モニターのクオリティーに直結するモニターコントローラーは、非常に要望の高い製品です。Grace Design、Crane Song、SPLなどのメーカーが国内スタジオではよくみられますが、さらにプライベートスタジオ向けのコンパクトなモデルでは、CONISIS、Mackie Big Knobシリーズや、Presonusなどなど各社豊富なラインナップを誇ります。
今回は期待のブランド、Heritage AudioのRAM SYSTEM 2000を見ていきましょう!
試奏してみた印象
第一印象は操作する際のフィジカル面が良好でした。つまみの感触がちょうど良いです。
一番重要なサウンドについても申し分なく、アナログ入力、Bluetooth入力ともにグッドです。サウンドの色付けもなく、解像度も高いままモニターできています。
特にBluetoothのサウンドはいい意味でワイヤレス接続の音のイメージを裏切られるほど良好です!またメインのボリュームノブを下げていくときの減衰による音のバランス変化もほぼありません。
モニターコントローラーとしては比較的高価なミドルクラスの価格帯ですが、パーソナルスタジオのモニターセクションでこだわりたい方にオススメの逸品です。
触ってみて感じたお勧めポイント
1、兎にも角にも惹かれるデザイン!マスターつまみのカリカリ感がいい!
パッと見た目でわかるインパクトな中央のマスターノブ。もうNEVEのあのつまみみたいですよね!これだけでかっこいんですが、全体的にシックな色使いでヴィンテージ感も醸し出しています。
通常マスターノブは丸いつまみが多いですが、突起があるので指にかかりやすく、操作しやすいです。つまみは比較的軽く、といって軽すぎず適度な重さで操作疲れはありませんよ!
動画で解説!
マスターのつまみは1dB刻みで調整可能な64ステップのリレーラダーアッテネーターなのですが、つまみ自体に1dB刻みの抵抗はないのですが、1ステップごとにクリクリっと内部でリレーが切り替わる小刻みのいい音が聞こえます。
動画では音が大きく聞こえますが、実際は静かです。初代のiPodのあのクリクリ感にも近いでしょうか、軽快なリレー音です。
メインノブは左に回し切るとMUTEが入る仕組みになっています。他のアナログモニターコントローラーでは、ボリュームを落とし切っても若干サウンドが鳴っているということがありますが、その辺を改良したいい面だと思います。
また上部のブルースクリーンのディスプレイも視認性が高く、暗くても鮮明に数値を読み取れます。
2、すぐに音を出したいときに便利!iPadの音源もBluetoothですぐにポンだし。iOS音源もすぐに確認レコーディングできる!
スタジオで携帯などに入れた参考音源をすぐに出したい時やアプリの音源をすぐに出したい時ってありますよね。そんな時にとても便利なのがbluetooth機能です。AACコーデックですが、アンドロイドユーザーはaptX、SBC対応しており、遅延もほぼなしです。
認識はSHIFTボタン+Bluetoothボタンを同時押しすることで認識できます。iPhoneで試してみましたが、感度も良くすぐに認識します。
マルチペアリングを試しましたが、それは非対応のようです。1箇のデバイスとの相互通信になります。
このBluetooth出力部分はBurr-Brown社製コンバーターによる高品質なオーディオにてiPhoneのitunes musicなども高精度に再生できているようです。
実際、音声の解像度はとても良好で、ボリュームも充分に取れます。ぜひ店頭にてお試しください!
3、トークバックマイクの感度よし!ヘッドフォン端子は2回路搭載
モニターコントローラーで差が現れやすい部分が本体の内蔵マイクになります。特に何度もトークバックを行う際には、とても気になる部分なのです。ここの品質が悪いと聞こえずらかったり、ノイズがさーとずっと出ていたりして困ることがあります。
RAM SYSTEM 2000はどうなのか!というと、、、、、良好です!
ノイズはほぼ感じられず、高域までしっかり伝わり会話の認識がしやすい音です。ショックノイズもモニターコントローラーの中ではかなり低い方ですので、充分MA作業などに向くレベルと言えると思います。
本体マイクはレベル調整が可能です。SHIFTを押しながらTB MIX、TB CUEボタンを押すことでゲイン調整になります。
ただしマイクゲインを上げすぎると、トークバックスイッチを押すときのショックノイズのガッという音は少し上がってきますので適度なレベルで設定を。
ヘッドフォン端子は、本内の左側面と右側面に(CUE OUTかMIX OUTの選択可能)あります。
MIX OUTはマスターつまみを通る前のボリューム段階の出力を出すので、ヘッドフォンごとにボリューム設定が可能です。
Bluetoothからのヘッドフォンモニタリングなどをためしてみたのですが、驚きました!ヘッドフォンアンプとてもいいです。具体的にいうと音の分離がかなりしっかりとしています。こちらも一度お試しくださいね!
他のモニターコントローラー機種と比較!
ほかのモニターコントローラー機種と比較しての購入時の注意点も解説します。
・トークバックスイッチの外部入力はありません。
エンジニア席と別にプロデューサー席でもトークバックスイッチを押したいという要望はスタジオ設置の場合によくあります。
一部のモニターコントローラーには、遠隔用にスイッチ入力が搭載されているモデルがありますが、本機にはありません。
ただし現在国内では未発売ですが、RAM SYSTEM 5000という機種では、なんとリモコンでワイヤレス操作することができるようになっています。
スタジオへの本格導入ということであればこちらを検討いただくのもオススメです。
このRAM SYSTEMはなんとAPI500シリーズでもモジュールがあります。※現状国内未発売。
さらに面白いなと思ったのは、このAPIシリーズでなんとBluetoothレシーバーのみも開発しているようです。
・トークバックの別途マイク入力端子は搭載していません。
大型のモニターコントローラーには、デスクトップマイクなど手元のマイクを入力する端子がついているものがありますが、本機はパーソナルユーズを想定しているものと思われ、外部入力は搭載されていません。ただし、心配いりません。6-10畳くらいまでのスペースなら充分本体マイクで拾えるので、そこは住み分けがされているものだと思います。
統括すると、パーソナルユーズで使い勝手の良い高品質なモニターコントローラーです。
モニターセクションは頻繁に触るデバイスなので、気に入ったコントローラーだとテンションを上げて制作できますよね!
そんな時にHeritage RAM SYSTEM 2000を候補の一台にオススメします!
Writer.オルタネイト福山
CUTTING EDGE 2020 その他の記事はこちら!
記事内に掲載されている価格は 2020年3月11日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ