Rock oN の Logic Pro X -Apple Certified Pro – 谷です。皆さんはご自身のスタジオのリファレンス環境に満足していますでしょうか?
最近では、クリエイターであっても「ミックス」やある程度の「マスタリング」というものを求められることが確実に増えてきました。そんな時、誰もが思うのが「ウチのリスニング環境って大丈夫なのだろうか?」ということ。特に自宅スタジオは、部屋の広さや形によって変に低音が膨らんでしまったり部屋が響きすぎてしまったりと調整するのが難しい環境です。
私もそうでしたが、ルームチューニングを行う為に「吸音材」「拡散剤」等を駆使して、部屋の色々なところに置きながら試行錯誤を繰り返し、自分のスタジオのリファレンス環境を整えられていると思います。ただそんな今までの苦労が一瞬で吹っ飛んでしまうようなプラグインが出てしまいました。それは…
「Sonarworks Reference 3」です!
お使いのDAWのマスターアウトに挿して使うのですが、同じようなソフトがある中でこのReference 3を何故お勧めするのかというと、「iTunes」や「Youtube」等のDAW使用時以外でも音響調整後の環境でリファレンスができる「Systemwide Upgrade」が存在するからです!
どうしてもプラグインタイプですので、DAWに挿している状態でないと音響調整された環境で聴くことができません。今までのこういったプラグインの場合は、お気に入りの曲を調整した環境で聴きたい時も、わざわざDAWに曲を貼り付けて聴く方法でしかなく、とても面倒でした。そしてやがてDAWを使ったリスニング環境と、それとは別に普段のiTune等を使った時のリファレンス環境の違いに耳が混乱し、最終的に使わなくなるという悪循環…
そんな悪夢とおさらばできるのはこのReference 3しかありません!(※「Systemwide Upgrade」はDAWで同プラグインを使用時は自動的にバイパスされます。ご注意ください。)
近年ですと、DSPを積んだスピーカー(GENELEC SAMシステム等)等によって自宅のリスニング環境を補正する製品が増えてきていますが、ハードですとどうしても高額になってしまいます。自分が使っているお気に入りのスピーカーのポテンシャルをもっと発揮したいという方は是非、この記事を読んで導入してみましょう!
実際の測定方法について
それでは、Reference 3がどんなものかを説明していきます。自宅の環境で色々とテストをしました。
まず一番初めにやることは、付属しているマイクをセットすることから。(※マイクの口径は「22cm」程になります。マイクホルダーは付属しておりませんので、丁度良いサイズの物をご用意ください。)
あとはご自身のリスニングポイントから正面のスピーカーに向けて、こんな感じでセッティングします。
マイクの設定が終わったら、次に測定に使用するオーディオインターフェイスの設定となります。機器はご自身がお使いの物で問題ありません。(※使用するには48Vの供給が必要となります。)
次に、対象のスピーカーが接続されているOutputを選択します。
さあ、もうこれだけの設定で測定スタートです!この後はソフトの指示に従って進んでいってください!マイクを動かして様々な場所で測定していきます。(※手で測定することも可能ですがマイクスタンドを使用した方がベストです。測定の途中で片方のスピーカー毎にマイクを近づける部分がありますがその際はマイクスタンドから外して測定してください。)
10分程度の時間で測定が終わると…このような測定結果が出ました!測定結果はプリセットとして保存されますので複数スピーカーをお持ちの方も安心です。
このままだと何がなんだかわからないと思いますので。部屋鳴りの測定結果だけに絞ると…
はい、とってもローが回っていますね。以前に自分で測定した時もこんな感じで泣きそうでした…。測定に伴い、普段使っていたスピーカーのローカットスイッチ等も全てフラットにしましたので、4.5畳の狭い作業スペースとしては当然の結果かなと思っています。ではこれが、このソフトを使うとどうなるのか…?
このように、ビックリするくらいフラットな環境があなたのスタジオに!ですが、ハッキリ言います…フラット過ぎると…良い面もありますが、色々とガッカリする部分もあります(笑)(※こちらはの意見はあくまで個人的な見解です。)
ただ、この製品の一番素晴らしいところは、ここから自分が良いと思えるポイントまで調整していくことができる点です!ソフトが出した測定結果に従うしかないような仕様ではやはり使いづらいですよね。
微調整のポイントはこのパラメーター!
赤い四角で囲った「Dry/Wet」の部分で大枠の調整をしていきます。「100」の状態が一番フラットに近い状態です。ここから、数値を徐々に下げていきます。
値を「40」くらいにしますとこんな感じです。フラットを目指すのでは無く、元の状態を少し補正したくらいにしたい方はこれくらいがベストかもしれません。
私の環境では「87」がベストと判断しましたので、まずここを確定させます。次はその下の青い四角の部分でさらに微調整をしていきます。こちらを選択すると
低音のBoostの上下と、補正するターゲットの赤い線の左右の傾き具合等の調整ができます。私の場合は緑の丸の部分の低音の膨らみをもう少しカットしたかったのでここを削りました。
調整はたったこれだけ。後はご自身が良いと思うポイントを試行錯誤してみるのもとても面白いソフトです。1日でベストなポイントの結論を出すのでは無く、数日試しながら調整してみるのも良いかもしれません。
最後にやっぱり気になるレイテンシ!
やはりプラグインソフトですのでレイテンシがつきものです。やはりマスターに挿すものなので気になっている方も多いと思います。
レイテンシの調整についてはこの画面で調整が可能です。通常時の設定で大体「20ms」くらいのレイテンシが出ています。これだとクリエイターの方で特に鍵盤に慣れている方はタッチが気になると思われますし、ギター等の録音を主にされる方はちょっと躊躇したくなりますね。
ただご安心を!ちゃんとそこらへんのこともSonarworksは考えてあります!制作時はこの赤い四角の部分を左のモードにしてもらうと…
なんとレイテンシは「1ms」近くまで縮まります!ただ、少しだけ音響補正は通常時より崩れます。お使いの環境によって悪影響になるようでしたら制作時はプラグインを外して、MIXやマスタリング時にこのプラグインを指して使用することをお勧めします。個人的にはMIXの最終段階や「iTunes」等で使用する「Systemwide」では、下記の「Linear」モードを絶対的にオススメします!
このモードにすることで「位相」のズレ等を抑えてくれます。実際に中央の「Mixed」モードを聴き比べるとその差は歴然。CPU負荷が非常にネックですが、マシンパワーが許す限りこちらのモードをオススメ致します!あと最後に一番重要なのは…バウンスする時は絶対にこのプラグインを外して下さい。そうしないとご自分のシステムでしかバランスの取れていない2Mixができ上がってしまうのでご注意ください。
最後に
私のようにリファレンス環境よりも
「よく使うハードシンセが近くにないと嫌だ」
「モニタディスプレイはなるべく多く使いたい」
「でもいい音で聴ける環境が欲しい(笑)」
などのわがままに答えてくれるのがこのReference 3だと思います。性能面でも、今まであった音響調整プラグインの痒いところにも手が届いた素晴らしい製品です。こちらの製品を導入される際はご自身のお気に入りの「リファレンスCD」を是非ご用意ください。いつも聞き慣れた楽曲を使用して、自分が良いと思うポイントをご自身の耳で探っていくのが一番の近道だと思います!
価格帯も決して手が届かないプライスではありませんので、自宅のリファレンス環境をもっと良くしたいという方は是非ご検討ください!
[eStoreClipper1A mdin=’42557′ img=’LINK’][/eStoreClipper1A]Sonarworks製品のことを開発者に訊いてみた
より深くSonarworks製品のことが知れる記事はこちら!
記事内に掲載されている価格は 2017年5月10日 時点での価格となります。
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