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去年の情報解禁から完成を心待ちにしていたNEUMANNのマイクプリアンプ V 402。マイクはもちろんの事、自宅では同社のスピーカーを愛用している事もあり、とても楽しみにしていた製品です。今回、他社のクリーン系プリアンプやビンテージNEVEと比較しながら、ボーカルやアコースティックギターの録音で使ってみましたので早速レビューしていきたいと思います!
NEUMANN V 402
V 402 : デュアル・チャンネル・マイク・プリアンプ
DI入力と高級ヘッドホンアンプを搭載した最先端のマイクプリアンプ
マイクロフォンの真の性能を引き出す
V 402は、スタジオグレードのヘッドフォンアンプを内蔵した最先端のデュアルチャンネルマイクプリアンプです。トランスレス回路は、最大の透明度と音の純度を目指して設計されています。このようにV 402は、声や楽器の真の個性を引き出すために、すべてのノイマン・マイクを完璧に補完します。
パーフェクトマッチ
V 402はノイマン初のスタンドアロン型マイクヘッドアンプです。ノイマンは1980年代の伝説的なV 476 Bのように、ミキシングコンソール用の最高品質のプリアンプモジュールを何世代にもわたって開発してきました。その間、技術は進化してきましたが根本的な問題は残ったままでした。ノイマンをはじめとする高品質なスタジオマイクに最適なプリアンプは何か?ノイマンのマイクはすべて、クラシックなものから現行モデルまで、非常にユニークなサウンド特性を持っています。そのため、V 402プリアンプはマイクの音像の完全性を維持するように設計されています。どのようなゲイン設定であっても、何かを足したり引いたりといったことはいたしません。完璧にすることもできません。
ナチュラル・スプレンダー
V 402は、最高度のリニアリティと音の純度を目指して設計されています。マイク信号を不要な色付けやノイズや歪みなどの音のアーチファクトなしに増幅します。最近では、安価なプリアンプでさえも「リニア」や「ニュートラル」を謳っていますが、それらのプリアンプは繊細さや音のディテールを欠いていることが多く、特に高いゲイン設定では出力信号に「鈍さ」や「不純さ」が見えてしまいます。Neumannの名にふさわしいプリアンプを開発するためには、広範囲にわたる一連の測定とクリティカルなリスニングテストを経て、入念な開発プロセスが必要でした。V 402は、元の信号を細部まで再現し、本来の色を輝かせています。
DI入力も音の純度を高めるために設計されており、エレキギターやベースギターをはじめ、他の楽器のサウンドを色付けやディテールの損失なく捉えます。洗練された回路と非常に高い入力インピーダンスにより、可聴ノイズのない鮮やかなサウンドを実現しています。
切り替え可能な20 dBパッドにより、V 402は28 dBuまでのハイレベル・ソースにも歪みなく使用することができます。ハイパス機能は、信号を劣化させることなくポップやランブルを除去するように慎重に設計されています。
モニタリングを容易にするため、V 402にはスタジオグレードのヘッドフォンアンプが搭載されています。録音段階での優れたモニタリング品質を実現します。各チャンネルの独立したボリューム・コントロールにより、録音された信号に影響を与えることなく、レイテンシーのないモニタリング・ミックスを設定することができます。
外観 : ピュアオーディオ機器を思わせる高級感
まずルックスですが、録音機材と言うよりはピュアオーディオ機器を思わせるフロントパネルで、Gainツマミのトルク感などもピュアオーディオ機器のそれと近い物があります。Gainツマミはノッチ式ですが、ノッチとノッチの間で止める事も可能ですのでステレオで使用した際のレベルマッチングもスムーズに行えますね。ポジションによって若干差があるのですが、1ノッチあたり1~1.5dbの変化なのでダイナミックレンジが広いボーカルの録音でも使い易そうです。
サウンド : クリアながらも中域に艶をもつNEUMANNサウンド
肝心のサウンドはルックスから連想される通りのピュアでクリーンなサウンドで、プリアンプではあまり味付けをせずマイクのキャラクターを活かして録音したい時に最適でしょう。
私がマイクプリを選ぶ際、例えばブライトなマイクにはNEVEの様な中低域~中域の密度が高いプリアンプを合わせたり、逆にNEUMANN U 67のように中域~中低域がリッチなマイクにはクリーンで立ち上がりの早いプリアンプを合わせてバランスをとったりするのですが、V 402はモダンでブライトなマイクよりは、同社のU 67の様な中低域~中域がリッチなマイクと組み合わせたいと思いました。
また、NEUMANNはこれまでU 47、M 49、U 67、M 269、M 149など数々の名機と言われるマイクを生み出してきたわけですが、これらのマイクに共通する特徴が中域の密度の高さと独特の艶です。
それこそがNEUMANNサウンドだと思っているのですが、このV 402は基本的にはクリーンなサウンドながら、今回比較した他社のクリーン系プリアンプよりほんのり中域に艶があり、上述のNEUMANN製マイクに通底する同社のサウンドキャラクターが受け継がれているのもポイントです。位相も良くマルチマイク、ステレオ録音もバッチリなので歌モノはもちろん、映画音楽などの録音でも重宝するでしょう。
今回のレビューには間に合いませんでしたが、次回は是非ピアノや木管楽器にも使ってみたいです。NEUMANNさんには是非このV 402だけでなく、真空管式のマイクプリや1台で4~8chの多チャンネルモデルなど作ってもらいたいと思いました。
記事内に掲載されている価格は 2021年2月12日 時点での価格となります。
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