフォンをBluetooth接続することなども画面を見ながら簡単にセッティングすることができます。またSDカードやUSBメモリなどを背面パネルに接続して、音源データを取り込むことも可能です。
Enhancedモード
Rock oN : Enhancedモードとはどんな機能でしょうか?
JASON TAN 氏 : Enhancedモードは、ユーザーが3ヶ月くらい使ってみて、さらにエフェクトなどさらに細かい設定をしたいという場合に使うのに役立つモードです。FXというタブが追加されますので、ここでReverbやDelayがどのチャンネルにかかっているかがわかり、エフェクトのオンオフの切り替えができます。他にも各チャンネルに3バンドGEQやノイズゲート、ディエッサーなどを設定することが可能です。
Proモード
Rock oN : Proモードとはどんな機能でしょうか?
JASON TAN 氏 : ここは音響機器に習熟していてよくミキサーも使い慣れている方が、より細かくミックスや音質を調整したい方が使うためのモードです。3バンドPEQやコンプ、そのほかリバーブやディレイのセンド量などをタッチパネルで細かいパラメーターを設定できますし、各トラックのパンニングやミックスの音量調節もできます。
他にも多彩な機能を搭載!
Rock oN : 他にはどういう機能を搭載しているのでしょうか?
JASON TAN 氏 : 非常に多彩な機能を搭載していますので、順番に解説していきます。
●サンプリングパッド
JASON TAN 氏 : まずサンプリングパッドを6つ搭載しています。これらはデフォルトで音色も入っていますが、当然SDカードやUSBメモリなどから音素材を取り込んで変更することも可能です。サンプリング音の再生の仕方もワンショットやループの設定など色々と変えられますし、スタートポイントやエンドポイントのほかフェイドインやフェイドアウトなどの設定を入れることもできます。
他の使い方としてはパッドに効果音を割り当てるだけでなく、楽曲を配信などでかけるときにこのパッドに曲を割り当てて音出しすることも可能です。またライブでのオケ出しなどにも使うことも可能です。各パッドにA~Dまで4種類割り当てることができて、ボタン一つで再生しますので非常に簡単です。
●最大14chのマルチトラックレコーディングも可能
JASON TAN 氏 : 他にDLZ Creatorは12ch+MAIN OUT 2ch、計14chマルチトラックレコーディングやステレオ2ミックスレコーディングにも対応しています。USBを接続してPCでのレコーディングはもちろん、USBメモリやSDカードにもレコーディングができますので、例えば配信の音声をマルチ録音でバックアップを取ることも可能です。
4つの最大80㏈の高品位新マイクプリアンプOnyx80を採用
マイクプリアンプも新開発の最大80㏈対応のOnyx80を4つ搭載しています。これまでだと最大60dBでしたが、SM7B(Shure)のようなマイクロフォンなども十分ドライブできるものになっています。
●Auto Ducking機能 / AutoMix機能
JASON TAN 氏 : 他にもAuto Ducking機能というのを装備していて、これはCH1のマイク音声が入力されたときにマイク音声を優先するためにBGMなど自動で他の音源を下げてくれる機能です。ミキシングエンジニアのいないワンオペレーションで配信している時などに、音源のフェーダーを下げる忘れたりといったミスを防ぐことができます。
JASON TAN 氏 : それともう一つAutoMix機能というのを装備しています。多くの人が同時に話を始めるとミキサーに接続したマイクの音量が上がって歪んでしまいますよね。それを防止するのがAutoMix機能です。最大4つのマイクのレベルをコントロールすることで、4名で同時に話しても歪みのない配信が可能です。例えばMC担当のマイクは優先度を上げておくなど、それぞれどの音声を優先するかの設定も自由に変えられることができます。
日本のユーザーに向けて
Rock oN : それでは最後に日本のユーザーに向けて、メッセージをお願いします。
JASON TAN 氏 : DLZ Creatorは、初心者からプロフェッショナルまで幅広い層に使っていただける製品だと思っています。スキルや知識がそこまでなくても使えますので、ぜひ気軽に使っていただければと思います!
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記事内に掲載されている価格は 2023年6月8日 時点での価格となります。
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