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12
Oct.2016
Rock oN

CREATOR x Product | 大川 晃史

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profile


Prominy, Inc. (プロミニー株式会社)代表取締役。
1994年から2003年までゲームソフト開発会社でコンポーザー、サウンドデザイナーとして活動。代表作は「ZERO DIVIDE」、「ZERO DIVIDE 2」。ギターの打ち込みに対するこだわりが高じて、リアルさを徹底的に追及したギター音源を自ら開発すべく2003年にアメリカのカリフォルニア州でProminyをスタート。2006年に拠点を札幌市に移し、これまでにアコースティックギター音源「Hummingbird」、エレクトリックギター音源「V-METAL」、「SC Electric Guitar」、エレクトリックベース音源「SR5 Rock Bass」などをリリース。その圧倒的なディテール、表現力により、ハイ・クオリティなギターサウンドを求める全世界のユーザーから高い評価を得ている。

infomation


2016年10月現在、ギター音源の新製品、「SC Electric Guitar 2」を鋭意制作中です。

ANALYSE


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Prominy 大川です。先日Rock oNのご担当者の方とお話ししていた時、「私、ギター音源ばっかり作ってますけど、本当は根っからのシンセ大好き野郎なんですよ〜。」と言ったのがきっかけで今回RolandのSYSTEM-8のレビューをさせていただくこととなりました。現在Prominyの新製品の制作の最中なのですが、「ヤバっ、もうそろそろ作業に戻らなきゃ・・・うーん、でももうちょっとだけ」などという感じで、このRoland SYSTEM-8はもっと触っていたいという気持ちにさせられる、とても楽しい「シンセサイザー」でした。

結論から言うと、「買い」か否かというところでいうと間違いなく「買い」です。高機能なシンセサイザー、シンプルながら即戦力で使えるエフェクト、ステップシーケンサー、アルペジエイター、CV / GATE OUTやボコーダーまでついて素晴らしいコストパフォーマンスです。これだけの内容がこの価格の中に惜しみなく盛り込まれています。美しい楽器であり、優れた工業製品です。

【ルックス】

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黒い筐体に多数のノブ、ボタン、スライダーが並んでいます。これらの操作子のレイアウトはJUPITER-8に似た感じですが、筐体の色をJUPITERっぽくせず、シンプルに黒一色にしたのはPLUG-OUTで色々なシンセに変貌できるからでしょうか?

すべての操作子にはイルミネーションがあり、まぶしすぎず関節照明のように優しく発光します。イルミネーションが美しいのは最近の機種では珍しいことではありませんが、この機種はケバケバしい色使いではなく、落ち着いた配色で非常に見やすいです。バンクセレクトおよびパッチナンバーセレクトのボタンがステップシーケンサー使用時にステップシーケンサー用のボタンとなりカラフルに点灯します。是非部屋を暗くして美しいイルミネーションで大いにインスパイアされましょう。

しばらく触らないでいると操作パネルのイルミネーションのアニメーションが始まります。「あ、ほったらかしてゴメンね。」という気持ちにさせられます(笑)。さらに放置しておくとあきらめて自ら電源をOFFにします。これら機能が発動するまでの時間はシステム設定で変更可能です。

【サウンド】
私が持つRolandのシンセサイザーのサウンドに対する印象は、「音ヌケの良い透明感のある上品なサウンド」といった感じですが、このSYSTEM-8もその傾向にあるように思います。メインのオシレータ(OSC1および2)にはそれぞれVARIATION1と2があり、VARIATION1にはSine、Square、Triangle、Sawといった基本的なもの、VARIATION2では他様々なソースが選択可能です。このVARIATION2のオシレータの種類は先に発売されたSYSTEM-1のバージョンアップで追加されたもので、今後VARIATION3、4、とバージョンアップによりさらに追加される可能性があるかどうかはわかりませんが、そういった拡張性は備えているということです。これらのオシレータ波形にCross、Ring、Syncによる複雑な変調を加えることができます。

また、SYSTEM-8には第3のオシレータ、OSC3(SUB OSC)があります。これでサウンドにもう一つボトムを追加したり、TUNEノブで周波数を変えれば任意の帯域を加えることができたりするので大変重宝します。TUNEノブの設定値を高くすれば高音域を追加することもできます。このように、豊富なオシレータ波形、多彩なモジュレーション機能、さらにエフェクト・セクションにはディストーション系のエフェクトが用意されているので、定番的なサウンドからトリッキーなサウンドまで、かなり幅広い音作りが可能です。

02

フィルタはスムースな効き具合が非常に気持ち良いです。CUTOFFのノブには解像度の高いノブが使用されているとのことで、何か音色選んでこれを動かすだけでもかなり楽しめます。フィルタの種類も複数用意されていて、オリジナルのJUPITER-8と同じく、メインのフィルタの他に独立して使えるハイパスフィルタがあるのも嬉しいですね。信号がFILTERセクションを通過した後、さらにAMPセクションにあるTONEノブで音色全体の明るさをもう一度調整できます。

ファクトリー・プリセットに関しては、モダンなサウンドからヴィンテージ的なものまで色々入っていて様々な音楽ジャンルに対応可能かとは思いますが、ファクトリー・プリセットの数はさほど多くありません。SYSTEM-8本体とPLUG-OUTのJUPITER-8にそれぞれ8バンクx8ナンバー=64個のプリセットがありますが、そのうち1つのバンクはユーザープリセット用に何もエディットされていない素のオシレータそのままの音になっていて、実質トータル112個のファクトリー・プリセットが用意されています。(Performanceのプリセットは除く)

膨大な数のプリセットが用意されているワークステーション系のシンセやArturiaのソフトシンセなどに比べると少ない感じがしますが、とにかくユーザーに操作子を動かして自由に音を作ってくださいということなのでしょう。

スペック一覧はRolandホームページで見ることができます。
https://www.roland.com/jp/products/system-8/specifications/

【プレイアビリティー】
操作パネルに並ぶ各コントローラのレイアウトがすごく良いです。基本的にオリジナルのJUPITER-8のレイアウトを踏襲しているように感じますが、当時も現在もリアルタイム演奏を非常に重要視して作られているのがわかります。SYSTEM-8でさらに洗練されてより直観的で分かり易くわかりやすくなっているといった印象です。

Rolandのホームページに「JUPITER-8 / SYSTEM-8 操作子対応表」というのがありますので、興味のある方は見てみてください。
https://static.roland.com/assets/media/pdf/JP8_SYS8_Param_Corr_Table_e01_W.pdf

左側にはピッチベンド/モジュレーション・レバーのすぐ上にBEND SENS と MOD SENSEがあり、これでモジュレーションのセッティングを即座に変えられるようになっています。これは単に設定を変えるだけでなくこれらもリアルタイムコントローラの一つとして使用することができます。右手で演奏しながら左手だけでリアルタイムにピッチやフィルタのモジュレーションのかかり具合をコントロールできます。

アルペジエイターやキーホールド(鍵盤から指を離しても音が鳴り続ける機能)も左側に位置しており、左手を如何に効率良く使えるか、ということがしっかり考えられた作りです。

オクターブ切り替えスイッチでは、オクターブの上げ幅または下げ幅によって光り方が変わります。0で消灯、+/-1で点灯、+/-2で遅い点滅、+/-3で速い点滅になり、設定値を数字で確認しなくても何オクターブシフトしたのかすぐにわかります。こうした細かい配慮が随所に見られます。

FUSION


SYSTEM-8は単体でも素晴らしいサウンドを奏でることができますが、よりリッチでワイドなサウンドを作るために有効な方法として、シンセシスの方式が異なるタイプのシンセサイザーをレイヤーする、というのがあります。

例えば、FM音源のYAMAHAのDX7が全盛期だった頃、DX7を音の芯にしてアナログシンセのパッド系の音で包み込むというのは当時良くある手法でしたが、今回は試しに逆のパターンでSYSTEM-8の音を芯にしてNative InstrumentsのFM8の音で包むということをやってみたところ、予想通りかなりいい結果が得られました。

例えば、
FM8: Aftersun
SYSTEM-8: SYS8 A-3 PL Synth Edge

では、普通にFMを芯にしてSYSTEM-8のパッドで包むとすれば、
FM8: Bell Maker
SYSTEM-8: PLG1 PL Lush City

2つのパッドを重ねてもすごくいいですね。
FM8: Aftersun
SYSTEM-8: PLG1 PL Lush City

要するに、深く考えずともこれら2つの異なるシンセのプリセットをそれぞれ適当に選んで組み合わせるだけで驚くほど魅力的なサウンドが生まれます。SYSTEM-8のフィルタのCUTOFFノブなどを回して音に動きをつけてやるとさらに良くなります。この二つは全く違う方式の音源なので、お互いに干渉することなくそれぞれが存在感を保ちつつ、非常にリッチなレイヤーサウンドになります。

SYSTEM-8は一通りそこそこの音が出せるワークステーション系のシンセを1台所有していて2台目の購入を考えている人にもおすすめです。PCM系の音はワークステーションで鳴らしつつ、よりシンセらしい「プリっ」とした音、フィルタ/レゾナンスが効いた「ジューシー」な音はSYSTEM-8で、というように使い分けるといいかなと思います。

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また、あえてシンセサイザー初心者にも使ってもらいたい機種です。音作りをしようとする際にエディットモードに入って変更したいパラメータを探すのに苦労することなく直接ノブやスライダーを使ってダイレクトにパラメータを動かし、音作りを楽しみながらシンセサイザーの基本から応用までを学ぶことができます。初めての一台に無難な選択肢としてワークステーションを取ることに走らず、こうした本来の「シンセサイザー」を選ぶ人がいればその心意気を大いに称えたいと思います。(笑)

SUGGESTION


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【鍵盤について】

鍵盤のサイズは一応「フルサイズ」といことになっていますが、もし弾きやすさを重視する場合は、一度実機を触ってみることをお勧めします。というのは、確かに横幅はフルサイズですが、縦方向(白鍵の目に見える部分のみで筐体に隠れている部分は除く)が約13cmと、ちょっと短めの鍵盤だからです。製品の全体的な大きさと各セクションのバランスを考えてこの長さがチョイスされているのかもしれませんが、個人的にはあと1cmくらいあるとより快適に演奏できるかと思います。鍵盤の長さは機種によって違いますが、ちなみに、一般的にピアノの鍵盤は15cmくらい、シンセやMIDIキーボードコントローラ等の鍵盤は14cm弱くらいのものが多いのかなと思います。

鍵盤についてはもうひとつ、スプリット機能などもあるので61鍵バージョンがあればそうした機能もより生かせるのではないかと思います。個人的にはもし自分が購入する場合、49鍵モデルと61鍵モデルが選べるのであれば迷わず61鍵モデルを選択すると思います。

【各操作子のMIDI Control Change番号について】
各操作子には固定のMIDI Control Change番号(以下「CC番号」)が割り当てられていて、外部のMIDI機器をSYSTEM-8の操作子からコントロールできるようになっています。

SYSTEM-8 MIDI インプリメンテーション・チャート
https://static.roland.com/assets/media/pdf/SYSTEM-8_MIDI_Imple_Chart_e01_W.pdf

これだけでも便利ではありますが、現状ではこの割り当ては固定なので、自分で任意の操作子に任意のCC番号を割り当てるということができません。DAWのMIDIトランスフォーム機能などを使ってCC番号を別の番号に変換することも可能かとは思いますが、例えばNative InstrumentsのKomplete Kontrol用の「Controller Editor」のような、本体の操作子に割り当てるCC番号をコンピュータで設定できるツールなどがあればコントローラとしての使い勝手がさらに良くなると思います。

【追加PLUG-OUTについて】
今後のリリースされる追加のPLUG-OUTシリーズにも大いに期待したいです。Roland製品のエミュレーションのみならず、権利関係上などの理由で名前はそのまま使えないと思いますがOberheim、Moog、Prophet等の海外製のヴィンテージ・シンセサイザーのエミュレーションがあるともう最強ですね。そうしたラインナップが充実してくればこのSYSTEM-8は優れた音、操作性、拡張性を備えたパワフルなシンセサイザーとしてモデリング系シンセサイザーというカテゴリーでの地位を不動のものにするでしょう。


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ROLAND

SYSTEM-8

¥ 159,840 (本体価格:¥ 148,000)

歴代のヴィンテージ・シンセを最新技術で再現、人気モデルのサウンドを選んでカスタマイズできる Plug-Out シンセサイザー


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PLUS1 ACCESSORY

SONY
MDR-Z1000

SYSTEM-8は解像度の高い、レンジの広いサウンドですのでじっくり音を作りこむのにもやはり解像度の高いヘッドフォンを使いたいところです。私のオススメはSONYのMDR-Z1000です。


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Native Instruments
KOMPLETE 11

あとは先述の実験で登場したFM8を含むNative InstrumentsのKOMPLETEですね。

FM8の他にも色々な音源やエフェクトがバンドルされていて、その中の一つ、ギター用のアンプシミュレータプラグイン、GuitarRigはギターのみならずシンセやエレピにもいい感じで使えるのですごく重宝しています。


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    記事内に掲載されている価格は 2016年10月12日 時点での価格となります。

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