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音楽制作において、オーディオインターフェースはスタジオのまさに「心臓部」。今回は、話題のYAMAHAの新作「URX44V」をお借りすることができたので、実際にCubaseを中心とした音楽制作環境に導入して使い込んでみました。
「HDMI搭載」という、オーディオインターフェースとしてはユニークな特徴を持つ本機ですが、今回はあえて「音楽制作での実力」に焦点を当ててレビューをお届けします!
開封の儀:堅牢なボディと「HDMI」が示す新たな可能性

まず目に飛び込んでくるのが、パッケージの箱に記載された「HDMI」の文字。もちろん、事前に製品概要は知っていたので「なるほど」と思いましたが、本製品はHDMI IN/THRU端子を搭載し、カメラやゲーム機の映像をキャプチャできる仕様は、これが単なるオーディオインターフェースではなく、映像や配信用途といったマルチメディアの司令塔となることをうかがわせます。
本体を手に取ると、約2.0kgという若干の重量感と、ひんやりとした堅牢な金属筐体が、プロユース機材としての安心感を感じました。デスクに置いた際の安定感も抜群で、トップパネルに配置された4.3インチのカラータッチスクリーンと整然と並んだノブからは、「複雑な操作を直感的に行える」というヤマハの洗練された設計思想が伝わってきます。
実際に使ってみて、このカラータッチスクリーンの操作性は抜群で、私はモニタースピーカーとヘッドフォンを交互にON/OFFして、低音等のサウンドチェックを行うシーンが多いのですが、モニター切り替えの操作にかかる時間が大幅に軽減され「便利で快適だなぁ」と思った次第です。
「DAW録音」特化のセットアップ:驚くほど直感的なアシスタント機能
今回はCubaseを使った音楽制作をメインとするため、「DAW録音」の構成(MacbookとUSBで接続し、マイクやギターを入力、ヘッドフォンとスピーカーに出力)でセットアップを開始しました。
ここで「便利!」と思ったのが、搭載された「Simpleモード」の使いやすさ。電源を入れて「設定の開始」画面で「プリセット」や「セットアップアシスタント」を選ぶと、対話形式で順次セットアップが進んでいきます。用途に合わせて「DAWレコーディング」を選ぶだけで、録音やモニターに必要な複雑なルーティングが自動で完了します。
初心者はもちろん、配線やソフト側の入出力設定に時間をかけず、今すぐ制作に集中したいすべてのクリエイターにとって、このアシスト機能は非常に強力な武器になるはずです。もちろん、このサイトをご覧いただいている方は機材を熟知した方も多いので、ご自身の制作環境に応じて、一から個別にセットアップするケースも多いと思いますが、「Simpleモード」使用において、繋いだマイクや楽器を弾きながら適切なゲインを自動設定してくれる「Auto Gain」機能は本当に便利。実際にCubaseにプリントすると、録音される波形のレベルが適切なレベルで実施され、小さすぎたり、クリップ直近だったりせず、演奏の音質を損なわない適切なレベルでレコーディングできました。おそらく、トラック数が増えていくと、この積み重ねが曲の音質やダイナミクスの最終クオリティに大きく影響してくると思います。
「True Sound」:圧倒的な音質の良さを実感
セットアップを終え、いつものプロジェクトファイルを開いて再生ボタンを押した瞬間、解像度の高さに耳が反応しました。URX44Vは、クラス最高の192kHz/32-bitに対応し、高品位なプロフェッショナルグレードのAD/DAコンバーターを搭載。といっても、まあ、これはスペック的なお話ですので「いい音」としか書けないのが実情です。
が、これを自分なりに言語化してみますと、、、
同じセッションファイルでも、オーディオインターフェースを他社製品に繋ぎ変えると、それまで頭の中で描いていたトータルのサウンドイメージが更新/変更され、場合によっては、低音が出過ぎていたり、音像の幅が小さかったり、イメージの変更を強いられるのがほぼあるケースです。もちろんそれが、それぞれのメーカーが持つサウンドの個性であり、いい意味で「売り」でもあります。
そんな中でも、古くはNS-10M、02R 、そして比較的最近のHSシリーズまで、その変更を強いらない、よりフラットで中立ないい音を持つのがヤマハ製品に対する私の印象です。まさしく、このURX44Vの音も、その延長線上にあり、そこからさらに圧倒的に解像度が増え、よりフラット。プレートリバーブのテール部分が、ほんとにすがすがしさを感じるくらいの美しさで目にみえる感じ。これがヤマハが掲げる「True Sound」哲学といえばいいのでしょうか?
これまで曖昧に聴こえていたリバーブの消え際や、シンセサイザーの微細な倍音成分が、息づくような生命感を持って立体的かつ正確に描き出されます。シビアなEQ処理やバランス調整において、このDACの精度の高さがあなたの「正しい判断」を強力にサポートしてくれるはずです。
前面にはヘッドホンは2系統のヘッドホン出力(1 ステレオフォン/3.5 mm ヘッドセット + 1ステレオフォン)、ステレオミニAUX入力を装備
いざ実録!ボーカルとエレキギターを録音してわかった真価
最後に、実際にマイクを繋いでボーカルを、Hi-Z対応端子にエレキギターを接続して録音を行ってみました。新設計のURXマイクプリアンプは、78dBという広大なゲインレンジを持ち、ダイナミックマイクでもノイズレスで非常にクリアに集音してくれます。ボーカルの細かなニュアンスや息遣いがそのままDAWにキャプチャされる感覚は格別です。
さらに、本体内蔵のDSP機能が制作の心強い味方になります。先ほど触れた入力レベルを自動で最適化する「Auto Gain」や、突発的な大音量による歪みを防ぐ「Clip Safe」機能のおかげで、面倒なゲイン調整から解放。1つのノブでコンプレッサーとEQを最適なバランスに調整できる「SSMCS (Sweet Spot Morphing Channel Strip)」やリバーブをレイテンシーフリーでかけながらモニタリングできるため、演奏者のテンションを最大限に引き上げてくれます。
ヘッドアンプのサウンドも、先ほど言語化した「よりフラットで中立ないい音の極地」。生音を重ねることが多い人にとっては、入力時のこの積み重ねが、最終的に曲の仕上がりに大きく左右し、ダイナミックレンジが広く奥行きを感じる躍動感あるミックスに繋がるはず。そう思いました。
製品情報
YAMAHA URX44V
URX44Vは、HDMIビデオインターフェースを備えた配信用機材として注目されがちですが、その本質は「一切の妥協がない音楽制作環境のハブ」です。12万円台という価格帯でありながら、これほどの高解像度なサウンドと、タッチパネルやアシスタント機能による直感的な操作性、さらには最大16トラックのmicroSDカード単体録音機能まで備えている点はまさに「小さな巨人」と呼ぶにふさわしい仕上がりです。
どこにいても、自分のサウンドの細部まで自信を持って判断し、インスピレーションを逃さず形にしたいと願う全てのクリエイターに、このURX44Vの導入を強くお勧めします!
(色はWhiteとBlackがあります。)
URXシリーズ その他のラインナップ
URX44
URX44Vが音楽制作と配信/動画制作向け(HDMIでカメラやゲーム映像を取り込める)に対し、URX44はDTM・音楽制作中心になります。音質・入出力・DSPなどの基本仕様はほぼ同じです。
YAMAHA URX22
URX44VのURX44の6入力/4出力に対して、4入力/2出力のモデル。例えば、ギター+ボーカル録音等、1〜2人の制作向けに最適なモデルです。
記事内に掲載されている価格は 2026年3月13日 時点での価格となります。
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