オンラインDTMスクールの第一人者、Sleepfreaks
——— Sleepfreaksさんと言えば、音楽制作を行なっている人であれば知らない人はいない有名なオンラインDTMスクールですが、あらためてご紹介いただけますか。
金谷 弊社はオンラインのDTMスクールで、DAWをはじめとするツールの使い方や音楽制作のテクニックのマン・ツー・マン・レッスンを行なっています。
また、レッスンがメインではあるのですが、最近はYouTubeチャンネルの方に機材のレビュー動画などもアップしています。
法人化したのは2009年9月のことなのですが、ぼくはその2年くらい前から、DTMを始めたい人のお宅にお邪魔して、制作環境をセットアップするというサービスをやっていたんです。でも、そんなサービスを始めておきながら、ぼくは電車で移動するのが苦手で(笑)、自分が移動することなく同じようなサービスを提供できないだろうかと考えたんです。
それで思いついたのが、“オンラインDTMスクール”というアイディアだったんですよ。ぼくは自分が嫌なことを回避することで、新しいサービスを思いつくタイプなんです(笑)。
——— 現在、生徒さんは何人くらいいらっしゃるのですか?
金谷 アクティブな人で約150名、これまで受講された方を合算すると1,800名以上になります。
この数字もWebサイトをリニューアルしたタイミングで一度リセットしているので、その前に受講された方を入れると2,000名を超えています。
——— お話できる範囲で、生徒さんの年齢層と男女比をおしえていただけますか。
金谷 年齢層は30代と20代が一番多く、次に40代、その次に10代という感じでしょうか。年齢層は本当に幅が広く、ご年配の方もいらっしゃいますよ。最年長で87歳のおじいちゃんもいらっしゃいましたから。男女比はほとんど男性で、女性は8〜10%くらいですね。
——— やはりプロを目指している人が多いのですか?
金谷 いや、プロになりたいという方は半数ほどで、あとは趣味でDTMを楽しまれている方々です。若い頃は音楽制作ができなかったけど、大人になってやってみようかなという方も多いです。
——— ひとくちにDTMと言っても、音楽ジャンルは様々ですから、教える方は大変ですね。
金谷 はい、大変です(笑)。ですからいろいろなジャンルに対応できるように、Sleepfreaksには現在、11人の講師が在籍しているんです。オーケストラが得意な講師、EDMが得意な講師など、どんなジャンルにも対応できる体制になっています。
——— レッスンは、どのようなプラットフォームで行っているのですか?
金谷 TeamViewerというリモート接続ソフトウェアを2009年から使用しています。大企業も使用している画面共有プラットフォームで、確かAntelope Audioさんも使用していたと思いますが、動作が凄く速くてラクですね。トラブルも皆無で安定しているので、ずっと使い続けています。
——— Sleepfreaksさんは、オンラインDTMスクールの第一人者という印象ですが、ここまでくるのに苦労はありましたか?
金谷 もう苦労だらけです。2009年に始めたときは、まだADSLを使っている生徒さんが多かったので、インターネットのスピードが問題でしたね。生徒さんサイドのスピードが遅いと、音声が途切れてしまったり。現在はインターネット環境も充実していて快適にレッスンさせていただいています。
——— 高機能なDAWを何も分からない人に教えるというのも大変そうですね。
金谷 でも初心者の方は、講師の伝えたことをそのまま素直に取り入れてくれることが多いため、そこまで大変ではないんです。やはり大変なのは、中級者以上の方ですね。場合によっては講師より詳しかったり(笑) たまに、“そんな使い方、どこで覚えたんだろう?”という(笑)。積極的に質問したり、自分から食いついてくる人は凄く伸びます。
——— 他のオンラインDTMスクールと比較したSleepfreaksさんの強みというと?
金谷 生徒さんのサポート体制と講師のクオリティでしょうか。受講料は正直、高めだと思うのですが、その分、生徒さんをすぐにサポートできる体制になっています。
他スクールですと、講師が自分で事務をやられていたりするので、何かトラブルが発生した場合でもすぐに対応できなかったりするんですよ。その点Sleepfreaksは、万全なサポート体制になっているので、トラブルにも迅速に対処することができます。また、しっかりと知識がある講師にお願いしているので、そのあたりのクオリティも他には負けないと自負しています。
配信スタジオで活躍するATEM SDI Pro ISO
——— 本日お邪魔しているこのスタジオは、いつ頃開設されたのですか?
金谷 去年の7月に、ライブ配信と収録を行うためのスタジオとして開設しました。
それまではぼくの自宅の一室をスタジオとして使っていたのですが、引っ越しを機に、専用スタジオを造ることにしました。ここは駅から近いので皆が通いやすく、自分たち専用のスタジオなので動画をどんどん撮ることができる。何でもっと早くスタジオを造らなかったんだろうと後悔しているくらいです(笑)。
——— 開放的で、とてもお洒落なスタジオですね。
金谷 物件は彼が探してくれたんです。
宮川 広さは大体35平米くらいで、機材のレビュー動画の収録も行うので、荷物置き場が確保できる物件が良かったんです。
金谷 普通のマンションなのですが、躯体がしっかりしているからか、音的な問題はまったく無いですね。この物件が見学した2件目だったのですが、内装がお洒落なのも気に入って即決でした。
——— 収録システムについておしえてください。
金谷 機材は以前使っていたものをそのまま持ち込みました。
宮川 カメラはパナソニック LUMIX DMC-GH4が2台で、1台は正面、もう1台は天井に設置しています。それとDAWなどを立ち上げたパソコンが2台あるので、4系統の映像ソースをビデオ・スイッチャーで切り替えている感じですね。
金谷 やっぱり製品レビューでは、上から俯瞰した映像で説明したいので、カメラは1台天井に取り付けています。レンズに関しては大須賀さん(注:大須賀淳氏)にアドバイスしてもらいました。
宮川 音声用のマイクは、ワイヤレスのRODE Wireless GO IIを使用しています。このマイクも大須賀さんのオススメだったのですが、まったくレイテンシーが無く、凄く良いですね。
——— ビデオ・スイッチャーはBlackmagic DesignのATEM SDI Pro ISOですが、これも以前から使用されているのですか?
宮川 以前は別のメーカーのものを使っていたのですが、パソコンを認識しなかったり調子が悪かったんですよね。
金谷 配信の最後の方で映像と音声がズレてしまったり……。
宮川 それで何か良いビデオ・スイッチャーはないかと思い、ATEM SDI Pro ISOに入れ替えたんです。いろいろ検討したのですが、今はもうATEMシリーズ一択という感じですよね。
ちなみに、映像ソースはすべてHDMIなので、Blackmagic Design Micro Converter HDMI to SDIを使ってSDIに変換しています。こういうコンバーターは安価なものもありますが、やっぱり純正が一番だろうということで。
——— ATEM SDI Pro ISOの使用感はいかがですか?
金谷 もうめちゃくちゃ快適です。何が良いって、これ1台で配信だけでなく収録までできてしまうところが最高ですね。
接続したSSDに、カメラとマイクごとにファイルを記録してくれるんですよ。それらのファイルは長さが揃っているので、動画編集ソフトに読み込んだら、ちゃんと頭が合っているんです。以前はカメラごとにSDカードに記録していたので、絶対にそのままでは揃うはずはなく、動画編集ソフト上での頭合わせに30分くらいかかっていたんですよ。また、カメラによっては長時間録画するとファイルが分割されたりしますが、ATEM SDI Pro ISOではそういうこともない。デザインも良いですし、本当に褒め始めたらキリがない機材です(笑)。
宮川 今は2TBのモバイルSSDを使っているのですが、接続すればすぐに録画できるのが本当に便利です。あとはちょこっと編集するだけでアップできますから。本当に“神機材”だと思います。
——— 他に何か気に入っている機能はありますか?
宮川 もう全部と言っていいくらいなんですけど、一つ挙げるなら、マルチ・ビュー機能でしょうか。配信しながらモニターですべてのカメラを確認できるのはいいですね。
金谷 予算のある会社であれば撮影専門の人がいると思うのですが、ぼくらは全部自分たちでやっているので、マルチ・ビュー機能には助けられています。それとコントロール用ソフトウェア、ATEM Software Controlパネルが無償で提供されているのも嬉しいですね。ソフトウェアを使えば、ATEM SDI Pro ISOを2人で同時に操作することができるんですよ。
宮川 インターネットのスピードがどれだけ出ているかチェックしてくれるのも配信時には便利です。
金谷 あとはやっぱり動作の安定性でしょうか。以前使っていたビデオ・スイッチャーで発生していたようなトラブルが、ATEM SDI Pro ISOを使い始めてからは一度も起きていません。以前、配信を終えてみたら、まったく録画されていなかったという恐ろしいことがあったんですよ(笑)。
——— エフェクト機能などは使用されていますか?
金谷 純粋にビデオ・スイッチャーとしてしか使用していなくて、ワイプとかPinPといった機能はまったく使っていないんですよ。ですので、全然使いこなしていない感じですね(笑)。そういった機能は、必要になったときに勉強しようと思っています。
——— 最後に、Sleepfreaksさんの今後の展開をおしえてください。
金谷 これまでマン・ツー・マンのオンライン・レッスンをやってきたわけですが、今後は1対多数のレッスンにもチャレンジしていきたいと思っています。実は現在準備中で、それが上手くいったら、いずれはどこかの会場を借りてリアル・セミナーもやってみたいですね。
——— 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
記事内に掲載されている価格は 2024年6月6日 時点での価格となります。
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