1973年に設立され、翌年12月に音響ビルにてスタジオ業務を開始した音響ハウス。
シティポップに代表される超ビッグネームをはじめ幾多のアーティストから、実に49年以上にわたり愛され続けるレコーディングスタジオです。
そんな「録音の聖地」ともいえる音響ハウス「1スタ」「2スタ」の残響特性を忠実に再現したプラグイン「ONKIO Acoustics」がリリースされました。
VSVerb®テクノロジーを用いたサンプリング・リバーブ・プラグインで、音響ハウス【公式記録】として次世代に伝える意義を込め、大変リーズナブルな価格で提供されています。
ONKIO Acoustics インターフェース
Studio No.1
Reflectors:Fully ➡️ 反射板 フル設置
Reflectors:Half ➡️ 反射板 半分設置
Reflectors:None ➡️ 反射板 なし
Studio No.2 Main Floor / Booth Select
Main Floor ➡️ メインフロア
Inside the Booth ➡️ ブース内
Outside the Booth ➡️ ブース外
マイクのポジションを変更可能
音源に対して X [奥行], Y [横方向], Z [高さ]でマイクのポジションを変更したり、マイクの角度を上下90度で変更可能です。マイクタイプは単一指向性(デフォルト)とOMNIをクリックすることで無指向性へ変更できます。
マイクポジションの試聴
今回試したトラックでは、マイクポジション調節 X [奥行], Y [横方向], Z [高さ]で聴感上の大きなサウンド変化を体感できませんでしたが、プラグイン画面中央のカラフルなグラフ Frequency spectrum で、マイクポジションに連動して周波数特性が変化していることが分かります。
マイクアングルは上90度に向かうに従って低音反射が減り、下90度に向かうと低音反射が増すことが聴感でも感じられました。マイクタイプをOMNIにするとアンビエンス成分が一気に増え、聖地の部屋鳴りを強く得ることができます。
きめ細かな音作りが可能
INPUTレベルとOUTPUTレベルの調整をはじめ、PRE DELAYとREVERB TIME調整、リバーブ音を各BAND(低音域、中音域、高音域)ごとにレベル調整可能。DRY / WETのレベル調整も可能で、柔軟な残響音作りを可能にしています。
ONKIO Acousticsは Send Mode と Insert Mode を装備。動画では始めに Send Mode でリバーブ音のみを Low、Mid、High バンドでソロ試聴した後、Insert Modeで原音 + WET音で各パラメーターの音変化を確認しています。
実践:楽曲に自然な奥行きを加える
ドラム、ベース、ギター、ボーカル、という構成で、個別トラックから同量のAUXセンドを ONKIO Acoustics(Send Mode)に送りました。
Studio No.2「ブース内」、パラメーターは初期設定状態です。ONKIO Acousticsの響きが加わるだけでサウンドがファットに、そして立体的になりました!DTM音源は基本的にサウンドがドライなため、音場が平面的になりがちです。そんな時にはONKIO Acousticsを使うと、一瞬にして自然な奥行きを加えてくれます。
ONKIO Acoustics 全部屋 試聴
ONKIO Acousticsで提供される、全部屋の響きをメドレーで試聴する動画を作りました。
Studio No.1では反射板フル設置、半分設置、無しの3パターンで、それぞれ3つの音源位置(LEFT、CENTER、RIGHT)を試聴。「1スタ」「2スタ」共に、音源位置が CENTER では自然な残響が得られ、LEFT や RIGHT では色付けの濃いサウンドが得られました。
試聴を終えて
ONKIO Acousticsは通常のIRリバーブとは異なり、反射音の元となる仮想音源の空間分布をサンプリングすることで素材に対して不要な音色変化が生じない高品位なリバーブを得ることができます。
驚くのは、たった29.8MBというプラグインのデータサイズで高品位なリバーブを実現していることです。IRリバーブというカテゴリーにおいて、このサイズは驚異的です。
VSVerbは 株式会社ソナ/オンフューチャー株式会社の中原氏が開発した技術で、反射音場をサンプリングし任意の響きを再現する音場再現技術です。VSVerbテクノロジーについてのさらなる情報を知りたい方は、AESの電子図書館で関連する論文を見つけることができますのでご参照ください。https://www.aes.org/e-lib/
記事内に掲載されている価格は 2023年3月15日 時点での価格となります。
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