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モニタリングに最も重要な役割
スピーカースタンドには、正確なリスニングポイントを決定するという基本的な役割がありますが、空気を振動させて音を出すスピーカー本体の制振というモニタリングに最も重要な役割があります。今回試聴したTAOCのスピーカースタンドは国内音響メーカーのR&Dでも既に導入されているようでして、正確なモニターにとって不要な振動を減衰させる制振技術を絶妙に調整しながら作られています。個人的な感想になりますが、レビューしていきたいと思います。
リファレンスには私がいつも使っているプレイリスト「グラミー受賞曲」から様々なジャンルの曲で試聴していきます。比較ポイントは
このような項目でジャッジしていきました。
TOAC STUDIO WORKS MSTP-S
プロオーディオ・モニター用スタンダードスピーカースタンド
シンプルなデザインで高さは900mm / 1000mm / 1100mmから選択可能。支柱には錫鉄粉がぎっしり入っているらしく、重さは20kg。すでにこの時点でいい音がしそうです。MSTPスタンドはすべてスパイク脚構造になっていて、スタジオの床面との共振を遮断するように狙って作られています。
試聴結果
あくまで他社との比較ですが、一聴して全体像が引き締まって聞こえ、低域の安定感が増して聞きやすく作曲やアレンジしやすそうな音でした。
定位も安定していて、こうもスタンドで変わるものかと思いました。リバーブ残響のテールもはっきり確認でき、脳内で補正をかけなくても「こういう音だろう」という正確なジャッジができました。
私だけかもしれませんが、モニタリングしていて「出ている音が正確ではない」と思った瞬間に、過去の経験から何らかの脳内補正をかけていることが多く、そこに脳のリソースを持って行かれていることがあるので、なるべくなら補正なしで楽曲制作を行いたいところ。
そうなると、精度の高いスピーカースタンドは重要なアイテムの筆頭といえるかもしれません。
TAOC STUDIO WORKS MSTP-W
プロオーディオ・モニター用ワイド型スピーカースタンド
最近の横置き3Wayのモニタースピーカーにも対応可能なワイド型のスタンドで、こちらも900mm / 1000mm / 1100mmの高さに対応。重さはスタンダードタイプの2倍の42kg!2本の支柱の間にある、何度もテストして決められたであろう長さの「振動子」と呼ばれる棒が下向きについています。聞くところによると、縦方向の振動を抑制するための物らしく、見た目から良い音がしそうですが先入観なしで試聴しました。
試聴結果
前述のスタンダードタイプの印象がありながらさらにタイトなイメージでした。
わかりやすく言うと全てのレンジで高解像度が高めで、よりボーカルの息づかいやリバーブのテールがはっきりと認識できる音でした。これも「振動子」のおかげでしょうか?
もう一つ驚いたのが、特にキックの低域の波長も感じられる(見える)と言うことでした。モニタースピーカーの種類もあるのかもしれませんが、最近のどのジャンルでも重要な低域の音作りに、この「見える」と言うのは個人的にもうれしいポイントではあります。
両モデルに共通な3重構造の天板にも高解像、そしてタイトに聞かせる工夫があるのかもしれません。支柱もそうですが、スピーカーに直接触れる天板にこそ制振性が求められるのかもしれません。
全ての試聴が終わった後に、TAOCのモニタースタンドを含む4機種の鉄板に小さな鉄球を落としてみたのですが、TAOCのモニタースタンドだけバウンドが1回でした!!他社のものは2~3回という、これが音に関係しているのは明白な事実なんだろうと最後に実感しました。
余談ではありますが、同社のオーディオ・ボードという特殊な加工が施されたボードがあり、その上にPCやオーディオ・インターフェースを載せてチェックをした事があるのですが、確実に音が変わりました。CPUの振動が影響して処理になんらかの影響を及ぼすと考えれば、音質の変化は当然かもしれません。
記事内に掲載されている価格は 2024年10月22日 時点での価格となります。
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