世界標準WAVESマキシマイザー「L」シリーズの全容まとめ

1992年に創業したWAVESですが、その最初期に開発されたのが WAVES L1です。L1の登場はデジタルオーディオの革命のひとつと言ってもよく、音楽はもちろん、ゲーム、放送、映画など、あらゆるユーザーに爆発的にヒット。スレッショルドを下げるだけの簡単な操作で、デジタルオーディオにあってはならないクリッピングを回避し、音圧を稼ぎ、デジタルクオンタイズ(ビット解像度の最適化)をしてくれるという製品です。後にはヤマハ製のミキサー、ハードディスクレコーダーなどにもオプションとして搭載されるなど、その技術はブランドの垣根を超えました。音圧戦争の火付け役とも評された衝撃的な性能はその後も進化を続け、現在8種類ものマキシマイザーが存在します。
L1 Ultramaximizer
L1 Ultramaximizer+
L2 Ultramaximizer
L3 Multimaximizer
L3 Ultramaximizer
L3-LL Multimaximizer
L3-LL Ultramaximizer
L3-16 Multimaximizer
これだけ種類があると、どれを使って良いのか迷ってしまう方も多いと思いますので、各プラグインの特徴をまとめました。
WAVESの Lシリーズをひと通り持っている方であれば、各プラグインの動作原理を理解することで制作効率やミックスクオリティがアップすることでしょう。まだ持っていないという方は、WAVESプラグインを単品でお安く買える今が買い時です。Lシリーズの最もお得で賢い買い方をお教えします!
L1 Ultramaximizer、L1 Ultramaximizer+
独特の歪みっぽさが現代でも人気
L1 Ultramaximizer

L1 Ultramaximizer+
L1は、後に登場するL2やL3に比べると少々歪みっぽく、ハイビット・ハイサンプリングレートが当たり前になった今ではマスターチャンネルに使用される機会は減りましたが、その独特の歪みっぽさを愛するユーザーは多く、ドラムやベースのバスミックスや、荒々しさを出したいシーンで現在も使用されています。L1 Ultramaximizer+ は L1 Ultramaximizer にインプットレベル調整、QUANTIZE、DITHER、SHAPING、DOMAIN設定が追加されており、L1 Ultramaximizerを単品購入すると、上の2つのプラグインがセットで手に入ります。
WavesL1 Ultramaximizer
¥5,610
L2 Ultramaximizer
Lシリーズの中で最も自然でスムーズなリミッティング

L2 Ultramaximizer
L1 と L2 は「ワイドバンドリミッター」と呼ばれ、音楽の周波数スペクトル全体を同じように処理します。低音域のピークも中音域や高音域のピークと同じように処理され、原音の周波数バランスが崩れにくいのが特徴です。L2の方がアルゴリズムが進化して音が歪みにくく、ミックスのバランスを崩さない透明な処理を実現しています。
L2 の心臓部は、独自開発のブリックウォールタイプの先読みピークリミッターアルゴリズムに加え、9段階のノイズシェイプWaves IDR (Increased Digital Resolution)ディザリングテクノロジーを内臓。マスタリング、ミキシング、レコーディングに最適ですが、極端なリミッティングやビンテージなダイナミクス処理エフェクトとしても同じように高い能力を誇ります。アルゴリズムの改良とARCリリース機能によってよりスムーズで歪みを抑えたリミッティングが可能。Lシリーズの中で最も自然でスムーズなリミッティング、レイテンシーも低いのでL1同様に個別トラックやグループに使用するのもお勧めです。
WavesL2 Ultramaximizer
¥5,610
L3 Multimaximizer
5バンド・マルチバンドマキシマイザー

L3 Multimaximizer
L1、L2 のように全周波数帯域をまとめて処理するのではなく、最大5つの周波数帯域を個別に処理するマルチバンド・マキシマイザーです。
シンプルな操作体系はそのままに、Waves最新のリニア・フェーズ・クロスオーバー技術とピーク・リミッティング・ミキサー技術を統合することで、サウンドのキャラクターまでコントロールすることを可能にしました。プライオリティコントロール機能により、オーディオのどの部分にリミッターをかけるかをより細かくコントロールすることができ、美味しい帯域をキープしたままリミッティングする事も可能です。各周波数ゾーンには、それぞれのバンドのゲイン/ブースト・コントロールも含まれており、実質的に5バンドEQとなっています。また、リリース・コントロールはそれぞれ個別に設定できます。多彩なキャラクターをマスターに付与できるプロファイル機能も搭載し、クリアなサウンドから限界まで追い込むリミッティングまで幅広く対応できます。

L3 Ultramaximizer
一見するとシングルバンドに見えながらも内部は L3 Multimaximizer と同じ5バンド処理で、L2並みのシンプルな操作を実現しています。プロファイルを選ぶ「プリセット」スタイルのアプローチを好む場合にお勧めです。
L3-LL Multimaximizer
L3-LL Ultramaximizer
L3-LL Multimaximizer、L3-LL Ultramaximizer
L3モデルのリニアフェイズクロスオーバーにはかなりのレイテンシーがあるため、L3 Multimaximizerと L3 Ultramaximizer のローレイテンシー(LL)モデルがあります。出音が同じであればLLモデルだけあれば良いかと思いますが、両方存在するには理由があります。通常のL3はルックアヘッドとリニアフェイアズ技術が用いらているため(LLには簡易版を搭載)、レイテンシーが非常に大きい代わりにスイートな高域とパンチのある低域が得られます。そのため、L3 と L3-LL を同じ設定にしても処理後のサウンドは同一にならないことが多いのです。L3-LL の存在価値はCPU負荷の軽さで、トラック毎のマキシマイズを行うのに適しています。
WavesL3 Multimaximizer
L3 Multimaximizer
L3 Ultramaximizer
L3-LL Multimaximizer
L3-LL Ultramaximizer
紹介したL3の4プラグインを全て収録
¥6,380
L3-16 Multimaximizer
脅威の16バンドピークリミッター

L3-16 Multimaximizer
L3をさらに進化させた Lシリーズの最高峰。6バンドEQのような操作性で16バンドという複雑な処理を可能にした、最も強力な最新作。
マルチバンド・リミッティングを正しく使うことで、ダイナミクスやバランスを根本的に変えることなく音量を稼ぐことができます。例えばスネアドラムのピークが多い場合、マルチバンドリミッターを使えば、スネアの周波数帯の中心部分をカバーするゾーンを設定し、他のゾーンよりも強く制限することができます。こうすることで、ミックスの他の部分はダイナミックレンジを維持しながらスネアのピークだけを低減することができます。
WavesL3-16 Multimaximizer
L3 Multimaximizer
L3 Ultramaximizer
L3-LL Multimaximizer
L3-LL Ultramaximizer
L3-16 Multimaximizer
→L3シリーズを全て収録
¥6,380
WAVESマキシマイザーの全体像
全てのWAVESマキシマイザーの特徴をまとめます
L1 Ultramaximizer
今となってはミックス・マスタリングに向かないが、独特の歪みが荒々しさを持ち、現在でも音作りに愛用されている。
L2 Ultramaximizer
Lシリーズの中で最も自然でスムーズなリミッティングを実現したレジェンドモデル。
L3 Multimaximizer
マルチバンドのクリアーなリミッティングで音作りを積極的に行えるオールマイティモデル。
Lシリーズの賢い買い方
現代のDAW環境にマキシマイザーを導入するならば L3シリーズが全て手に入ってしまうL3-16と、レジェンドモデルL2を導入すれば、アコースティックからダンスミュージックまで全ジャンルがカバーできるでしょう。L2でトラックをタイトにまとめ、その後にL3で精細に作り上げるという合わせ技も可能になります。単品セレクトで欲しいプラグインだけ、しかもお得な価格で世界標準サウンドを手に入れてください。
WavesL2 Ultramaximizer
¥5,610
WavesL3-16 Multimaximizer
¥6,380
Writer:SCFED IBE