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Strymonといえば2010年頃から発売され、当時としては非常に高い音質、デジタルでありながら空気感のある美しいサウンドキャラクターで瞬く間にギタリストに浸透したブランドです。
今回Strymonから発売された新製品、IRIDIUMは同社初のアンプシミュレーターであり、後述するように非常に高性能なIRローダーでもあります。ストンプサイズでありながらアンプシミュレーター、IRローダー、ルームリバーブを搭載し、Inst/Line、mono/Stereoと幅広いオペレーションが可能な製品です。
これが店頭で実際に弾いてみると驚くほど良いサウンドでして、、、(およそ)5万円、このサイズ、この音かぁ〜と非常に感動したので、是非知って頂きたく、記事にしてみました!
このIRIDIUMも他のStrymon製品同様、音質的なクオリティが高いことは勿論、非常にセンスフルなサウンドデザインとなっており、使い勝手も音作り/コントロール両面において痒いところに手が届く設計となっています。
接続端子は背面にステレオ対応のTRS入力x1、ライン対応のステレオ出力x1。MIDI/EXP入力x1、前面にはに1/8″のヘッドフォンアウトが備わっています。
それでは!アンプシミュレーター、IRローダー、Room機能、コントロール性をそれぞれ見ていきましょう。
Strymon独自のモデリングテクノロジーで圧倒的な表現力を持つアンプ!
今回アンプモデリングはギターアンプの代表的な3機種が搭載されています。StrymonはそれぞれをモデリングするためにMatrix Modeling™️ Processと呼ばれる技術を開発し、各トーン回路、部品、バイアス、カットオフ周波数、チューブステージのゲイン、、、他にも、チューブアンプ回路で起こる瞬間的なトランジェント信号による回路中での電圧の降下(それもアンプの回路段毎に反応や時間的な変化を!)数学的に再現する事によって、リアルチューブアンプの複雑な倍音とそのフィーリングに到達した、、、とのことです。
またアンプ本体のみならず、過大入力が続いた際の圧縮感、コーン紙の動きの限界、スピーカーの歪みもモデリングしたとのことで、これが後述するキャビ、ルームのエミュレーションと組み合わさり非常にリアルな弾き心地を提供してくれているようです。
というわけで早速各モデルをかいつまんで弾いてみました!
それぞれのアンプの全回路を数学的な解析で実現した、、、、と、なにやら凄そうですが、要はサウンド、弾き心地共に全く異なるこれらのアンプ、、、大きく括ると代表的なアンプの系統(…特にパワーアンプ部分の違いによる弾き心地の差が大きいと思います。)その差を表現出来ているのか!気になる所ですが、実際に弾いてみると記憶の中の実機の弾き心地とぴたりとあったレスポンスが返って来て驚きます。
ROUND AMP
round ampはFander Delux Reverbをベースとされています。
Fender Delux Reverbは、今回モデリングされた3機種の中では一番実物を目にする機会が多いかもしれません。リハスタ、ライブハウスの常設はもちろん、いわゆる定番所では実際に所有されているユーザーも一番多い気がします。
個人的に思うフェンダーアンプの魅力はクリーントーンの扱いやすさや、一部の機種のレスポンスの早さ、歪ませた時のピッキングでスピーカーをえぐっているようなバリバリした歪みのレスポンス、、、ですが、round ampはそれらの特徴を見事に捉えてくれています。搭載されているピックアップによって、あるいはギターの種類そのものでも大きく音色、歪みの上限が変わる感じも実アンプにプラグインしている気にさせてくれます。
CHIME AMP
chime ampはVOX AC30TBのBrilliant channelをベースとされています。Rock oN 渋谷店にも試奏用にAC30があります。
VOXの特徴はやはり非常に綺麗で情緒に訴えかけるコードの響きだと思います。これは一回鳴らしただけでハマってしまいました。トップエンドから歪んでいく感じはプレキシと同じなのですが、IRidiumのVOXはとにかく深い!ピックのスイングが思わず大きくなってしまいます。同社の空間系や、あるいは破壊的なファズと非常にマッチします。あと、Driveを全開にすると思っているより歪みますね。音作りの幅は広いです。
PUNCH AMP
punch ampはMarshall Superlead 1959のプレキシモデルをベースとされています。プレキシ、、なので60年代中期の個体でしょうか。プレキシ系は兎にも角にも、モデリングを提供する会社によって非常に音が異なる様に思います。それだけ年式による個体差や多様な魅力とその解釈があるのですが、実機のユーザーとしてはハテナの浮かぶものも数多くありました。
この「punch」は非常に実直な音作りで、過剰なハイの暴れ感の演出や、ブーミーすぎる所も無く、そこにあるのは実機同様ギターであらゆる音を作っていく感覚です。
こちらも歪みの上限は比較的高め、、、かつ上限付近では音が暴れる感じもあり、モニタースピーカーからこのマーシャル弾いてる感じ、、が出る事に驚きを禁じ得ません。
ハードでは前人未到のステレオ96KHz24bit 500msの超高性能IRローダー!
アンプセクションの次はIRによるキャビネットエミュレーションのプロセッシングを通過します。一昔前、ハード機材によるアンプシミュレーターの場合、このセクションはモデリングによるプロセスが多かった印象ですが(現在だとHelixなどはIRとモデリングとの組み合わせ)、Fractal AXEなどを皮切りに搭載され始め、今では比較的安価な機種にもIR使用によるキャビネットエミュレーションの波が来ています。
モデリングに依らないIRは、ユーザーは好みのキャビネットのサウンドを機種を超えて再現できるというメリットがあります。 その裏返しで、IRは誰でも作成する事も可能な分玉石混合とも言え、高クオリティのIRを探す必要があります。
ギターのキャビネットシミュレーションに使われるIRは通常1024あるいは2048sampleまでが多いですが、このIRIDIUMは96KHz24bit 500ms(48000sample,ステレオなので96000Sample)までのIRデータを読み込むことが可能です。
これは専用機も凌駕するスペックで、IRIDIUMは単体の(9種類まで本体にメモリ出来る)IRローダーとして見ても非常に魅力的なスペックを誇ります。出荷時にはそれぞれのアンプモデルに適したOwnHammerやCelestion等サードパーティの高品位なIRがプリセットされています。
リアルな弾き心地を演出するIR+アルゴリズムのルーム・アンビエンス
キャビネットのエミュレーションの次は弾いている空間そのもの、、ルームアンビエンスの再現です。Strymonの製品ページによると、人間は初期反射音を聴き空間を知覚するのに大体80ms必要とあります。IRIDIUMはルームアンビエンスの音作りを256msのIRと、テール部分を描くStrymonによるリバーブアルゴリズムとの組み合わせで、切り替え可能なSmall,Midium,Largeの3つのRoomアンビエンスをシミュレーションしています。
つまりIridiumはアンプシミュレーター→IRキャビネットシミュレーター→ルームアンビエンスと大きく分けて3つのセクションを通過している事になります。
IRの畳み込みにも、Matrix Modelingによる演算にも非常に膨大な計算能力が必要なはずですが、IRIDIUMは従来搭載されているSHARK チップ以外にコプロセッサーとしてARMのプロセッサーを搭載しており、2つのプロセッサーを非常に高速かつ高度に組み合わせる事でこの複雑な処理を実現しているとの事です。
非常に高クオリティなギター録音用アンプシミュレーターとしても、ステージでのライン出し対応に使用可能!
ちょっと実践的なレビューをしていきましょう。
私も日頃Rock oN店頭で働きながら細々とバンド活動をさせていただいております。一応アンプ実機と大型のエフェクターボードが家にありますが、電車移動でそれを毎回持ち運ぶわけにもいかなかったり、本番直前に不調がおきたりでKemperのパワードとリモートも一応導入しているのですが、持ち運びの楽さから今ではすっかり小型のマルチエフェクターになっていました。
せっかくリファレンスとなるトーンはあるのに、可搬性を優先するあまり、買い揃えたエフェクター達も使わず、サウンドもどこか犠牲にしている事に疑問を抱いていたのも事実です。
ところが今回発売されたIRIDIUMをエフェクターボードに組み込み、PAに信号を直接渡すことで、IRIDIUMの優れた音色はもちろん、お気に入りの歪み等はもちろんリバーブ、ディレイも自分の拘ったものを使用することが出来ます。
現場のキャビ等を使用しないので、音色のブレる要素が減る事もポイントです。
100%自分の音でありながら、音作りに必要な荷物がエフェクターボード一つで完結する、、、これは今までに無い製品で、IRIDIUMが非常に優れた音色とコンセプトを持っているからこそ実現可能になる事です。
と言うわけで、手持ちのエフェクターボードに組み込んでみました。ドン!
今までは1台のアンプに出力するのみだったので、空間系含めモノラルで音作りをしていましたが、このセットアップはアンプを使用しないのでステレオでの出力も可能ですね!ここも自由度が広がり嬉しい部分です。
(キャビを3台使用してLCR?あるいはクランチ/ディストーション/ウェットなんてのも憧れますが….)
また、このIRIDIUMはMIDI PCとCCを受け付けることも可能です。
と言う事は、MIDIの柔軟性が高いプログラマブルスイッチャーと組み合わせるとプリセットのリコールが超便利になります!
これくらいであれば電車移動も苦になりません!リハーサルでもライブでも同じ時間でセットアップが完了します!
次は宅録です。ラインものの機材は、実機のアンプと比べると、ブースターやファズなど、前段に繋ぐ歪みエフェクターのノリが悪く感じることもしばしば。意図するより早く音が飽和して潰れてしまったり天井がなんだか低くなる覚えがあります。
今回IRIDIUMに収録されているアンプは3機種。せっかくなのでいろいろな歪みペダルを繋いで実験してみました。
Fender w/BluesDriver
Marshall w/Dead Horse Overdrive(OD808系ブースター)
VOX w/BIGMUFF
VOX w/Riverside
w/Riverside(IRIDIUM Ampバイパス)
いかがですか?定番どころもファズも潰れすぎる事なく期待通りの音が鳴っていると感じます。
特にRiversideは本体で出来る音作りが非常に多く、ファズ以外であれば大体似たトーンに追い込める感じがして、見た目やその他機能的にもIRIDIUMとの組み合わせに完璧な相性だと思います。
これくらいのクオリティの録音が、ただストンプサイズの機材一つを導入することで可能になるとは恐ろしい時代です。
大型、多機能の混迷極めるアンプシミュレーター界に颯爽とあらわれた救世主ですね、、
個人的にはStrymonがこれだけ高クオリティのアンプシミュレーターを出せる事が判明したので、是非是非メサブギーやフリードマンなんかをラインナップした第二弾、第三弾とリリースが続く事を期待したい所です。
Rock oN Company 渋谷店ではIridiumを絶賛展示中です!
新世代のアンプシミュレーターの実力を是非その手で確かめに来てください!
Writer.クーパー天野
記事内に掲載されている価格は 2019年11月10日 時点での価格となります。
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