皆さん、ライブなどでPro Toolsを使って収録作業をされた事はありますでしょうか?現場で「録音が停止した!!」なんて緊急事態が発生した事はありませんか??タイムコード同期でPro Toolsを走らせていてLTCの同期が外れると、停止してしまいますよね。
ということで、今回はSYNC HDの使い方を交えながら、現場での録音をテーマとして解説いたします。
SYNC HDってなにをするの?とお思いの方に簡単に説明を。SYNC HDはPro Tools HDを外部機器と同期させる際に使用します。Word ClockやVideo Referenceなどのクロックリファレンス(基準クロック)を受けたり、SMPTEタイムコードなどの同期信号をうけ、それらにサンプル単位の精度で同期させるハードウェアです。
Steinberg NUENDOですと、Sync Stationが同様の機能になりますね。精度の高い同期を実現することが可能なのは業務用機器の証とも言えますね。
当然、SYNC HDは、Pro Tools HDでのみ使用できます。当然、Pro Tools以外のソフトウェアでは使用出来ません。
というわけで、Pro Tools上の設定画面を見てみましょう。Pro Tools上で確認出来るのは実はこの画面だけです。逆に言うと、この画面で設定は完了します。(写真は英語表示になっています。)
まずは、クロックソース。SYNC HDが接続されていると、ここでSYNC HDが表示されます。表示されていない場合は、接続を確認してくださいね。
で、ここからが重要ポイント!「SYNC セットアップとタイムコードオフセット」というカテゴリーが画面中程にありますね。そこにあるクロックリファレンスというのが、Pro Toolsがどの信号に同期(位置情報ではなく再生速度がココ)するのかを選ぶ項目になります。
選べる項目はご覧の9つ。一般的によく使用されるのはWord ClockやVideo Referenceですかね。SYNC HDの内部クロックを使用する際はInternal/VSOに設定します。
クロックリファレンスとは別に、もう一つ下のPositional Refarence(ポジショナルリファレンス)でどの信号から時間情報(時:分:秒:フレームでの位置情報)を受け取るのかを設定したら準備完了です。
そして今回の要、タイムコード設定です。普段、ミックスダウンのみ使用されている方は触らないともいますが、実はここに重要な機能があるんです。
注目すべきはここフリーホイール。これは、Pro Tools HDが、受けているLTC信号に対して、どのくらいずれたら止まるかというもの。
Noneは、1フレームでもずれたら止まるモード。
真ん中は、許容範囲のフレーム数をマニュアルで設定出来るものです。デフォルトは8フレームで、8フレーム以上ずれたら止まります。この時のフレーム数はタイムコードレートで設定したフレーム数になるので、一概には言えませんが、テレビ放送の29.97DFであれば、1フレームはだいたい0.03秒ですので、8フレームだと0.24秒といったところでしょうか。
一番下のジャムシンクは、タイムコードにロックしたら、そのままロックが外れてもPro Toolsが自走モードになったまま走り続けるモードです。「え!?ずれたら困るじゃん!!」と思われますが、これが重要なポイントになるのが、Pro Toolsで収録している時です。スタジオでオーバーダビングをしているような場合は、もう一度録り直すことも可能ですが、ライブ収録などでPro Toolsを録音するとき、このモードにしておくと、万が一LTCが途切れたとしてもPro Toolsは止まる事無くずっと録音しててくれるわけです。
そもそもLTCはアナログ信号ですので、レベルが下がったり、ノイズが混ざったりということもあるかもしれません。そんなトラブルで、大事なライブ収録を止めてしまうわけにもいかないでしょう。そういう時のために、このジャムシンクモードがあるわけです。
ただ、このジャムシンクはLTCのロックが外れた後は停止するまで自走モードです。いくら、すぐにLTCが復帰しても再度ロックすることはありません。これは、LTCが復帰したタイムコードが自走しているPro Toolsと異なった場合、時間を遡ったり、ジャンプしてしまったりして、音の切れ目が出来てしまうためです。これではつながるものもつながらなくなってしまいますね。
ジャムシンクの設定の時に大切なのは、クロックリファレンスを適切に設定しておくこと。タイムコードを受け取る先からリファレンスを受けることで、再生速度が同期します。
この部分がインターナルだとそれぞれの速度で動いてしまうので、結果”尺”が一致しないということになってしまいます。最近のデジタル機器は優秀ですので大幅なズレは少ないですが、リファレンスを受けることで更に安心な環境で本番に望むことが可能となります。
というわけで、これでライブ収録も怖くないですね。皆さんぜひ試してみてください。
[eStoreClipA mdin=’230′]digidesign SYNC HDは、Pro Tools HDでサポートされるハイ・サンプル・レートをサポートし、シリアル・タイムコード (RS-422経由) やLTC、バイフェイズ/Tachシグナルへニアサンプル精度でのロックを実現します。最高192 kHzでの動作と、フィルム及びビデオ用途向けのスタンダードなプルアップ/プルダウン・レートをサポートする、高品質でロージッターなマスターWord Clockを搭載。また、AES/EBUクロックI/O、SD及びHDビデオ・リファレンスIN/THRU、タイムコード・ウィンドウ・インサーター機能を備えたビデオ・プログラム入出力などの機能を搭載しており、ビデオ/タイムコードの絡むワークフローでは、必須のオプションになります。[/eStoreClipA]
関連記事:
Avid of Fury vol.1 『HDX vs. HD Native』
Avid of Fury vol.2 『Etherケーブルで同期!?Pro Tools 同士を同期させるSatellite機能』
記事内に掲載されている価格は 2014年1月22日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ