Malevolent:過激なサレンキー型フィルターを備えた、ドライブ感最高のアナログシンセ
ミニサイズ32鍵盤、過激なサレンキー型フィルターを搭載したピュア・アナログ・シンセサイザーです。サイズ感がちょうど良く、USBバスパワー駆動も可能な、モジュラーシンセ入門機としても最適なモデル。
ピュア・アナログシンセを感じる端正なルックス
適度な重量感と、重厚感のある筐体、鍵盤部、ツマミ、ボタンともにしっかりした作りです。鍵盤の弾きごこちとジョイスティックの操作感も良く、音作りに集中できます。サイズ感とデザインが秀逸で場所を食わないというのもポイントで、所有した喜びがかなり得られるハードウェアシンセです。
波形ミックスとシェイピングが可能な、2系統のオシレーター
オシレーター波形はサイン波、三角波、パルス波の3種類あり、それらをミックスすることで計7通りの波形が生成できます。Shapeノブを回すとオシレーターシンクのように新たな波形を生み出すことができますので、ShapeをLFOなどでモジュレーションすればサウンドに揺らぎやモーフィング的な効果を与えられます。
このオシレーターセクションは同じものが2系統あって、波形それぞれがアウトプット端子を持っています。他のモジュラーにオシレーターを出力して音源として使ったり、このあと紹介するAUX端子に接続して、補助オシレーターとして使うこともできます。
Malevolentのオシレーターを試聴
オシロスコープで波形を見ると波形にトゲがあったり歪みがあったり、アナログシンセ独特の音色を生み出していることがわかります。波形ミックスで生まれる波形やShapeノブで生まれる波形も、音色作りのバリエーションを大きく広げてくれます。
過激なサレンキー型フィルターを採用
サレンキー(Sallen-Key)型フィルターは、古くは KORG MS-20の後期型に、最近では Arturia の MINIBRUTE などに採用され、その過激なサウンドがシンセ愛好家から支持されています。Malevolentのローパス、バンドパス、ハイパスフィルターは、煌びやかな中域と高域のジリジリ感、そしてノイズ感がアナログならではのサウンドを生み出します。
サウンドを豊かに、過激に飽和させる仕掛けが豊富
ミキサー部にはAUX入力端子があり、専用のAUXボリュームノブも用意されています。オシレーター出力端子からAUX入力端子にパッチングすれば、波形をパラレル入力してダブルな音作りが可能。また、手持ちの機材やソフトシンセの音をAUXに入れて、Malevolentのフィルターとアンプ部を通したアナログサウンドに仕上げることもできます。これは手持ちの音源を2度楽しめてしまうお勧めな使い方です。
また、アンプ部にあるDriveノブが強烈な飽和感と歪みを生み出し、アグレッシブなサウンド作りに役立ちます。このDriveとミキサー部、フィルター部の3つを駆使することで、同じオシレーターとは思えないサウンドバリエーションが得られます。
Malevolentを使用してデモトラックを作りました(ドラムはサンプル音源です)
モジュラーシンセ入門機にも最適
パソコンとUSB接続して、バスパワー駆動とMIDIの送受信が可能です(専用ACアダプタも付属します)。DAWから受けたMIDI信号でMalevolent本体を鳴らせるのはもちろん、CV/Gate信号に変換して外部のモジュラーを鳴らしたり、ベロシティをCV変換してモジュレーションに活用することも可能です。エンベロープが2基あるので、フィルターとアンプを独立してコントロール可能なのも嬉しいです。
外観を見ての通り、モジュラーとの親和性が非常に高く、モジュラー初心者はMalevolentをシステムの中核に据えて、後から欲しくなったモジュールを追加していくのが堅実です。Malevolentに搭載されている2基のオシレーター、ノイズジェネレーター、ミキサー、フィルター、VCA、オーバードライブ、2基のエンベロープ、LFO、CV/Gateコンバーター、キーボード、ジョイスティック、アルペジエイター、本体電源、本体ケース、これらをモジュラー単品で揃えようとしたら、安く見積もっても20万円以上かかります。モジュラーの初期投資として、Malevolentがいかにハイ・コストパフォーマンスなのかお分かり頂けるかと思います。
Mantis:超個性と演奏性に優れた、OSCarの進化現代版のようなシンセ
37鍵盤を搭載したデュオフォニック・ハイブリッド・アナログ・シンセサイザー。オシレーターがDSPで、オシレーター以後のミキサー、フィルター、ゲインステージングがアナログパスという、デジタルとアナログのハイブリッドシンセです。OSCarを進化させたと見られる機能が数多く搭載されているのも特徴です。
オシレーターは究極の安定性と、アナログの不安定さを両方カバー!
基本波形はサイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波、加算合成、ウェーブテーブルの6つが用意され、シンセの基本的な音色はもちろん、ドローバー的な加算合成サウンドや現代的なウェーブテーブル音色までカバーできます。Malevolentoと同様に「Shape」ノブで波形を変形できるので、非常に多彩な音色が得られます。サブオシレーターで極低音ベースが作れたり、リングモジュレーターまで搭載されており、とてもエッジの効いたサウンドが作れます。
DSPによる超安定したピッチだけでなく、「density(密度)」パラメーターが用意され、ディチューン効果の深さとピッチうねりのスピードを簡単&精密にコントロール可能です。さらに「オシレータードリフト」ノブで、アナログの不安定なピッチ感も表現できてしまいます。
この力強いサウンドで、モノから4音ポリまで演奏可能なことに驚きです。
フィルターには Chris Huggett氏 が設計した特別なチップを2基採用!
各ボイスにオーバードライブを備えた、マルチモードのステート・バリアブル・フィルターが搭載されています。Chris Huggett氏が設計した SSI2164 チップが2基構成され、直列または並列に組み合わせて、OSCarを思わせる独特なフィルター音色が得られます。オーバードライブのかかりも素晴らしく、個性的かつ力強いサウンドがこのシンセのキモです。
アナログシンセの演奏表現を格段に上げるSus Fall
ベロシティをエンベロープに反映して、ボリュームやカットオフに表情を付けられる機能を搭載するほか、画期的なSus Fall(サステイン・フォール)機能があります。これは鍵盤を押し続けた時と、素早く離鍵した時の発音を鳴らし分けられる機能。鍵盤を押し続けた時にはフィルター閉じ気味でリリースを短く、素早く離すとフィルターの開いたサウンドがロングリリースで鳴る、そんな鳴らし分けが可能になります。2つの音色をリアルタイムで弾き分けられるので、これまでにない柔軟なシンセ演奏を実現してくれます。新たなシンセアレンジのヒントにもつながる、シンセ鍵盤演奏派のミュージシャンにお勧めの機能です。また、エンベロープのループが可能になっており、各エンベロープをリピート・モードに設定すれば、疑似LFOのように活用することも可能です。
Sus Fall試聴と、デモトラックを作成しました(BassもMantisです)
アフタータッチ採用のフルサイズ37鍵盤
とても弾き心地の良いフルサイズ鍵盤で、アフタータッチによるモジュレーションは音色表現の幅を大きく広げてくれます。モジュレーションのルーティングはトップパネルで簡単に設定できます。
LFOのフェードインとフェードアウトが可能
6つの波形を備えたLFOが2系統あり、LFOのフェードインとフェードアウトが可能。ロングトーンになると徐々にビブラートがかかる、という演奏表現を可能にします。また、ビブラートや変調が徐々に消えていくフェードアウトというのも面白いです。
このほか、全機能がツマミですぐに触れるアルペジエイターセクションが便利だったり、デジタルのリバーブとコーラスエフェクトを内蔵、そしてMantisで作成した音色を本体に最大200個保存可能という、非常に高い完成度です。
Mantis と Malevolent をRock oN 渋谷店で展示中です!ぜひそのサウンドを聞いてみてください!
Writer:SCFED IBE
記事内に掲載されている価格は 2024年9月11日 時点での価格となります。
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