iZotope Ozone や Neutron はDTM初心者だけでなくプロフェッショナルにとっても、音楽制作を助けてくれる大便利なツールです。楽器、バスグループ、マスタリングを想定したプリセットが多数用意され、プリセットをマスターチャンネルや個別チャンネルに活用している方も多いと思います。
ときどきDTM初心者の方から「Ozoneは便利だけど動作が重い、CPUパワーを食う」というお悩みを聞きます。しかしそれはパソコンスペックの問題だけでなく、Ozoneの使用方法に工夫が必要なケースも見受けられます。
Ozoneのマスターアシスタントは入力された音を分析して必要なエフェクトだけを選んでくれますが、プリセットは予め使用するエフェクトが決められており、Ozone内に2〜6エフェクト、平均すると3〜4エフェクトが自動的にマウントされます。プリセットの中には自分の求めるサウンドに不要なエフェクトが使用されている場合も多く、それらの積み重ねがパソコンに大きな負担をかけてしまうのです。
Ozone 9 Advanced で単品で使えるエフェクト
Ozone 9 Standardに3つのエフェクトが追加されています。
(Advanced)
・Low End Focus
(Advanced)
・Master Rebalance
(Advanced)
・Spectral Shaper
・Dynamics
・Dynamic EQ
・Equalizer
・Match EQ
・Exciter
・Imager
・Maximizer
・Vintage Compressor
・Vintage EQ
・Vintage Limiter
・Vintage Tape
エフェクトの特徴や使い方を解説したiZotope公式動画が、なんと全エフェクト用意されています。とても分かりやすいので是非ご覧下さい。そして各エフェクトに用意されたプリセットの使い所をまとめましたので、エフェクト活用のヒントにしてください。
Low End Focus
EQやダイナミクスなどの従来のツールではなかなか改善されないような、低域の濁りやインパクトの増加など、一般的な低域の問題をインテリジェントに解決するために設計されています。
プリセット活用ヒント
キックやベースの低音を増強したり温かいサウンドに仕上げるプリセット、センター成分とサイド成分を別々に設定して音の重心をセンターに置くプリセット、ローエンドをタイトに仕上げるプリセットなど、これまで処理が難しいとされてきたプロの低音処理が用意されています。昨今の音楽は低音も重要ですので、Low End Focusはぜひ使いこなしたいエフェクトです。
Master Rebalance
チャンネル内のさまざまな楽器の種類を識別するために訓練された機械学習アルゴリズムを活用しています。マスター・リバランスを使えば、オリジナル・ミックスからステムや個別のチャンネルを調整しなくても、マスターの中の選択したフォーカス要素に対してリアルタイムでゲイン調整を行うことができます。
プリセット活用ヒント
ドラムやベースの増減、ボーカルを前に出したり逆に引っ込めて馴染ませたりと、これまでの2mixデータでは不可能だったバランス調整を行うプリセットが用意されています。このエフェクトは操作がとてもシンプルなので、プリセットの出番は少ないでしょう。
Spectral Shaper
周波数全体にわたって、問題のある周波数に高解像度の減衰を与えることが可能です。
プリセット活用ヒント
スネア、ハイハット、ドラムオーバーヘッドマイクなど楽器にフォーカスしたプリセットだけでなく、ローエンドからハイエンドに至るまでの帯域をそれぞれコントロールしてサウンドの質感を調整するプリセットが用意されています。間接的な雰囲気をさりげなく操るのが得意なエフェクトです。
Dynamics
アナログモデルによる最大4バンドのコンプレッションとリミッティングで、ミックスのダイナミクスを調整することができます。
プリセット活用ヒント
Dynamicsは操作パラメーターが多いだけあってプリセットも豊富です。低域、中域、高域を個別に調整するプリセットが充実し、ボリュームダイナミクス調整のバリエーションも多数。マスターバスを想定したプリセットやポップソングを想定したプリセット、音を派手に演出するプリセットも試す価値ありです。
Equalizer、Dynamic EQ
Ozoneの多彩なイコライザーは、アナログマッチフィルターで暖かさと個性を加えたり、デジタルリニアフェーズフィルターで周波数を正確にブースト/カットすることができます。ダイナミック EQ はミックス中の特定の周波数だけをコンプレッサーのようにコントロールできます。
プリセット活用ヒント
通常のEQにはアナログ感を演出するプリセットのほか、デジタル感をテーマにしたプリセットが印象的です。紳士的なハイエンド、紳士的なブラッシュアップなど、紳士的!なプリセットが用意されています。ダイナミックEQではローエンドとハイエンドをスムースに増幅したり、音が溜まりがちな中低域をスッキリさせるプリセットが用意されています。ダイナミックEQは原音の印象を大きく損なう事なく補正する事が可能なので、使いこなせるとその応用範囲が広がります。マルチバンドコンプレッサーの感覚でボーカル音色をコントロールする事も可能です。
Match EQ
デジタルリニアフェーズEQで、8,000バンド以上の周波数を使用でき、非常に精密なマッチングが可能です。
プリセット活用ヒント
あらかじめキャプチャーされたEQ特性のプリセットが多数用意されています。アコースティックバラードやジャズトリオ、モダンロック、EDMなどのジャンルプリセットをはじめ、ボーカルを想定したプリセットではボーカル帯域を狙った適用範囲が設定されています。EQリファレンスになる音源が思いつかない時はプリセットから試してみるのが良いでしょう。
Exciter
最大4バンドのサチュレーションを設定可能で、多数のモードによりサチュレーションをカスタマイズすることができます。
プリセット活用ヒント
真空管やトランジスター、テープレコーダーなどアナログの質感を加えるプリセット、ローエンド、ミッドレンジ、ハイエンドをコントロールするプリセット、M/Sモードを生かしてセンター成分が押し出されるプリセットなどがあり、全体域の色彩を自由自在に操れます。ハイエンドのエアー感や、サウンドの印象を明るくするのに重宝してくれます。
Imager
マルチバンドステレオイメージングを使用して、ミックスのステレオ幅を調整することができます。
プリセット活用ヒント
4バンドでステレオ感を操作できる非常に優れたエフェクトです。ローエンドのステレオ幅を狭くしたり、広域のステレオ感を広げてサウンドを明るくしたり、音数の多いトラックでもImagerを駆使すればある程度整理する事が可能です。プリセットを選んでバンド幅を変えてみたり、最初はステレオ幅を大袈裟にいじって当たりを付けてから微調整すると分かりやすいでしょう。
Maximizer
オゾンの定評あるIRC(インテリジェント・リリース・コントロール)技術により、ダイナミクスや透明度を犠牲にすることなく、ミックス全体のレベルを上げることができます。
プリセット活用ヒント
ほとんどのミュージシャンがお世話になるMaximizerでは、クラシック、モダン、ビンテージをテーマにした設定や、IRCモードを変更してタイトな低域を実現するプリセット、音圧感を高めるプリセットなどが用意されています。OzoneはこのMaximizerにある「True Peak」機能が秀逸です。設定した値から飛び出す事がないので安心して使う事ができます。
Vintage Compressor
フィードバックループに検出フィルタを搭載したコンプレッサーのエミュレーションです。レベル検出器に渡された信号にフィルターをかけて、信号のどの成分がコンプレッサーをトリガーしているかを変化させます。
プリセット活用ヒント
クリアーでタイトなサウンドに仕上げるプリセット、ミッドレンジのプッシュ、サイド成分を強めなリダクションに設定してビンテージ感を出すプリセット、ミックス卓搭載コンプをイメージしたプリセット、トランジェントが強めであったり逆に弱いプリセットなど、幅広いプリセットが用意されています。パキパキとしたデジタルコンプではなく、ビンテージ感を与えてくれるエフェクトです。
Vintage EQ
Pultec EQP-1A と Pultec MEQ-5 の周波数特性をエミュレートしています。
プリセット活用ヒント
ビンテージ感を加えるプリセットはもちろんの事、M/S対応なのでミッド成分だけクリアーにしたり、荒々しいサウンドに調整する事も可能です。通常のEQと違って音作りの設定が複雑なので、プリセットを一通り試してみて参考にすると理解しやすいでしょう。
Vintage Limiter
Fairchild 670をモデルにダイナミックレンジを制限し、ミックス全体のレベルを上げることで、よりラウドで充実したマスターを作成することが可能です。
プリセット活用ヒント
アナログ系のプリセットでは各トラックに一体感を持たたり、アナログならではの滑らかなコンプ感を加えることができます。ビンテージ系が得意でありながらも現代的なキレのあるサウンドを見据えたプリセットもあり、プリセット名を眺めるだけでも音作りのヒントが得られます。
Vintage Tape
よく整備されたStuder A810の2トラックテープデッキにインスパイアされたエフェクト。磁気テープの周波数特性(振幅と位相)とサチュレーション特性を、クロストークやヒス、ワウ、フラッターを伴わずに追加できます。
プリセット活用ヒント
アナログテープレコーダーのサウンドについては想像が難しいかと思いますので、ここでプリセットが大活躍してくれます。サウンドに歪みを与えて明瞭さを加えたり、低音に太さを与えたり、コンプレッションによる音の変化など、プロエンジニアのノウハウがプリセット凝縮されています。プリセットから音作りを学ぶのに最適なエフェクトといえるでしょう。
ミキシングのワークフローを加速させる iZotope Neutron 3
DTM初心者にとって iZotope Neutron 3 の存在も見逃せません!AIがミックスバランスをざっくり整えてくれるミックスアシスタント機能のほか、ドラム、ベース、ギター、キーボード、ボーカルなどに役立つプリセットも盛りだくさんです。しかしNeutronもまたOzoneと同様に、個別チャンネルに多数使用していくと「動作が重い、CPUパワーを食う」といった事になってしまいます。
しかし Neutron 3 Advanced を使えば、コンプレッサーやイコライザー、エキサイターなどが単体プラグインとして各チャンネルにインサートできて、サウンドプロフェッショナルが作成したプリセットが使えてしまうのです。Neutron画面内での音作りに比べて自由度が格段に増してDAWも軽くなる、いい事だらけのAdvancedですが、こちらも使いこなすにはエフェクトのスキルが必要になってきます。
Neutron 3 Advanced で単品で使えるエフェクト
・Gate
・Equalizer
・Compressor
・Transient Shaper
・Exciter
・Sculptor
Neutronにも、エフェクトの特徴や使い方を解説したiZotope公式動画が用意されています。とても分かりやすいので是非ご覧下さい。そして各エフェクトに用意されたプリセットの使い所をまとめましたので、エフェクト活用のヒントにしてください。
Gate
入力信号がスレッショルドレベル以下になったときに、信号をカットまたは減衰させます。
プリセット活用ヒント
マイクがノイズを拾いがちなギターやドラムマイクのカブリノイズを遮断するプリセットのほか、ボーカル、特にダイアログ系のプリセットが特徴的です。楽器以外にもナレーションなどの環境ノイズを消すのに役立ちます。
Equalizer
周波数帯域の異なる部分を独立して制御でき、加算型EQや減算型EQを適用して音のキャラクター作りや補正を行うことができます。
プリセット活用ヒント
イコライザーは音作りには欠かせないエフェクトで、多くのプリセットが用意されています。ドラム、ベース、ギター、シンセ、ピアノ、ボーカルに関連した設定や、トラックに温かみを加えたり煌びやかにしたりするアイディアの宝庫です。プリセットの設定とプリセット名を照らし合わせると、イコライザーの音作りが理解できると思います。
Compressor
ダイナミックレンジを縮小してボリュームを一定に保ったり、音のトーンとキャラクターを作ることができます。
プリセット活用ヒント
ボーカルにフォーカスしたプリセットのほか、ドラムの音作りに役立つプリセットが充実しています。ギター、ベース、ピアノ向けの設定や、トラックを派手に響かせるプリセットが用意されています。コンプも非常に奥深いので、OzoneのDynamicsエフェクトと聞き比べをしてみるのも面白いかと思います。
Transient Shaper
音のアタックとサステインの特性を透過的に変化させ、全体のレベルに影響を与えることなく音の存在感を高めることができます。
プリセット活用ヒント
アタック感をシンプルにコントロールしたい場面を想定したプリセットが用意されています。例えばドラムのアタックが耳に痛いので抑えたいときや、ベースを少し前に押し出したい時、そして面白いプリセットではTR-808にフォーカスした Punchy 808 というプリセットもあります。
Exciter
倍音を追加してサウンドを強調します。
プリセット活用ヒント
ベースを歪ませたりドラムをパワフルにしてガッツを加えるプリセットのほか、シンセをド派手にしたりエレピに歪みを加えたりなど、エキサイティングな設定が多数用意されています。トラックが奥に引っ込んでしまう時にエキサイターを試してみると、ボリュームを上げなくてもサウンドが前に出てきます。
Sculptor
オーディオトラックに透明感と光沢を与えるスペクトル整形ツールです。濁りを取り除き、楽器の分離をより良くします。
プリセット活用ヒント
Sculptorはイコライザーとコンプレッサーが複合的に働いているため、使い方のコツを理解するのにプリセットが役立ちます。音色作りに積極活用するというよりも、音を整えて使いやすくする方向のプリセットが多いです。各チャンネルでのブラッシュアップを重ね、マスター2mixをクリアーに仕上げるヒントがここにあります。
Mix Assistant
そして Advanced のみ搭載されている目玉機能として「Mix Assistant」機能があります。Neutron内蔵のAIが楽曲を聴いて、対象チャンネルの音量バランスを自動的に行うという画期的なものです。これは単独チャンネルではなくマスターチャンネルに使用するプラグインですが、Advancedならではの便利機能ですのでご紹介します。
Rock oNスタッフPD安田によるレビュー記事もご参考に!新機能を中心にNeutron 3の魅力を余すところなく紹介しています。
Ozone 9 Advanced と Neutron 3 Advanced がお得に手に入るビッグチャンス!
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収録プラグイン
・Ozone 9 Advanced
・Neutron 3 Advanced
・Nectar 3 Plus
・Tonal Balance Control 2
・Neoverb
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Ozone 9 Advanced
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Neutron 3 Advanced
Neutron 3はセッション全体を読み込み・分析することによって、全体的なミックスレベルを提案し作業をより効率化する業界初のプラグインです。前バージョンに比べて動作や音の処理速度が飛躍的に向上しただけでなく、メーター表示などのヴィジュアル処理も約倍速に。機械学習技術を使用してカスタムプリセットを作成したり、スマートなEQでほかのプラグインと通信したり、あらゆる楽器プロファイルに対応させます。
アップグレード/クロスグレード
記事内に掲載されている価格は 2022年3月30日 時点での価格となります。
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