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Blackmagic Design ATEM Mini に焦点を当てて紹介してた本連載ですが、ここでほかのモデルにも目を向けてみましょう。
上位モデルには「Extreme」を冠する8チャンネル入力モデルもありますが、今回は4チャンネル入力モデルに絞って違いを見てみます。
というのも、これまでの提案してきた内容は、ほぼワンマン・オペレーションを想定してたりするのですが、実際にワン・オペで、特に自分を映して配信する場合などは4チャンネルぐらいが混乱することなくコントロールしやすいと感じるからです。
当然、「大は小を兼ねる」の言葉通り「Extreme」でも問題はなく配信できますし、セミナー等で講師が2名で2人ともPC画面を使いたい~といった配信が想定される場合には、是非「Extreme」の導入をご一考ください。
チャンネル数が増えただけではなく、使用できるソースの数や機能、ボタンも格段に増えているので「4チャンネルモデルでは物足りない」と感じている方はきっと満足できると思います。
※青文字:上位機種での変更点
※赤文字:追加機能
さて、これを見たうえで現在ご自身が必要な機種を絞り込めたでしょうか。
となります。
ここでいくつか機能に関して注意点があります。
配信にOBSを使用する場合、PCに映像を取り込まなければなりません。
その際、ATEM Mini ではUSB-CからPCに送り出すことになるのですが、上位機能の「録画」はそのUSB-Cを利用して接続されたストレージへ直接録画します。
このUSB-Cを使った「送出」と「録画」はUSBハブ等で接続を増やしたとしても同時には使用できない機能のため、「録画」の機能を使いたい場合には、HDMI OUTからのプログラム出力(スイッチング後の映像)を出力させ、映像キャプチャーを使ってOBSに送出することになります。(下図)
そうすると、今後は1系統あるHDMI OUTがプログラム出力となるので、マルチビューを確認できなくなります。
OBSを使用しLive配信する際にはこの点を確認いただければと思います。
なお、ATEM Mini Pro(Pro ISO)のEthernet Portから直接YouTubeへ送り込めば、USB-Cで「録画」、HDMI OUTから「マルチビュー」の確認、YouTube配信画面で「プログラム出力」の確認、が可能になります。(下図)
YouTubeへ直接送り込むための情報(RTMP URL、ストリームキー)の設定には同一ネットワーク内に接続されたPCからATEM Software Controlを使用する必要があります。
一度番組として録画してから、テロップの追加、一部スイッチングの編集等を考えるなら、「Pro ISO」がベストマッチすることでしょう。
といったところで、4チャンネル最上位のATEM Mini Pro ISOの最も重要な機能「DaVinci Resolveのプロジェクトファイルを含め収録した録画」に関してアピールを込めて解説したいと思います。
各チャンネルをただただ録画したいのであれば、カメラとスイッチャーの間に録画機器を接続しておけばよいのですが、その数の録画機器を用意するのも容易ではないですし、場合により録画タイミングが合わず、編集時にタイミングを合わせる作業が発生してしまいます。
タイムコードをそれぞれの機器に入力し同期させれば問題ないのでしょうが、用意する機器も増えれば知識も技術も経験も必要になり、なかなかハードルが高くなってしまうと・・・
しかし、ATEM Mini Pro ISOで録画をすれば、ボタン一つですべてのチャンネルを録画することになるので上にあげたような追加機材の必要もなくなり録画タイミングが一様に揃うことになります。
更に、「DaVinci Resolveのプロジェクトファイル」が収録されるということは、ATEM Mini Pro ISOでスイッチングされた内容がそのまま記録され、編集ソフトの「DaVinci Resolve」で読み込めば、スイッチング内容がタイムラインにきっちり並ぶという、編集する際の準備時間や確認のわずらわしさが大幅に軽減、短縮されます。
では、USB-Cに接続されたストレージにどのようなファイルが保存されるのか・・・それは以下のようになります。
【ファイル構成】
動画はMP4形式で、音声はWAV形式で保存されます。
そして、見慣れない拡張子の.drpが付いたファイルがDaVinci Resolveのプロジェクトファイルになります。
このファイルをDaVinci Rasolveで読み込むと、それぞれのファイルが読み込まれ、タイムラインにも自動的に並びます。
取り込んだ後、「DaVinci Resolve」の編集画面を見ると、カット、エディットともに、スイッチングされた情報が一列に並んでいます。
スイッチングの順序に間違いがなく、スイッチングのタイミングのみ修正したいときには、「DaVinci Resolve」のカット、エディット画面で修正したい部分を軽く良いタイミングまでスライドさせるだけで調整・編集が可能です。
では、スイッチングの順番も変更してみましょう。
DaVinci Resolveに読み込まれたデータはカット、エディタともにタイムライン上では一列に並んでいます。
マルチカムで編集する際には各カメラ映像をレイヤー的に縦に並べて編集することも多いのですが、その形にはなっていません。
では、どうするのか?解説していきます。
ちなみにデータ容量ですが、Blackmagic DesignのサイトからダウンロードできるDemoデータを確認したところ、カメラ1つの通常の映像で1分150MB程度になるようです。
PC画面のような映像に動きが少ない場合はそれよりも軽くなりますが、60分ならば1カメで9GB程度×4カメ+プログラムで45GBといったところでしょうか。
オーディオファイルは全チャンネルひっくるめて1分100MB程度だとすれば6GB、全部合わせれば51GB・・・64GBのストレージに収まりそうですね。
ただ何があるか分かりませんので、ストレージ容量は多めをお勧めします。
なおかつ、データの転送速度の関係もありますので、外付けSSDが良さそうですね。
といった感じで4チャンネル入力までですが、ATEM Miniシリーズの簡単な違いと、最上位機種「Pro ISO」に搭載されている、編集の際に超絶便利な「録画+DaVinci Resolveのプロジェクトファイルの書き出し」機能の紹介でした。
予算が取れるなら最上位機種をゲットすれば問題なくすべての機能が使えるわけですが、実際のところは本当に自分に必要な機能を選定し、最適な機種を購入する必要があると思います。その参考にしていただければ幸いです。
記事内に掲載されている価格は 2022年2月17日 時点での価格となります。
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