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ベースが生み出す低音のグルーヴは、音楽の心臓部と言っても過言ではありません。そんな“縁の下の力持ち”をどこまでリアルに再現できるのか。今回、プロのベーシストに16小節のベースラインを、いくつかのジャンルに分けて弾いてもらい、その同じフレーズをIK MULTIMEDIAの最新物理モデリング音源「MODO BASS 2」で打ち込み、徹底比較してみました。
実際に現場で数多くのアーティストをサポートしてきたサウンドエンジニアに話を聞くと、「MODO BASS 2は扱いやすく、現場でも頻繁に登場する」とのこと。自由度の高い音作りと、驚くほどのリアリティが融合したこのソフトは、いまや単なる代用品ではなく、プロが選ぶ実戦的なツールとしての存在感を確立しつつあります。
1.ジャンル Rock
湯浅氏による手弾き
MODO BASS 2で打ち込み
湯浅氏 コメント
手弾き使用楽器:Fender JAZZ BASS Japan ‘70s model にてピック弾き。
MODO BASS 2:MODEL ‘70s J-Bass, PLAY STYLE Pick
・70年代のフェンダーJazzBassの特徴をよくとらえている印象。
・Precisionベース等にある70Hzあたりの低音の暴れ感が抑えられている印象。
・3kHzあたりの自然な抜け感が嬉しい。
実際に手弾きした音源はオルタネイトピッキングで演奏したものです。その為MODO BASS 2の設定も同様にしたのですが、今回のデモの場合はダウンピッキングに設定した方が勢い、スピードが手弾きのものに近づいた印象を受けました。またMODELもModern J-Bassに設定した方が近い印象でした。実際にイメージしたものと違う設定を気軽に試して楽しむことができるのもMODO BASS 2の特徴の一つではないでしょうか。
2.ジャンル Funk
湯浅氏による手弾き
MODO BASS 2で打ち込み
湯浅氏 コメント
手弾き使用楽器:Fender PRECISION BASS USA ‘74 にて指弾き。
MODO BASS 2:MODEL ‘70s P-Bass, PLAY STYLE Finger
・J-bassに比べて70Hz〜100Hzあたりがリッチに出ている印象。
・音色も非常にナチュラルで生演奏のトラックに合わせても違和感なく聴こえる気がします。
Funkミュージックのベースにとって大事になってくるグルーヴ感(ハネ、キレ、スピード感など)を音源で再現するのは非常に難しく、今回はMODO BASS 2の特徴を分かりやすくする為にあえて外部プラグイン(アンプシミュレーター、EQ、コンプレッサーなど)は使用せずにMODO BASS 2のみで制作しました。より細かい設定(タイミング、ベロシティなど)をし、様々なプラグインなども使用して完成度を上げていくという作業も楽しいと思います。
3.ジャンル Jazz
湯浅氏による手弾き
MODO BASS 2で打ち込み
湯浅氏 コメント
手弾き使用楽器:Fender JAZZ BASS Japan フレットレスベース にて指弾き。
MODO BASS 2:MODEL Fretless Jazz, PLAY STYLE Finger
音色がFenderのJazz Bassのフレットレスにかなり近いことに驚きました。自分が使用している楽器は中低音が強く出る特徴がある為、MODO BASS 2内のシミュレーターを使用して少しだけ手弾きの音色に近づけています。今回一番苦労したのはアタックのタッチ感です。Funkの時と同様に本来の特徴を分かりやすくする為に細かい設定はしていませんが、ジャンル的にもそこの部分がキモになってくるので細かく突き詰めてみるのも面白そうです。
総評
使用者のメイン楽器による使用目的の変化
例えば、鍵盤奏者のようなベーシスト以外の人が使う場合、打ち込み時に運指までを気にしないことも多いと思います。その際、実際にベースでの演奏が困難な場合も生じるかもしれませんね。その一方、ベーシストでは考えられない面白いフレーズが生まれる可能性も大いにあるので、使う人、使う目的(実際の演奏のシミュレーションを行うのか、それともそれらを無視した自由な発想でサウンド作りを行うのか)によって、製品の持つポテンシャルが変わってくるでしょう。そう言った意味では、実際のベースという楽器を、忠実に、高い精度でシミュレートしている製品ということができると思います。
デモ制作の効率化
例えば、自分がホフナーのベースを持っていなくても、ホフナーが使われる楽曲をイメージした曲のデモを作る場合、すぐにベースをホフナーに切り替えることができるので、デモ制作の効率化に大きく貢献できます。
細かな設定とリアリティ追求
弦の状態(新しい弦、古い弦)やピックアップの位置(ネック側、ブリッジ側)の設定も変えることがきるのは驚きです。これはベーシストでなければ気づかないことかもしれませんが、僕のようなベーシストにとっては、マニアックに音作りを行えるポテンシャルを持った製品です。
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記事内に掲載されている価格は 2025年10月1日 時点での価格となります。
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