
2025年12月4日、Rock oN渋谷店にて「teenage engineering OP-XY直感&瞬間ビートスケッチ講座」が開催されました。 講師にはteenage engineering製品のエキスパートであるメディア・インテグレーションのRyo Takahashi氏を迎え、話題の「OP-XY」を使用した効率的なトラックメイキング術が解説されました。
今回、ご参加いただいた皆様がOP-XYを所有しており、基本操作を超えた実践的なテクニックや、最新バージョン1.1.0の新機能にフォーカスした濃密な30分となりました。その模様をレポートします!
OP-XYの核心:シーケンサーと高解像度
冒頭、Ryo Takahashi氏はOP-XYのコンセプトについて触れました。OP-1 FieldがテープMTRを中心としたワークフローであるのに対し、OP-XYは「シーケンサー」が中心のワークフローである点が最大の特徴です。 特筆すべきは「1920 PPQN」という驚異的な分解能。これはBPM120において約0.2ms単位でのタイミングコントロールが可能であることを意味し、非常に精密な表現が可能になっています。
「ステップコンポーネンツ」でフレーズに命を吹き込む
OP-XYのワークフローの核となるのが、レイヤー構造です。
1. シーケンサー(演奏情報)
2. ステップコンポーネンツ(動作命令)
3. Auxiliary Tracks(オーディオ/MIDIエフェクト)
4. オートメーション
これらが層のように重なることで複雑な表現を生み出します。
本セミナーでは、特に「ステップコンポーネンツ」の実演が行われました。例えば「Multiply」を使用すれば、1つのステップ内で音を4回鳴らすといったドラムロールのような表現が瞬時に作成可能です。さらに確率(Probability)のパラメーターを組み合わせることで、たった1小節のデータから、毎回変化する有機的で無限に広がるフレーズを生み出すことができると解説されました。

直感的なサンプリングとブレイクビーツ作成
実践パートでは、Jungle/Drum’n’bass系のビートメイクが実演されました。 新機能の「スライスモード」を使えば、読み込んだループ素材をトランジェント(音のアタック部分)や均等間隔(Even Mode)で自動的に分割できます。
ここで披露された時短テクニックが「トラックスケール」の変更です。 タップテンポでBPMを設定した後、シーケンスの再生速度(スケール)を「x2」などに変更することで、手軽に高速なジャングルビートの質感を演出できるという、OP-XYならではの直感的なアプローチが紹介されました。
理論不要?「ブレイン機能」と「スクランブル(Scramble)」
音楽理論に詳しくなくても複雑な曲展開を作れる機能として紹介されたのが、Auxiliary Tracksの「ブレイン(Brain)機能」です。これは作成したトラックをインテリジェントに解析し、自然な転調やコード進行の作成を補助してくれる強力な機能です。
また、サウンドデザインにおいてはランダマイザー機能である「スクランブル(Scramble)」が活躍します。トラックを長押ししてスクランブルを実行するだけで、パラメーターがランダムに変更され、偶発的に生まれた気に入ったサウンドは「スナップショット」として即座に保存・呼び出しが可能です。
ライブパフォーマンスを彩る「Punch-in-FX」

teenage engineeringのお家芸とも言える「Punch-in-FX」も健在です。 OP-XYでは、エフェクトの中心線から右側がメロディ、左側がパーカッションに機能が分かれており、ライブ中に特定のパートだけをミュートしたり、リピートさせたりといった展開作りが直感的に行えます。これらの操作もオートメーションとして記録可能なため、楽曲の構成要素としても利用できます。
最新機能「Duck LFO」
最後に、バージョン1.1.0で追加された「Duck LFO」の解説が行われました。ハウスミュージックなどで多用されるサイドチェイン効果を再現するもので、キックのMIDIデータなどに反応して他のトラックの音量を下げることが可能です。
OP-XY 最新アップデート情報
https://support.minet.jp/portal/ja/kb/articles/op-xy-os-update-release
あっという間の30分でしたが、参加者の皆様はRyo Takahashi氏の解説に熱心に耳を傾けていました。ご参加いただいた皆様、OP-XYのユーザーということで、質問タイムも十分に設け、また、逆にRyo Takahashi氏がご参加者様から使い方等のヒントをもらうようなトピックもあり、OP-XY愛好者間の温かなバイブスが共有された充実した時間となりました。
次回開催のご要望やアイデアもいただき、おそらく、続編が開催されるでしょう!(?)

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記事内に掲載されている価格は 2025年12月5日 時点での価格となります。
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