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音楽制作において、もし、あなたがノートパソコンを抱えてカフェや旅先で作業をすることが多いなら、、、自宅のモニタースピーカーをセットアップするのと同じ情熱で、持ち運ぶDAC(D/Aコンバーター)にも目を向けるべきなんです。別の記事で、ヘッドフォンアンプの重要性について、iFi audio ZEN CAN 3を紹介する記事 (クリックで移動 >>) を公開しましたが、今回は、音楽のモバイル制作環境に目を向けた記事になります。
モバイル環境でのモニタリング精度

みなさんは、カフェでの作業中、MacBookやPCのイヤフォンジャックに直接モニターヘッドフォンを挿して、あるいは簡易的なドングルを使ってミックスチェックを行っているかもしれません。しかし、PC内蔵のオーディオ回路はノイズが多く、本来の解像度を出しきれていないのが現実です。
対して、今回紹介するZEN DAC 3は、USBバスパワーで動作し、鞄にすっぽり収まるコンパクトサイズでありながら、据え置き機に匹敵する「純粋で高解像度な音」を持ち運べるデバイス。この「モバイル性」と「最高音質」の両立が、これほどまでに外出先での制作クオリティを底上げすると驚くかもしれません。(同梱はされていませんが、5V ACアダプター駆動にも対応しています。)
バーブラウン「トゥルー・ネイティブ」がもたらす「正解」の音

ZEN DAC 3をラップトップにUSBケーブル1本で繋ぎ、いつものプロジェクトファイルを開いて再生ボタンを押した瞬間、感じるのはZEN DACを聞いた時と同様なクオリティーの「空気感」と「静寂」。
本機は、多くのiFi製品で採用され定評のあるバーブラウン製チップセットによる「トゥルー・ネイティブ」アーキテクチャを採用しています。これはファイル・フォーマットを変えることなく「ビットパーフェクト」を保つ設計で、アーティストが意図した音楽をそのまま聴くことができるという意味です。
制作中のトラックにおいて、これまではPC直挿しでは平面的に聴こえていたリバーブのテイルや、シンセサイザーの倍音成分が、ZEN DAC 3を通すと驚くほど立体的で、音楽的に響きます。特にMP3からDSD512、PCM768、DXD768に至るまで、あらゆるフォーマットをハイレゾで再生できるため、ハイレゾ配信を前提としたマスタリング作業や、MQA音源のチェックにおいても、このDACがボトルネックにならずに正確な音を送り届けてくれている印象を受けると思います。


※ 今回のチェックには、ヘッドフォンにSONY MDR-CD900STとFocal Listen Professionalの2種を用いました。
フル・バランス回路による、純度の高いモニタリング

ZEN DAC 3の特筆すべき点は、この価格帯(3万円台後半!)では極めて珍しい、アナログ・ステージに「バランス設計」を使用していること。
4.4mmバランス出力端子をフロントとリアに装備しており、バランス接続対応のモニターヘッドフォンを使用することで、ノイズとクロストークを大幅に低減できます。制作において「ノイズのなさ」は正義。TDKのC0G(クラス1セラミック)キャパシターといった高価なオーディオグレード部品が投入されており、カフェの喧騒の中でも、ヘッドフォンの中だけは静寂なスタジオのようなS/N比(信号対雑音比)を実現します。ヨットやRV車に乗っているような場所でも実に静かであると謳われるほどの低ノイズ・パフォーマンスは、シビアなノイズ処理や微細な編集作業を行うモバイル・プロデューサーにとって、大きなアドバンテージだと言えます。
制作の武器となる「PowerMatch」と「XBass+」

モバイル環境では様々なヘッドフォンやイヤフォンを使い分けることもあるでしょう。ZEN DACに搭載されている「PowerMatch」は、ゲインを調節してヘッドフォンに完璧にマッチさせる機能です。高感度なIEMではヒスノイズを回避し、インピーダンスの高いオーバーイヤー・ヘッドフォンでは駆動力を上げることで、どんなモニター機材でも最適なドライブ力を提供します。
さらに、アナログ回路で動作する低域ブースト機能「XBass+」も、制作のチェックにおいて非常に有用です。DSP(デジタル信号処理)を使用せずアナログ領域で低音を増強するため、中域を汚すことがありません。例えば、低音が不足しがちなオープンバック・ヘッドフォンで、キックやベースの量感を確認したい際に、スイッチ一つで的確な補正が可能になります。DSPによる遅延や音質劣化がない点は、クリエイターとして信頼できるポイントです。
製品情報
iFi audio ZEN DAC 3
ZEN DAC 3は、バスパワー駆動でありながらフル・ディスクリートのバランス・アンプ回路を搭載し、ハイレゾ「トゥルー・ネイティブ」再生を実現します。家庭やオフィス、そして旅先のデスクを即座に高音質スタジオへと変貌させます。
数万円の予算があれば、新しいポータブルHDDやソフト音源を買いたくなるのが制作者の性ですよね? しかし、私はあえて言いたい! その前にモバイル・モニタリング環境の「出口」を見直すべきだと!
ZEN DAC 3は3万円台後半という驚異的な価格帯でありながら、PC直挿しとは比較にならない解像度と駆動力を提供してくれます。どこにいても、自分のミックスの細部まで自信を持って判断したいと願う全てのノマド・クリエイターに、この「小さな禅(ZEN)」の導入を強くお勧めします!
Pulsar USBで更なる高みへ

ここで一つ、ZEN DAC 3のポテンシャルを極限まで引き出すための「裏技」をご紹介しましょう。今、Amazonをはじめとするオンラインストアで驚異的なセールスを記録し、「バカ売れ」している話題のケーブルをご存知でしょうか? それがSilentPowerの「Pulsar USB」です。
なぜこれほど売れているのか? その理由は、多くのユーザーが「USBケーブルを変えるだけでここまで音が変わるのか」と衝撃を受けているからです。一般的なUSBケーブルは電源とデータラインが並走して詰め込まれているため、干渉が起きやすく音が劣化してしまいます。しかしPulsar USBは、これらを物理的に隔離する「ガルバニック絶縁」を採用し、電気的ノイズを遮断。さらに軍用レーダー技術をベースとした「アクティブノイズキャンセレーション」で電源パスをクリーンにし、ノイズレベルを100分の1(-40dB)まで減少させます。
今回、バスパワー駆動であるZEN DAC 3と組み合わせてテストしたところ、その効果は歴然でした。ノイズフロアが一段と下がり、音楽の「背景の黒さ」が深まることで、微細な音の粒立ちがさらに明確になりました。市場で爆発的にヒットしているのも納得の性能です。モバイル環境でも一切の妥協をしたくない方には、このケーブルの導入を強くお勧めします。
渋谷店・小型モニタースピーカー比較コーナーにて ZEN DAC 3 を展示中!

お好みのスピーカーへ繋ぎ替えながら、ZEN DAC 3の音質やキャラクターを実際の再生環境でご体験いただけます。また、Pulsar USB も同時展示しておりますので、USBアクセサリーによる音の変化もあわせてお試しください。
店舗情報はこちら
https://www.miroc.co.jp/rock-on/store-info2023/

記事内に掲載されている価格は 2025年12月26日 時点での価格となります。
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