BoB Moog 氏の遺作でもあり、博士の最高傑作シンセサイザーがMoog Music『Minimoog Voyager』です。
シンセはもとより、音楽史を変えたMinimoogという大きな存在。そのファットなオシレーターと、世界を魅了したラダーフィルターのサウンドを継承し、モジュラーシンセの自由度の高いパッチングを加えた、Minimoog Voyagerはまさにモンスターマシン。Moogシンセのありったけの魅力が、ここにあります。
1987年に『Moog Music, Inc.』と『Moog Electronics, Inc.』の資産をRJE Research Corp.により買収され、一時はその存続さえも危ぶまれていたMoogブランド。2002年に『Moog』ブランドを取り戻すまでの間に開発されたシリーズ91 テルミンはBig Brairという会社を設立してリリースするなど、苦労を重ねた末、1999年から3年の時を経て開発され、『Moog Music』のブランドで華々しく発表されたMinimoog Voyager は、Moog博士の思いが一際詰まったシンセとなりました。
ここでは、Minimoog Voyagerが生まれるまでの経緯を、Bob Moog 氏の誕生から製品と共に追ってみましょう。
Bob Moog Timeline
1934年5月23日
Bob Moog、ニューヨークに生まれる。(本名はRobert Moog。一般的に知られるBobの呼び名はRobertの愛称)
1954年
Bob Moogと父親がテルミンの組み立て、販売を開始。
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1961年
$50で1,000台のテルミンを販売
ニューヨークでの販売代理人は後のSear Sound Recording Studioオーナーで伝説のレコーディングエンジニア、Walter Searだった。
Melodia Theremin, 1961
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1963年
作曲家 Herbert A. Deutschと共に最初のMoog Modular シンセサイザーを発明。
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1964年
ハンドメイドのMoog ModularプロトタイプをAESコンベンションで公開。オーダーを受け付け開始する。
First Moog Modular, 1964
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1965年
コーネル大学にて機械物理学の博士課程を修了。
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1967年
R.A Moog Company(現在はR.A. Moog, Inc.)を設立し、Moog Modular Synthesizers I、II、及びIIIを発表
Moog Modular, 1967
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1970年
Bill WaytenaによりR.A. Moog Inc.が買収される。初のMinimoogがAESコンベンションにて発表される。
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1971年
会社名をR.A. Moog, Inc.からMoog/Musonicsに改名し、1972年から74年までニューヨーク州バッファローに移転。
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1972年
会社名をMoog/MusonicsからMoog Music, Inc.に改名。
Minimoog Model D, 1972
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1973年
Moog Music, Inc.はBill WaytenaからNorlin Musicへ売却される。
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1975年
Minimoog、Taurus Bass Pedals及びMoogにおける最初のポリフォニックシンセ、 the Polymoogを発表。雑誌「Keyboard」の第一号表紙にBob Moogの名前が載る。また、雑誌「On Synthesizers」第二号においてBob Moogのコラムを開始する。
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1977年
Bob MoogはMoog Music, Inc.を離れ、Big Briarを設立。
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1978年
Moog Multimoog、 Polymoog Keyboard、1528 Sample-Hold moduleを発表。Bob Moogはノースカロライナ州アッシュビルへ移る。
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1979年
Moog Prodigy、Taurus II Bass Pedals、Phase Shifterを発表。Bob MoogはOn Synthesizersのコラムを終了。
Moog Prodigy, 1979
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1981年
Moog Rogue、初の音色メモリー可能なモノフォニック・シンセであるSource
を発表。Minimoogの生産を完了。累計で12,000台生産された。
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1982年
Moog Music, Inc.より発売される最後のシンセとなる、Memorymoogポリフォニックシンセサイザー発売。Bob Moogはイタリアの楽器メーカー、Crumarのためにアナログ・モノシンセ、Spiritを設計。
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1983年
Norlin Musicは David LuceとF. Scott ChapmanにMoog Music, Inc.を売却。Moog Music, Inc.とMoog Electronics, Inc.の2社に分割される。
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1984年
Bob Moogは1989年までKurzweil Music Systemsの新製品開発部門副社長として在籍。コモドール64用MIDIインターフェイス/シーケンスソフトであるMoog Song Producerを発表。
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1987年
Moog Music, Inc.とMoog Electronics, Inc.の資産がRJE Research Corp.により買収される。
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1991年
Bob Moogがシリーズ91テルミンを設計。Big Briarより発売。
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1996年
「Electronic Musician」誌にBob Moogがテルミンの自作記事を投稿。後にEtherwave Thereminとして今日まで発売される。
Etherwave Theremin Standerd
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1999年
Minimoog Voyagerの開発がスタート
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2000年
Minimoog VoyagerのプロトタイプがNAMM SHOWにてお披露目となる。
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2002年
Minimoog Voyagerの発売開始
Bob Moogは彼自身の名前の使用権を取り戻し、社名もBig BrairからMoog Music Inc.,に変更。
Minimoog Voyager Old School
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2003年
Moog Voyager Performer Edition、Moog PianoBar、VX-351 CV Expanderを発表。
Minimoog Voyager Performer Edition
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2004年
Moog Voyager Anniversary Edition、Moogerfooger MF-105 MuRF Multiple Resonance Filter、 Etherwave Pro Thereminを発表。Moogのドキュメンタリー映画がリリースされる。
Moog Voyager Anniversary Edition
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2005年
Moog Voyager Rack Mount Edition、Minimoog Electric Blue、Moogerfooger MF-104Z Analog Delayを発表。
Minimoog Voyager Rack Mount Edition
Minimoog Voyager Electric Blue Edition
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2005年8月21日
Bob Moog 氏永眠。手術不能な脳腫瘍が原因だった。
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以上、このような脈絡で受け継がれたMoog 博士のマインドは、未だ世界中のシンセサイザー開発の礎とされ、音楽を愛する全ての人に影響を与え続けています。
最高傑作がここに!Minimoog Voyagerシリーズをご紹介
最後に、惜しくも生産完了となり、希少品となってしまったMinimoog Voyagerシリーズの中から3機種をご紹介しましょう。Minimoogのオシレーターとフィルターをパッチングして生まれる未知なる可能性にあなたも触れてください!
Minimoog Voyager XL
Moog Minimoog Voyage XLは、オリジナルのMinimoog Model DとVoyagerの音源と機能を合体させた新たなアナログ・シンセサイザー。
拡張性の高いフロント・パネル上のパッチが特長的で、これはモーグのモジュラー・シンセサイザーの伝統を受け継いでいます。これまでのモジュラー・シンセサイザーの多くの長所と最先端のアナログ技術が融合し、サウンドのデザインやコントロールができる夢のような機材を実現しています。
Minimoog Voyager XLは、Minimoog誕生40周年を記念してデザインされたもので、モーグ・シンセサイザーの歴史において、重要な製品群に敬意を払った電子楽器なのです。Minimoog Model Dの太いオシレーターと温かなフィルター音がまぎれもないモーグ・サウンドですし、丈夫な外装と直感的ユーザー・インターフェイス・デザインが、高品質な楽器を弾いているとあなたに直ちに気付かせてくれます。XLは、現行のVoyagerから安定したオシレーター、パッチ・ストレージ、タッチ・サーフェス、ポット・マッピング、MIDIコントロール機能とともに、100%アナログ回路を引き継いでいます。この全てにリボン・コントロールと61鍵盤を加え、40年間の伝統を引き継いだモンスター・アナログ・モノシンセを作り上げました。
★Sound On Sound magazine 『Best Keyboard/Synthesizer』を受賞
Minimoog Voyager Electric Blue Edition
本製品は、ゴージャスなブルーのバックライト・パネルと、ところどころのブルーとソリッドなアッシュのキャビネットが特徴的なMinimoog Voyagerです。
ミニモーグ・ボイジャー・ブルー・エディションは、ステージやスタジオで異彩を放つ全てアナログのパフォーマンス・シンセサイザーです。ミニモーグにはこれだけが実現させることができる、驚くべき音波範囲とパワーがあります。柔らかく変調されたリードからぞくっとするようなベースによって、ボイジャーはアナログ・シンセサイザーの頂点に君臨し続けています。そしてミニモーグと同様に、ボイジャーはシンセサイザーのパイオニアであるボブ・モーグによってデザインされ、実現されています。
ミニモーグ・ボイジャー・ブルー・エディションは、ソリッドなアッシュのキャビネットに頑丈な鉄製のボディをまとっています。それは一見黒に見えますが、近くで見れば青い斑点の凝ったデザインに目を惹かれることでしょう。これらと美しいブルーのバックライト・パネル、ブルーのピッチ/モジュレーション・ホイール、ブルーのLEDが組み合わさり、あなたの目を奪わずにはいられない存在感のあるモノラル・シンセサイザーです。
[eStoreClipper1A mdin=’30101′ normalprice=’594000′ img=’LINK’] [/eStoreClipper1A]Minimoog Voyager Performer Edition
Minimoog Voyager Performer Editiionは1台ずつ手作りされており、オリジナルMinimoogの特長とすばらしい音を組み込んだ、全てアナログのシンセサイザーであり、それに加えて多くの新たな機能上の改善点がデザインに反映されています。そしてMinimoog Voyagerは、オリジナルのMinimoogと同じく、シンセサイザーの先駆者であるボブ・モーグ氏によってデザインされ、この世に生み出されたのです。
Minimoog Voyager Performer Editiionはモーグの伝統を受け継いだMinimoog Voyagerです。格好良くカスタム・フィニッシュされたアッシュ材がサイドに付いた、丈夫な鉄のシャシーの中に収まっています。そして44鍵のFatar鍵盤、ブルーに光るピッチ/モジュレーション・ホイール(*)の存在感も抜群で、Voyagerシリーズの頂点にふさわしいものです。
*ピッチ/モジュレーション・ホイールはブルーに光るタイプ(写真参照)、グレーの2種類のモデルがあります。
★ユーザーアーティスト
Herbie Hancok, Rick Wakeman, Chick Corea, Bernie Warrell, Brian Eno, Stevie Wonder
★主なアワード
キーボードマガジン「Key Buy アワード」
Future Music Magazine「プラチナ賞」
Music Tech Magazine「エクセレント・アワード」
Mix Magazine「TEC・アワード」
Electronic Musician Magazine「エディターチョイス・アワード」
[eStoreClipper1A mdin=’30104′ normalprice=’594000′ img=’LINK’] [/eStoreClipper1A]
記事内に掲載されている価格は 2016年8月24日 時点での価格となります。
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