「Mercury Native + SSL + Abbey Road Plugins」の中からAbbey RoadシリーズからJ37 Tapeを取り上げてみようと思います。
J37 TapeはWavesとAbbey Load Studioの協力によって誕生したテープサチュレーションプラグインです。今年の10月に発表されたばかりで、まだご存知ではない方も多いかと思います。元となっているのは、STUDER初のマルチ4TrackレコーダーのJ37。型番がそのままプラグインの名称となっています。
J37 tapeはギターにかけてもよし、ドラムにかけてもよし。これ一つでありとあらゆるテープサチュレートサウンドを作り出す事が可能です。
立ち上げてみて驚くのが約60セットもあるプリセット数の多さ。どのプリセットにしてみても音色が一気に変化します。試しにソフトウェアのピアノ音源にプリセット「Piano」をかけてみましたが、瞬く間にオールドスクール調のサウンドへ変化しました。また、Violinの音源にWide Overdriveをかけてみたんですが、これまたあっという間にRockテイストになって、めちゃくちゃかっこよく歪んだ音色に変化します。
J37 Tapeの使い方のひとつとして、とりあえずプリセットを読み込んでイメージをつかんでから微調整もいいと思います。
プラグイン下段のVUメーターの並びのパラメーターでNoise・Saturation・Flutter・Wow、VUを挟んで、ディレイの種類やモードなども調節可能です。
真ん中のIn/OutのレベルでDrive感など調整するのですが、Inの上げ下げでTape独特のサチレーションがかかった暖かみのある丸い音色の調整ができます。このDrive具合を他社のプラグインとも比べてみましたが、Driveのかかり具合がゆったりとしていてしかもナチュラルなのでとても調節しやすいです。また、レベルをリンクさせる事によって、IN/OUTを反比例でリンクします。一定のレベルでいながら音色が変化するので、これもまた便利ですね。
画面左側中程にあるFomulaボタンは、シュミレートするテープの種類を変更してくれます。同じ設定でテープの種類を替えるだけでも、歪み加減が大きく異なります。888が一番歪みやすく、1Kから8Kあたりをぐっと歪ませてくれます。’60s前半に使用されていたテープのシュミレートだそうです。逆に815は’70s前半に使用されていたテープのシュミレートなんですが、歪み加減はぐっと押さえられ、ナチュラルに近い感触です。両者の間をとったのが811で、年代も両者の中間である’60s後半で使用されていたものだそうです。
また。個々の楽器にかけてもいいんですが、マスタートラックにかけてMastering系のプリセットを読み込むと、曲全体の印象がぐっと変わります。
Abbey Road Studioで’60s、’70sと活躍したスペシャルなサウンドへと導いてくれるプラグインJ37 Tape。”インザボックス”では叶えられなかった、素敵なアナログサウンドをあなたのDAWにも!
…小ネタですが、プレイバック中はオープンリール部分が回転します(笑)。ちゃんと左右のテープの巻き取り加減で回る速度も変わってるので、手が込んでますね。私個人としては、こういうの好きです。テープの種類でちゃんとラベルも変わるし、SPEEDで、リールの回転速度も変わるんです。ただ、そんな動作が鬱陶しいという方もいると思いますので、そんなときはオープンリール部分をクリックして、回転を停めてください。
記事内に掲載されている価格は 2013年12月24日 時点での価格となります。
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