Say Hello!Rock oNスタッフの村上です。
お待たせしすぎました!12月末に発売してから国内品薄が続いていたMoogの4音パラフォニックのセミモジュラー・アナログ・シンセサイザーMatriarchが急遽入荷しました!
MatriarchはMoogシンセ、セミモジュラーラインの最新製品で、これまでに発売されたMother 32、DFAM、Grandmotherの仲間です。Subsequent 37、Moog One等の製品との大きな違いは、ユーロラックタイプのモジュラーシンセとの連携を想定したミニプラグのパッチポイントが多数あることです。
そこで今回は渋谷店の展示機を借りて、Matriarchのありあまる魅力を、どこよりも熱くレビューします!
Matriarchの概要
外観
機種名の「Matriarch」とは女性の「家長」や「族長」を意味する言葉だそうで、Mother 32、DFAM(Drummer From Another Mother)、Grandmotherと機種ごとに母性がパワーアップしてますね。Motherシリーズを統べる親玉としてぴったりな機種名です!それではMatriarchの機能や特徴についてご紹介します。
まず操作パネルの上部あたりに無数のパッチポイントを見て圧倒されてしまうかもしれませんが、Don’t be Afraid!恐れることはありません。
このシンセはセミモジュラーなのでこのパッチポイントに何も繋がなくても、内部で基本的なパッチングは繋がっており音はちゃんと出ます!つまりパッチケーブルなしでも充分な音作りが可能です。例えばバンドの演奏とかでキーボードがパッチケーブルだらけで煩雑になることを嫌う場合はパッチケーブル無しで使えばいいんです! (パッチケーブルだらけのカオスな感じもかっこいいですけどね)パッチポイントを使えば内部接続以外の信号のルーティングやMother 32や他社製モジュラーなどと組み合わせることが可能なので、これは夢が広がりますね。パッチポイントも何でもかんでも制御できるというよりは要所要所という感じなので、分かってしまえば簡単です。
Matriarchは4オクターブC to Cの49鍵のキーボードが搭載されており、実機をみると思ったよりも大きくずっしりした印象です!
Motherシリーズには他にもGrandmotherという2オクターブ半のF to Cの32鍵のキーボード搭載モデルがあり、両機種ともセクションごとに色分けされたド派手なルックスが特徴的ですね。この2機種はよく似てますが、単純に鍵盤数の違いの大小違いかといえば、一概にそうではなく各機種にはそれぞれの特徴があります。
Grandmotherはモノラルアウトで空間系エフェクトは本物のバネが入ったスプリングリバーブを搭載、それに対してMatriarchはステレオアウトで空間系エフェクトがステレオディレイに変更されております。
さらにMatriarchはオシレーター数が4つに増えており、そのオシレーターをボイスごとに分けて最大4音パラフォニック(ポリフォニックではない)のコードも演奏が可能です。
他にも各セクションが強化されたり増えたりしているため、比較的単純なモジュール構成のGrandmotherに対して、より複雑なパッチングが可能なMatriarchという印象です。
そのためGrandmotherをすでにお持ちという場合も、Matriarchと棲み分けで使用ができそうですね。
それではセクションごとに特に村上が気になった部分を見ていきましょう!
各セクションの機能紹介
オシレーターセクション
MatriarchはオシレーターがGrandmotherの倍の4オシレーター構成です。(4オシレーター+ノイズジェネレーター)
オシレーターシンクもGrandmotherの場合はSYNCボタンを押せば単純にオシレーター2がオシレーター1に同期するという話でしたが、4つもオシレーターがあるとどうなってしまうのかと思ったら、オシレーター2~4のFREQUENCYノブ下の小さいボタンを押すことで各オシレーターごとにシンクの設定が可能です。オシレーター2は1へ、オシレーター3は2へ、オシレーター4は3へと同期の設定が可能です。
Grandmotherの場合はオシレーターが2つだけなので、SYNCボタンを押すだけですが、Matriarchの場合はこの小さなボタンで設定を行なったオシレーターに対してSYNC ENABLEのボタンを押すことでオシレーターシンクが開始します。4つのオシレーターがあるとこの辺りが複雑になりそうですが、これなら簡単ですね。
パッチポイントも合理的で、PITCH INに例えばENV OUTのCVを入力するとした場合、オシレーター1のPITCH INに繋ぐと1~4全てのピッチに対して変調がかかり、2のPITCH INは2~3、3は3~4、4は4のみにかかります。
要するに4つのオシレーターのうち1つだけ変調したい場合はオシレーター4に接続して、全体にかけたければオシレーター1のPITCH INに接続すれば良いので、複数オシレーターを変調させる場合もケーブルの1本で済んで合理的です!
フィルターセクション
次にフィルターです。
フィルターは2基搭載されており、真ん中のトグルスイッチで2つのローパスフィルターを左右に振るステレオモードとハイパスとローパスの2種類のフィルターを直列あるいは並列で接続することが可能です。ステレオモードの場合も、ハイパス&ローパスモードの場合もCUTOFFは共用でRESONANCEを1と2で分けるというレイアウトが直感的に使いやすそうですね。
ステレオディレイを搭載!
Grandmotherのスプリングリバーブも筐体を揺らすとスプリングのノイズが発生してとても楽しいですが、やっぱりシンセにはディレイがあるといいですね。
ディレイもステレオ分の2基搭載で、各パラメーターのツマミは使いやすいように1つずつにまとめられてます。CVからの制御で、左右のディレイごとに異なる変調をかけることも可能です。
UTILITIES
このモジュールはマルチやアッテネーターといったCVの信号を複製したりレベルの調整を行う便利ツール的なセクションです。Grandmotherにもありましたが、Matriarchではこのセクションがなんと左右に2つあります!
左右にあるので遠いパッチポイントにつなぐために長いケーブルを這わせて接続するといったシーンを回避できるので助かりますね。また右側のUTILITIESには簡単なLFOが付いています。
MODULATIONセクションにもMODホイールと連動のLFOが搭載されてますが、それとは独立したLFOです。このLFOは波形は三角波と矩形波のみで、デプスは固定となりますがLFOがもう1基ついているのはありがたいですね。
以上が村上からのレビューでした。
村上としてはこの機種の特におすすめなところは、やはり幻想的なステレオディレイのサウンドと、あると便利な左右のUTILITIESです。モジュラーシンセのシステムのど真ん中において、母艦として外部のモジュールをコントロールするのにも良さそうです。
発売後、あまりの人気と国内品薄のため手に入れることの難しかったMatriarchでしたが、今なら在庫があります!
この次の国内入荷は長期間お待たせしてしまう可能性があるため、このシンセが気になった方は下記からのご注文をお待ちしております!
Writer.村上
記事内に掲載されている価格は 2020年1月30日 時点での価格となります。