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人気を博すMOTU UltraLiteシリーズの第五世代である「Mk5」。他の同価格帯の製品とは違った面白い特徴を持っており、コスパも非常に優れていると言えます。今回はその特徴の紹介やコスパに優れると言える理由を紐解き、製品のレビューをしていきたいと思います。
小さくてもパワフル!豊富な入出力
まずは本体を見ていきましょう!
シンプルに扱いやすく – 正面
左からMIC/LINEインプットが2系統、ボリュームダイヤル兼電源ボタン、その下にヘッドホンアウト、MICゲインダイヤルとPADとファンタムのスイッチがあり最後に各入出力のレベルが確認できる液晶パネルがあります。情報量は多く、必要なものをしっかりと詰め込んでありながらコンパクトに仕上がっています。デザイン的にも黒一色といった感じで落ち着いているので、MOTUのインターフェースらしい堅実な雰囲気が感じられます。
つまみ類をシンプルにし液晶を搭載してレベルを確認できるようにしてあるのがいいですね。このサイズでの液晶搭載機は限られるので嬉しいポイントです。
圧倒的数の入出力 – 背面
背面にはUltraLite Mk5の強みである6系統のLINE INと10系統のLINE OUTという豊富な入出力の端子が搭載されています。またS/PDIF、OPTICAL、MIDIのI/Oが1系統ずつ搭載されており、最大18IN/22OUTの入出力が可能です。この入出力の多さは痒いところに手が届くような便利さがありますね。
データ転送にはUSB TYPE-C(USB2.0)が採用されており非常に汎用性の高いものとなっています。
ここまであって驚きの小ささ
ここまで入出力を多く搭載すると本体サイズが大きくなりそうですが、UltraLite Mk5はハーフラックサイズです。その小ささとLINEの入出力の多さは一番の強みであり、コンパクトでありながら多チャンネルの同時録音まで行えるため、自宅でハードウェアを沢山所有するユーザーにとって良い選択肢となるでしょう。特にモバイル用途や宅録で活躍しそうですね。
大人気のRME fireface UC/UCXシリーズに似たバランスの良さを感じました。またアウトも多いので、複数のモニタースピーカーを同時に利用するといったような環境も手軽に構築することができます。
後述するCueMix 5というソフトウェアミキサーツールで入出力のルーティングも指定することができ、多く搭載した入出力をしっかりと活かすことができます。
コンパクトさを最大限に活かせる互換性
コンパクトな本体をより活かせる機能の一つとして、互換性の高さがあります。MacはもちろんWindows、さらにはiOSまで対応。iPadとUltraLite Mk5で手軽にコンパクトなモバイル環境を作り上げることも可能なので、外出先で手軽にレコーディングなんてこともできます。
シンプルでありながら高機能!CueMix 5
UltraLite Mk5にバンドルされているCueMix 5。見た目はシンプルでわかりやすく機能はしっかりと備えています。GUIはフラットで今風なデザインなのも◎。
自由自在なルーティング。多くの入出力を自分好みに
CueMix 5では自由にUltraLite Mk5の出力ポートごとに個別でアサインする入力ソースを指定したりレベルを調節することができます。
例えばLINE IN 3にキーボードを入力し、LINE IN 5にギターを入力した状態でLINE OUT 7にエレピを送り、少しだけギターを送るといったことも可能。もちろんLINE OUT 7と8に同時に送ることも可能です。そして近年重要な要素となっている配信にももちろん対応しており、ホスト出力、ライブストリーミング、ポッドキャスティングをキャプチャする、ループバック・チャンネルを備えています。
ルーティング次第でいろいろとできそうで、想像が膨らみますね。
インでもアウトでも、エフェクトで自分好みの音に
CueMix 5では本体のDSPによるEQやGATE、COMPのダイナミクス系のエフェクトをインサートできます。録り音にかけるのはもちろん、録り音は音質変化させずクリアに録り、アウトだけ好みの音にするということも可能です。
さらにダイナミクス系だけではなく、リバーブもかけることができます。これによってボーカル収録の際、返し用のリバーブを準備しなくてもUltraLite Mk5一つで完結させられます。このようにEQやCOMPだけでなくリバーブまで使えるのは便利ですね。
(ただしリバーブは一つしか使えないので注意が必要です。またデジタル入力に対しても使用できません。ここはファームウェアアップデートでの進化に期待したいですね!)
機能の豊富さに負けない再生力
ここまで機能について触れてきましたが、最後にUltraLite Mk5のサウンドの印象を書いてみると、ボーカルからギター、ベースにかけての音がよく出ているといった印象です。超低域についてはハッキリとしている中低域よりやや輪郭がぼやけましたが、全体的な印象としては艶感は少なく音の輪郭がハッキリ出ている明瞭で分析的な音でした。
個人的にはUniversal Audio Apolloシリーズに似た系統の音だと感じました。逆にApogee Symphony Desktopなどのワイドな広がりをもつインテーフェースとは系統が異なりますので、ぜひご自身の耳で確かめて好みのものを選んで頂ければと思います。
まとめ
コンパクトな本体に最大18IN/22OUTという圧倒的な入出力の数、シンプルでありながら機能は充実している専用ソフトCueMix 5。さらに制作現場でも十分にこなしていける再生力。ここまで多機能でありながら非常にリーズナブルな価格で、コスパに優れた製品といえます。
Apollo系の音のインターフェースが欲しい、新しくたくさんの入出力があるものが欲しいが10万円未満で抑えたいというユーザーにもお試し頂く価値のある製品だと思います。そうでなくとも環境のアップグレードを考えているユーザーにもこの価格でこの入出力数はかなり魅力的なのではないでしょうか。
是非Rock oN渋谷店で試聴してみてください。
記事内に掲載されている価格は 2021年9月8日 時点での価格となります。
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