
2025年10月16日(木)に梅田店にて、セミナー「エフェクター再発見!」〜ギター以外で広がる活用術〜が開催されました。ギタリストの定番であるコンパクトエフェクターを、ミキシング、PA、配信などの「ギター以外」の用途で活用するためのテクニックや注意点について、理論と実践を交えて詳しく解説されました。
講師:ファジー日下部
コンパクトエフェクター活用のための重要ポイント:インピーダンス
ギターでの使用を前提に設計されたコンパクトエフェクターを、オーディオ機器やラインレベル信号と組み合わせて使用する際に、最も注意すべき点として入力信号のインピーダンス(電気信号の流れやすさの抵抗値)が挙げられました。
・ハイインピーダンス(Hi-Z):信号が弱く、ケーブルや機器の影響を受けやすい(例:ギター・ベースのピックアップ)
・ローインピーダンス(Lo-Z):信号が強く、外部ノイズに強い(例:ライン出力、マイクプリアンプなど)
オーディオ機器や音響システムでは、基本的に「ロー出しハイ受け」、すなわち「ローインピーダンスでの出力、ハイインピーダンスでの入力」がノイズ対策や安定動作の基本です。
ライン信号を直接入力すると問題発生
コンパクトエフェクターの入力は、ギターのピックアップが出す微弱なハイインピーダンス信号を想定して設計されています。そのため、ミキサーやオーディオインターフェースなどから出力される強力なラインレベル(ローインピーダンス)信号を直接入力すると、以下のような問題が発生する可能性が指摘されました。
解決策:リアンプボックスの導入

リアンプボックスは、ラインレベル信号を受け取り、信号レベルを適切な大きさに下げるとともに、信号をハイインピーダンス化します。これにより、あたかもギターのピックアップから直接信号が入ってくるかのような環境を人工的に作り出し、コンパクトエフェクターの持つ本来の音質や反応を引き出すことができます。セミナーでは、実際にリアンプボックスを用いたサウンドメイクの実践も行われました。
ハードウェア(実機)にこだわるメリット

魅力的なソフトウェアプラグインが多数存在する現代において、「なぜあえてハードウェアにこだわるのか」という点についても解説されました。実機だからこそ得られる具体的なメリットとして、以下の点が強調されました。
・リアルな電気回路でしか出せない質感:
電源、部品、配線、そして環境までもがリアルタイムに影響し合う、「物理的な癖(アナログの揺らぎ)」を含む複雑な反応が得られます。
・演奏的なレスポンス(追従性):
音の強弱に対する反応速度など、自然で有機的な音の立ち上がりや抑揚のレスポンスが得られ、演奏表現の幅が広がります。
・偶発的な発見:
プラグインではシミュレートしにくい、回路の限界を超えたような「実験的な使い方やサウンド」が生まれやすく、制作における新たなインスピレーションにつながります。
その他にも、ハードウェアの直感的なノブ操作による制作フローの快適化や、ソフトウェアで制御可能な最新のエフェクターの紹介、そして実機の質感をDAW環境に再導入しているクリエイターの活用事例などが紹介され、ワークショップは盛況のうちに終了しました。
1コインワークショップは毎週木曜開催中!
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記事内に掲載されている価格は 2025年11月3日 時点での価格となります。
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